この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です

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・柴胡加竜骨牡蛎湯はどういうときに服用したらいいの?
・合わない人っているの?
このようなお悩みに漢方薬局の薬剤師がお答えします。
この記事を読んでわかること
・柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果
・柴胡加竜骨牡蛎湯の構成生薬
・合う人、合わない人
・副作用、長期服用について
柴胡加竜骨牡蛎湯はイライラ・不安の神経症、更年期によく使用されます。
体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年神経症、小児夜泣き、便秘
柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果(薬局製剤)
柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果はメーカーによっても異なるので、ご購入の際はしっかりパッケージを確認してください。
柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果を大きく分けると、神経症、更年神経症、夜泣きの精神への働き、血圧い対する働き、便秘のお通じの改善の働きに分けられます。
・不安、不眠、イライラのメンタルと整える作用
・血圧に伴う症状を緩和する作用
・便秘のお通じへの作用
柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果に「精神不安」「神経症」「夜泣き」「更年神経症」とあり、精神に働く漢方薬だとわかります。
柴胡加竜骨牡蛎湯は精神不安にも、イライラの神経症にも効果があります。
漢方では不安もイライラもどちらも「気滞」が原因です。
柴胡加竜骨牡蛎湯は「気滞」をめぐらせ、鎮めることで精神不安・イライラの神経症にも効果を発揮します。
柴胡加竜骨牡蛎湯が気の高ぶりを鎮め、気を巡らせることで精神不安、神経症、更年期などに効果があります。
柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果に「高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)」とあります。
漢方では高血圧の原因は気滞、瘀血、腎虚などがあります。
柴胡加竜骨牡蛎湯が対応する高血圧は「気滞」が原因のときです。「気滞」が精神に影響すると不安・イライラになり、「気滞」が血管に影響すると高血圧になります。
柴胡加竜骨牡蛎湯が気を巡らせることで、高血圧による動悸・不眠・不安に効能効果があります。
柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果に「便秘」とあります。
柴胡加竜骨牡蛎湯に入っている大黄が便通を改善し、便秘に効果を発揮します。
柴胡加竜骨牡蛎湯はメーカーによって生薬が若干異なります。例えば医療用のツムラには大黄が入っていません。柴胡加竜骨牡蛎湯の構成はメーカーによって異なるので、注意してください。
柴胡加竜骨牡蛎湯は気を巡らせる生薬を中心に構成されています。
柴胡加竜骨牡蛎湯には10種類の生薬が入っています。
柴胡加竜骨牡蛎湯には柴胡・半夏・茯苓・桂皮・大棗・人参・竜骨・牡蛎・生姜・大黄が入っています。
柴胡加竜骨牡蛎湯に入っている生薬を働き別にまとめてみました。
・イライラを巡らせる生薬:柴胡・桂皮
・不安を鎮める生薬:竜骨・牡蛎・茯苓
・気を補う生薬:人参・大棗・生姜
・便通を改善する生薬:大黄
柴胡加竜骨牡蛎湯に入っている柴胡・桂皮は気を巡らせる生薬です。
柴胡(さいこ)。柴胡は気をめぐらせ、精神的な作用があり、またカゼ薬にも使用されます。
柴胡は気を巡らせる代表的な生薬で、多くの漢方薬にも入っています。
柴胡が疏肝解鬱に働き、イライラの気、不安の気をめぐらせます。
柴胡加竜骨牡蛎湯の柴胡がイライラの気を巡らせます。
柴胡加竜骨牡蛎湯に入っている竜骨・牡蛎・茯苓は不安を鎮める働きがあります。
竜骨(りゅうこつ)。竜骨は動物の化石で不安を鎮める働きがあります。
