灯心堂漢方薬局

【清暑益気湯】わかりやすい解説(せいしょえっきとう)

清暑益気湯

 

清暑益気湯の働きを添付文書の効能効果から掘り下げて、考えたいと思います。

 

薬局製剤 清暑益気湯の効能効果には

 

「体力虚弱で、疲れやすく、食欲不振、ときに口渇などがあるものの次の諸症:暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢、夏痩せ、全身倦怠、慢性疾患による体力低下・食欲不振」

 

と記載されています。

 

暑気あたり、夏やせなどの夏バテに関する症状が多く記載されています。

 

暑気あたりとは、夏の暑さで体調を崩すことをいいます。

 

暑気あたりは意味合いとしては広く、夏バテ、熱中症も含んでいるような意味ありになります。

 

添付文書の意味がわかりやすいように解説したいと思います。

 

ただし、商品によって効能効果は異なるので、ご購入の際は商品説明をきちんとお読みください。

 

構成

 

清暑益気湯は、人参・白朮・麦門冬・当帰・黄耆・陳皮・五味子・黄柏・甘草から構成されています。

 

気を補う

清暑益気湯の人参・白朮・黄耆・甘草は気を補う生薬です。

 

補気の生薬が多く入っていることがわかります。

 

とくに人参・黄耆(おうぎ)の気を補う力は強く、合わせて参耆剤(じんぎざい)といわれます。

 

白朮は気を補いながら、たまりがちな水を追い出します。

 

甘草は強い甘味にて補気し、漢方薬を調和してくれます。

 

夏バテで食欲がなく、元気がない状態に気を強く補います。

 

人参は補う力が強く重たくなりがちなところを、陳皮がそれを防ぎ、いい構成になっています。

 

冷やす

清暑益気湯の黄柏は冷やす生薬です。

 

暑気あたりという、熱がこもっている状態を黄柏が熱を外に引っ張ってくれます。

 

熱があることで、身体の水分は焼けていき、体重も減っていきます。

 

黄柏が熱を冷まし、陰となる水分を守ります。

 

「瀉をもって補をなす」という言葉がありますが、熱を瀉すことで身体の水分を守れるという意味で、黄柏自体には補の性質はありません。

 

潤す

清暑益気湯の麦門冬は潤す生薬です。

 

漢方では甘味の性質の生薬は潤す性質があります。

 

麦門冬は甘味が強く、潤す働きがあります。

 

熱によって不足した陰や脱水した状態を麦門冬が補います。

 

潤す働きは麦門冬だけでなく、人参にもあります。

 

人参と麦門冬の組み合わせで失われた津液を補います。

 

さらに清暑益気湯には五味子が入っています。

 

五味子は酸味のある生薬です。

 

酸味は漢方では引き締める働きがあります。

 

気血水がこれ以上漏れ出ていかないように五味子の酸味で収斂します。

 

人参・麦門冬と五味子の組み合わせは生脈散として知られます。

 

人参・麦門冬が補ってくれた水が漏れ出ていかないように、五味子の酸味で引き締める組み合わせです。

 

人参・麦門冬が潤し、五味子が潤すのを助けます。

 

構成のまとめ

清暑益気湯は人参・黄耆の気を補う生薬が入り、強く気を補ってくれます。黄柏がこもっている熱を追い出し、夏バテの身体を冷やしてくれます。人参・麦門湯が熱によって失われた水を補い、五味子の酸味が補水を助けます。

 

効能効果なぜ?

 

薬局製剤 清暑益気湯の効能効果には

 

「体力虚弱で、疲れやすく、食欲不振、ときに口渇などがあるものの次の諸症:暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢、夏痩せ、全身倦怠、慢性疾患による体力低下・食欲不振」

 

と記載されています。

 

なぜこのような効能効果なのか考えたいと思います。

 

 

体力虚弱で疲れやすく、食欲不振

→清暑益気湯は暑気あたりの身体が弱っている状態につかう漢方薬です。体力虚弱の気虚の状態であるため、疲れやすく、食欲不振になります。そのため清暑益気湯には人参をはじめとした気を補う生薬がたくさん入っています。

 

ときに口渇のあるもの

→夏バテの水が不足している状態をあらわしています。水分が不足しているため、口が渇きやすくなります。清暑益気湯には人参・麦門冬・五味子の潤す生薬が多く入っています。

 

暑気あたり

→暑気あたり、つまり熱によって体調を崩している状態です。熱が原因であるため、清暑益気湯の黄柏が熱を冷まし、失われた水分を人参・麦門冬・五味子が補います。

 

暑さによる食欲不振・下痢

→いわゆるイメージする夏バテの症状です。暑さによって胃腸の調子が悪く、食欲もなく、下痢になります。清暑益気湯には人参・黄耆・白朮などの気を補う生薬が多く入っており、胃腸の調子を整えます。胃腸の調子が整うことで、食べ物からしっかり水分を吸収できるようになり、下痢も落ち着いてきます。

 

夏やせ

→夏やせの原因は2つ考えられ、1つは食欲不振によって食べ物を食べられず、体重が落ちていっている状態。もう1つは熱によって水分が焼かれ、体重を失っている状態です。清暑益気湯は人参が入り、しっかり食べ物を食べる土台をつくり、人参・麦門冬が失われた水分を補い、どちらの原因にも対応できます。

 

全身倦怠

→気の不足と、熱によって気血の流れが悪くなることで全身倦怠となります。気の不足は人参・黄耆が対応し、熱による不調は黄柏が対応できます。

 

慢性疾患による体力低下・食欲不振

→清暑益気湯は暑気あたりに対応した漢方薬であることを説明してきました。暑気あたりでなくても、慢性疾患の方でも服用することができます。慢性疾患の場合、長期に渡る不調のため、身体に熱の鬱滞が生じやすくなります。慢性病による鬱熱によって津液が失われ、熱がこもっている状態は暑気あたりと同じ状態といえます。そういったときには清暑益気湯をつかうことができます。漢方薬は病名でつかうのではなく、状態でつかう例だと思えます。

 

清暑益気湯が効かない理由?

清暑益気湯は気の不足、熱、陰虚のときに効果を発揮します。夏バテの原因が気の不足、熱でないときは清暑益気湯では効果はあらわれにくいです。

 

日本の夏は、湿気が多く、湿気にやられやすい気候です。また暑さによって冷たいものを多く食べることでも身体に湿気をため込みやすくなります。

 

夏の湿気と暑さによる食欲不振のときには、藿香生気散(かっこうしょうきさん)という漢方薬があります。

 

藿香生気散は藿香・紫蘇の香りの良い生薬が入り、芳香化湿し、白朮・茯苓・大腹皮の湿気を追い出す生薬も多く入っています。

 

夏の暑さと湿気・水分の取り過ぎにやられているときは清暑益気湯よりも藿香生気散が適しています。

 

 

 

まとめ

 

清暑益気湯の効能効果は幅広く、どうしてこれにも効能効果があるのか、疑問に思っていた方もいると思います。

 

清暑益気湯は気を補い、熱を冷まし、水を補うことで、「体力虚弱で、疲れやすく、食欲不振、ときに口渇などがあるものの次の諸症:暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢、夏痩せ、全身倦怠、慢性疾患による体力低下・食欲不振」の効能効果があります。

 

ただし、商品によって効能効果は異なるので、ご購入の際は商品説明をきちんとお読みください。

 

 

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