【漢方】不安になりやすい5つの体質~おすすめの漢方薬8選~
目次
不安の漢方
現代の生活ではストレスが全くない状況は難しいと思います。
不安になりやすかったり、怖がりやすかったりすることはないですか?
常に不安が続いていたり、急に不安な気持ちがこみあがってきたり、電車にのっていると気持ちがふさがって電車に長く乗れないなどありませんか?
西洋医学的には病名はなくても、漢方的にみると原因があるかもしれません。
不安の漢方での原因は?
不安の漢方での原因は、気滞、胆虚、心陰虚、肝鬱化火などの体質が考えられます。
ざっくり説明すると不安の一番の原因は気がきちんとめぐっていないことが原因です。
つまり不安になりやすいのは自分自身に問題があるのではなく、体内のバランスが崩れているせいなのです。
そんなに自分をせめずに、自分が悪いのでなく、体質に原因があるんだなと考えを切り替えてみてください。
そんな生活のなかで不安になりやすい、怖がりやすい、気分が落ち込む、気分がふさぐ、オドオドする、ささいなことが気になる、焦りやすい、不眠などの症状も含め、不安感につかわれる漢方薬について説明しています。
不安につかう漢方薬は?
不安神経症、気分がふさぐ、のど・胸につかえる症状がある方
気の鬱滞が不安の原因です。
気の鬱滞があると、気が正常に流れなくなり、不安になりやすくなります。
・気分が落ち込む
・不安神経症
・のど、胸がふさがった感じ
気の流れの悪さはメンタルだけでなく、胸・のどがふさがったような症状も与えます。
気の鬱滞→気の流れが悪くなる→気分が落ち込む、ふさぐ感じ、不安神経症→のど・胸がつかえる
気の流れが悪く、のどがつっかえつような症状があるときは、滞っている気を発散するために半夏厚朴湯、香蘇散、分心気飲などを使うことがあります。
半夏厚朴湯には半夏・厚朴の組み合わせ相乗効果で停滞している不安な気持ちを降ろしてくれます。蘇葉(シソの葉)も入り、気をめぐらせてくれます。不安感、のどがつまるような感じもあるときは半夏厚朴湯をつかいます。
さらに気の鬱滞が強い場合は、半夏厚朴湯に茯苓飲があわさった茯苓飲合半夏厚朴湯がおすすめです。半夏厚朴湯でも気のつまりをとってくれますが、茯苓飲が加わることで相乗効果にて不安神経症に効能効果があります。
ささいなことが気になる、オドオドしやすい方、怖がる症状がある方
怖がりやすさ、オドオドしやすいのが胆虚が原因です。
胆は中正の官といわれ、胆がどっしり構えていることで決断をつかさどるとも言います。
胆が虚すことで気持ちをどっしりと構えることができなくなり、オドオドしやすくなったり、不安になりやすくなったりします。
・オドオドする
・怖がって眠れなくなる
・抑うつ
不安感を鎮める桂枝加竜骨牡蛎湯があります。
桂枝加竜骨牡蛎湯の竜骨・牡蛎は気持ちを鎮める働きがあり、不安な気持ちも静めてくれます。
疲れ、ストレス、不眠と不安になりやすい症状がある方
胃腸の弱さから気血が不足し、不安感になりやすくなります。
胃腸が弱いと食べ物から栄養を吸収できず、気血が不足しやすくなります。
気血の不足から、不安、不眠などの精神症状があらわれやすくなります。
・不眠
・不安感
・イライラ
・あざができやすい
胃腸が弱い→食べ物を吸収しにくくなる→気血を補えなくなる→疲れ、不眠、不安、イライラ
症状にあざができやすいと書いていますが、気血が不足することで血を血管内にとどめることができず、あざができやすくなります。
胃腸の弱さ、気血不足からくる不安感には酸棗仁湯、帰脾湯、加味帰脾湯などをつかいます。
酸棗仁湯には酸棗仁が大量に入り、血を養ってくれます。血を養い、不安感と不眠に効果を発揮します。
帰脾湯は酸棗仁・竜眼肉・当帰の心血を養う生薬と、人参・黄耆の気を強く補う生薬も多く入っています。酸棗仁湯には気に対する生薬は少ないのですが、帰脾湯は気も血もどちらも補い、不安感を和らげてくれます。