牡蛎(ぼれい)。牡蛎はカキの貝殻で、不安を鎮め、安神に働きます。
柴胡加竜骨牡蛎湯に特徴的なのは竜骨と牡蛎が入っていることです。
竜骨と牡蛎はどちらも重たい、鉱物性の生薬です。生薬が重たいように、不安な気持ちを鎮め、気持ちを穏やかにしてくれます。
茯苓も気を補いつつ、安神に働きます。
柴胡加竜骨牡蛎湯の竜骨・牡蛎が不安な気持ちを鎮めます。
柴胡加竜骨牡蛎湯の人参・大棗・生姜は気を補う生薬です。
人参(にんじん)。漢方の人参はウコギ科で、野菜の人参はセリ科で全くの別物です。
人参は気を補う代表的な生薬です。人参が元気をつけてくれます。
大黄は便通を改善してくれます。
柴胡加竜骨牡蛎湯の柴胡がイライラの気を巡らせ、竜骨・牡蛎が不安な気持ちを鎮めます。
柴胡加竜骨牡蛎湯は「巡り」と「鎮める」働きの両方の作用をもっていることが特徴的です。
・体力中等度以上
・精神不安のある方
・イライラのある方
・イライラも不安もある方
・不眠症
・更年期のイライラ・不安
柴胡加竜骨牡蛎湯は巡りと鎮める働きがあり、不安とイライラのどちらもある方に適しています。
柴胡加竜骨牡蛎湯はイライラ・不安もあるタイプに適し、イライラだけのときは抑肝散が適しています。
柴胡加竜骨牡蛎湯は体力中等度以上ですが、反対に体力が弱って、不安、不眠があるときは帰脾湯が適しています。
「柴胡加竜骨牡蛎湯が効かない」という経験をされた方もいらっしゃると思います。柴胡加竜骨牡蛎湯が効かない理由としては、イライラのみがみられるときや、体力が弱っていることが考えられます。
合う人 | 合わない人 |
---|---|
・イライラと不安もある ・体力はそれなりにある | ・イライラだけがあるとき ・すぐ下痢になる人、胃腸が弱い人 |
柴胡加竜骨牡蛎湯は自律神経失調症の症状で、イライラ・不安もあり、便秘気味の方であれば、服用していただいて大丈夫です。
自律神経失調症の症状は人によって多種多様です。自律神経失調症は症状・体質から漢方薬を使い分ける必要があります。
不安がなく、イライラが強いときは抑肝散、不安が強いときは帰脾湯のように使い分けます。
柴胡加竜骨牡蛎湯を2週間服用していただき、次回来ていただいたときに眠れるようになったという方もいらっしゃいますし、1か月ほどで効果を実感された方もいらっしゃいます。
どうしても効果がでるまで個人差があります。
イライラの症状に対して即効性を求めるなら抑肝散、不安の症状に対して即効性を求めるなら甘麦大棗湯、苓桂甘棗湯の方が適しています。
西洋薬と異なり、柴胡加竜骨牡蛎湯に離脱症状はないといわれています。
柴胡加竜骨牡蛎湯には大黄と言う瀉下作用の生薬が入っているものがあります。
大黄(ダイオウ)が入っているメーカーのものであれば、下痢になる可能性があります。
商品のパッケージの成分のところをしっかり確認しましょう。
柴胡加竜骨牡蛎湯は高ぶっている気を鎮めることで、不眠に効能効果があります。
意識を過度に下げる働きではないので、柴胡加竜骨牡蛎湯で日中に眠気がでることは少ないといえます。
抑肝散は気を巡らせ、イライラに特化しているのに対し、柴胡加竜骨牡蛎湯はイライラも不安もどちらもある方に適しています。
柴胡加竜骨牡蛎湯の副作用としては、皮膚(発疹・発赤、かゆみ)、間質性肺炎(空せき、息苦しさ)、消化器(はげしい腹痛を伴う下痢、腹痛)、肝機能障害(発熱、かゆみ、けん怠感、黄疸)などがみらるこことがあります。
これらの症状があらわれた場合は、副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、医師又は薬剤師に相談をしてください。
漢方の長期服用にてよく問題になるのが、甘草です。甘草を多くとっていると副作用を生じやすくなります。
しかし、柴胡加竜骨牡蛎湯には甘草は入っていません。
甘草は入っていませんが、瀉下薬の大黄が入っています。下痢するときは柴胡加竜骨牡蛎湯の大黄の可能性があります。
甘草が入っていないので長期服用はしやすいですが、発疹、空せき、下痢、発熱・けん怠感がみられるときは注意が必要です。
・柴胡加竜骨牡蛎湯は体力中等度以上で、精神不安で便秘がある方に使います。
・柴胡加竜骨牡蛎湯は気をめぐらせる生薬と、気を鎮める生薬から構成されています。
・柴胡加竜骨牡蛎湯はイライラにも不安のどちらもある方に適した漢方薬です。