【漢方】生理痛の6つの体質~肝鬱気滞、血瘀、湿熱、衝任虚寒、肝腎陰虚、気血両虚~
生理痛
生理痛はあって当たり前と思っていませんか?
現代では生理痛があって当然という考えが広く知れ渡り、痛い時は痛み止めを飲めばいいと思う方も多いです。
生理痛がひどい方と、そこまで気にならない方がいるのは不思議ではないですか?
なぜ生理痛がひどい方と、生理痛がひどくない方がいるのか、漢方の目線で考えてみませんか?
生理痛がひどい理由
生理痛がひどい1つ目の理由は病気が隠れている可能性です。
子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの疾患があると生理痛となります。
そういった疾患のあるときは器質性月経困難症といいます。
病気が隠れている可能性があるので、生理痛がひどい方は一度病院の受診をおすすめします。
子宮内膜症などの原因となる疾患がないときは機能性月経困難症といいます。
ここでは原因が見当たらない、機能性月経困難症での漢方の考え方について説明します。
生理痛がひどい2つ目の理由は漢方的には原因がある可能性です。
西洋医学では原因がわからなくても、漢方で見ると原因が隠れているかもしれません。
漢方での生理痛の原因は?
漢方で生理痛の原因に、肝鬱気滞、血瘀、湿熱、衝任虚寒、肝腎陰虚、気血両虚が考えられます。
漢方においては次の6つの体質にわけて考えいたいと思います。
・血瘀(刺すような痛み、血の塊)
・湿熱(生理血が粘稠、黄色帯下)
・衝任虚寒(冷える、温めると軽減)
・肝腎陰虚(腰膝がだるい、耳鳴り)
・気血両虚(けん怠感、胃腸が弱い)
それぞれの状態について説明します。
生理痛につかう漢方薬は?
生理痛、下腹部痛につかう漢方薬に、当帰芍薬散、当帰芍薬散加人参、桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸加薏苡仁、折衝飲、当帰四逆湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、桃核承気湯、逍遙散、加味逍遥散があります。
肝鬱気滞
ストレスや悩み事、環境の変化などによって肝の気のめぐりが悪くなると気が滞ります。
気の滞りは血にも影響し、気血ともにめぐりが悪くなり、生理痛となります。
気の停滞があるためイライラや張ったような痛みがみれらます。
・生理量が安定しない
・血の塊がある
・胸脇、胸が張る
・いらいら
・胸苦しい
これらにあてはまるときは肝鬱気滞の生理痛の可能性があります。
原因となっている気のめぐりを改善する漢方薬に逍遙散(しょうようさん)、加味逍遙散があります。
逍遙散には柴胡(さいこ)・薄荷の気のめぐりを改善する生薬が入っています。柴胡と薄荷を気の鬱滞を解きます。さらに血を補う当帰という生薬も入り、気血のめぐりを整え、生理痛にもつかいます。
逍遙散に山梔子(さんしし)・牡丹皮の熱を冷ます生薬が加わったものが加味逍遙散です。ほてり感が強ければ、逍遙散よりも加味逍遙散が適しています。
血瘀
血瘀(けつお)というのは血が滞っている状態です。
簡単にいえば、血のめぐりが悪いという意味です。
気のめぐりが悪い状態が長く続いても、血の停滞が強くなり、血瘀となります。
・刺すような痛み
・生理血に血の塊がある
・血の塊がでると楽になる
・暗紅舌
これらにあてはまるときは血瘀の生理痛の可能性があります。
原因となっている血の停滞を動かすために、血のめぐりをよくする漢方薬に桂枝茯苓丸、桃核承気湯、折衝飲があります。
桂枝茯苓丸は血のめぐりを改善する代表的な漢方薬です。生理による下腹部痛があるときにつかいます。
桂枝茯苓丸に、肌荒れの生薬の薏苡仁(よくいにん)を加えたものが桂枝茯苓丸加薏苡仁です。
桂枝茯苓丸よりも血のめぐりを強化した漢方薬が折衝飲(せっしょういん)です。折衝飲には延胡索(えんごさく)、牛膝(ごしつ)、紅花(こうか)の活血の生薬が多く入り、桂枝茯苓丸よりも血を動かす生薬が多く入っているのが折衝飲です。
桃核承気湯には桃仁の血を動かす生薬だけでなく、大黄という瀉下薬も入っています。血の鬱滞の生理痛と便秘もあるときは桃核承気湯が適しています。
湿熱
辛いものや味の濃いものを好んで食べたり、生理時の性交で湿熱が入り込むことで生じます。
熱の性質と湿気の性質をどちらも持ち、熱感、生理血が粘稠になります。
・生理血が粘稠で臭いがある
・黄白色の帯下
・便が固い、すっきり出ない
・尿が濃く少量
・紅舌
・黄膩苔
これらにあてはまるとき湿熱の体質の可能性があります。
湿熱を追い出すために、熱と湿気を追い出す漢方薬をつかいます。
衝任虚寒
身体が虚しているところに冷えが入り込むことで気血のめぐりが悪くなり、生理痛となります。
・温めると軽減する
・冷えると悪化
・生理周期が遅れる
・生理血が薄く、少ない
・腰、背が重たくだるい
・背中の寒気
・手足の冷え
・尿量が多く、うすい
これらにあてはまるときは衝任虚寒の生理痛の可能性があります。
月経困難症につかう漢方薬に温経湯があります。
肝腎陰虚
精を浪費したり、もともと虚している体質から、血海が不足し、子宮に栄養がいきわたらないために生理痛となります。
・生理量が少なく、色が薄い
・腰、ひざがだるい
・頭のふらつき
・耳鳴り
・舌の苔が少ない
これらにあてはまるときは肝腎陰虚の体質の可能性があります。
虚している肝腎を養うための漢方薬をつかう必要があります。
気血両虚
虚弱体質、胃腸が弱い、慢性的な不調、久病などで気血が不足することで、気血がめぐらず生理痛となります。
・押さえたり、温めたりすると軽減
・生理量が少ない
・顔色が白い
・胃腸が弱い
・頭のふらつき
・声に力がない
・元気がない
・動悸
・けん怠感
これらにあてはまるときは気血両虚の体質の可能性があります。
不足している気血を養う漢方薬をつかう必要があります。
関連情報
-
【漢方】生理が短い6つの体質~1,2…
-
【漢方】生理周期が不安定な2つの体質…
-
【漢方】生理周期が短い4つの体質~生…
-
【漢方】生理時の腰痛2つの体質~血虚…
-
【漢方】生理血がねばねばする4つの体…
-
【漢方】生理血が薄い4つの体質~最近…
-
【漢方】肩こりの6つの体質~肩こりに…
-
プレ更年期の症状別の漢方薬6選~30…
-
【漢方】不正出血の4つの体質
-
【漢方】生理が遅れがちな5つの体質~…
-
【漢方】生理が長引くときの5つの体質…
-
【漢方】生理の中断の4つの体質~生理…
-
【漢方】生理時の発熱の5つの体質~生…
-
【漢方】生理時の血の塊ができやすい4…
-
【漢方】生理時の頭痛の3つの体質~瘀…
-
【漢方】生理血が黒いときの4つの体質…
-
【漢方】3か月以上生理が来ない4つの…
-
PMSのおすすめの漢方薬14選~イラ…