加味帰脾湯は帰脾湯に山梔子・柴胡が加わった漢方薬です。柴胡(さいこ)は気をめぐらせる働きがあり、山梔子は熱を冷ます働きがあります。帰脾湯の気血が不足した状態だけでなく、気の鬱滞、気のめぐりの悪さもあるときは加味帰脾湯が適しています。
熱感、口渇、便秘のある不安のある方
心の陰血が不足することで不安が生じやすくもなります。
心の陰血が足りていないため、相対的に熱感がみられ、不安、動悸もみられるようになります。
・眠りが浅い
・不安
・動悸
・熱感、口渇
・便秘
心の陰血が足りなくなると、心を適切に冷やすことができず、不安感とほてりが生じます。
心の陰血不足→心を適切に冷やせなくなる→心が熱に多くなる→不眠、不安、熱感、便秘
そういった心陰虚による寝つきの悪さ、眠りが浅い、不安、動悸、熱感、口渇、便秘、舌が紅いときは天王補心丹にて心陰を補います。
不安とイライラ、ストレスの不眠のある方
気の鬱滞が強く、肝鬱化火になると不安だけでなく、イライラ・不眠もあらわれます。
気の鬱滞が強くなったものです。
気の鬱滞が強いため、不安感だけでなく、イライラの症状もみられるようになります。
仕事、人間関係、ストレスで思い悩んだり、仕事前に緊張して眠れないときに、肝の疏泄が失調し、イライラ・不安がある状態です。
・不眠
・不安
不安な気持ちを鎮めるとともに、鬱滞している気をめぐらせるために柴胡加竜骨牡蛎湯があります。
柴胡加竜骨牡蛎湯に入っている柴胡は気の巡りを改善してくれます。竜骨・牡蛎にて不安・イライラの精神症状の高ぶりを静めてくれます。柴胡加竜骨牡蛎湯でイライラと不安感のどちらにも対応しています。
不安の漢方相談1
20代女性。不安の症状が強く、相談。
もともと不安になりやすい。就職してから不安になりやすくなった。
とくに会社への出勤前がしんどい。
心配性、肩こり、ビクビクしやすい。
エチゾラム、アルプラゾムもらっていたが、現在は服用していない。
ストレスがかかると過食傾向。
生理周期は不安定で、PMSにて胸の張り、むくみ、過食など。
お話をお伺いしていると、不安の症状だけでなく、生理周辺の不調も多く、気血の流れの乱れもあると考えられました、。
気のめぐりが悪いことで不安、PMSになり、血の不足から生理不順になります。
気のつまりをめぐらせる漢方薬と、気血のめぐりを整える漢方薬を服用していただきました。
2週間後、「調子がいいので同じものが欲しいです」といっていただきました。その後はときどき不調がみられるときに漢方薬をもらいに来られます。
不安の漢方相談2
高校生、男性。不安が強いため、ご相談。
「高校生の息子がテストになると微熱や動悸、腹痛が起こりストレスによる不安症ではないかと考えています」
「動悸がして数学の計算を間違えたり問題を間違えたりします。 去年の12月くらいから症状がハッキリと現れてきました。 本人曰く、徐々になってきたそうです。」
「保育園から小学校卒業まで学校で声を出せませんでした。」
「たまに胃痛がある」
高校生で、テストに対する不安からか、腹痛などの症状がでるとのこと。
また胃痛もみられ、気の鬱滞がかなり強く、それが胃腸に影響を与えていると考えられました。
不安と気のめぐり、胃腸を整える漢方薬をご提案いたしました。
2週間後、「高校生の息子が不安症のような症状がありご相談をさせて頂きました。服飲して3日目辺りから気持ちが明るくなったようで笑顔が増えたように思います。効果を感じ引き続き服飲させていこうと思います。煎じ薬の風味に始めは文句を言っていましたが、今てまは何も言わず服飲しています。」といっていただけました。
漢方薬はおいしくないことが多いですが、ご自身の症状の効果の実感があれば、お子さんでも自ら服用できるようです。
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