自律神経失調症の漢方薬とおすすめの食べ物・生活習慣・ツボ

 この記事を書いた人

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西山光です
質問

・自律神経失調症に合う漢方薬は?
・どう使い分けるの?

自律神経失調症の潜在的な人数は650万人以上いると推測され、日本人5%以上はリスクがあるといわれています。

自律神経失調症といっても症状は多種多様です。

このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。

結論

自律神経失調症は気滞を中心とし、血虚、水滞、五臓の不調があわさった状態。

・イライラが強い
→抑肝散

・不安が強い
→帰脾湯

・不安で息苦しい
→桂枝加竜骨牡蛎湯

・不眠
→柴胡加竜骨牡蛎湯

ホルモンバランスの乱れ、発汗、動悸などの他症状は↓↓で詳しく解説しています。

 この記事を読んでわかること
・自律神経失調症の症状、原因
・おすすめの食事、生活習慣

・漢方薬での原因、おすすめの漢方薬

目次

自律神経失調症って病気なの?

自律神経失調症というのは病名というよりも状態をあらわしています。

そのため不眠、めまい、胃腸の調子が悪いなど、自律神経失調症の症状は多様です。

自律神経失調症についてはyoutubeのこころ診療所チャンネル【精神科医が心療内科・精神科を解説】様の動画が大変わかりやすいので、載せておきます。日常生活の過ごし方についてとてもわかりやすいです!

自律神経失調症の症状

自律神経失調症は交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態であり、症状は多様です。

・頭痛、不眠、めまい、発汗、微熱
・呼吸困難、咳、吐き気、息ぐるしい、肩こり

食欲不振、胸の痛み、背中の痛み、腰痛、けん怠感
腹痛、便秘、下痢、冷え、しびれ

自律神経失調症の原因

ストレス、環境の変化、ホルモンバランスの乱れ、食事、生活習慣などから自律神経失調症のバランスが崩れてしまいます。

漢方での自律神経失調症の原因は気滞が中心

自律神経失調症を漢方で考えると気滞を中心に、血虚や水滞、五臓の不調があわさった状態と考えられます。

気滞とは身体の機能に滞りが生じた状態です。気滞があることで精神的にはイライラ、不安、不眠になり、身体では吐き気、息苦しさ、肩こり、身体の痛み、便秘、下痢が生じます。

気滞があることで血の巡りも悪くなり、冷え、腰痛、しびれに関係し、水のめぐりが悪くなることでめまいにもつながります。

自律神経失調症におすすめの食べ物は香りの良いもの

気のめぐりにおすすめの食べ物は、シソ、セロリ、春菊などの香りがいい野菜です。

どれも香りが強く、人によって好みが大きく分かれる野菜ですが、その香りが気をめぐらしてくれます。

ほかにもミカン、レモン、ユズなどの柑橘類も香りがよく、おすすめです。

お茶ではジャスミンティーがおすすめです。ジャスミンの芳香にて気をめぐらしてくれます。

日常生活でできることは?

自律神経を整えるために運動も重要です。運動にはストレス解消効果もあり、適度な疲れによって睡眠にもいい効果を与えます。

運動をすることは気滞をめぐらせる働きがあります。漢方的には運動の中でも水泳をおすすめします。

水泳というのは息を吸う時間が短く、反対に水中では息を吐きだし、息を吐いている時間が長いスポーツです。

息を吐いている時間>息を吸う時間

息を吐くということは、肺から腎へ下向きに気が粛降します。気が下向きへめぐります。

息をたくさん吐くことでイライラや不安な気持ちを鎮めてくれます。

ストレス解消といえばカラオケをあげる方も多いと思います。カラオケも水泳と同じように息を吸う時間は短く、息を吐いている時間が長いですよね。

息を吐く時間が長いため、気持ちが落ち着くと考えられます。

また水泳はクロールで上半身をひねり、脇や横隔膜を伸ばすことにつながり、上下の気の流れを改善してくれます。

自律神経失調症につかう漢方薬とは?

自律神経失調症の体質や症状から漢方薬を選んでいくことになります。

自律神経が乱れ、イライラ、怒りやすいときは抑肝散

急にカーっとなって、怒ってしまうことはありませんか?

急に怒ってしまうのは気のたかぶりが原因といえます。

・急にカッとなる
・神経が高ぶりやすい
・怒りやすくなった

抑肝散には釣藤鈎・柴胡という生薬がイライラの気を巡らせる働きがあります。

抑肝散がカッとなる気を巡らせ、イライラを鎮めてくれます。

自律神経が乱れて、不安になるときは帰脾湯

ちょっとしたことで急に不安になってくる方は心の血が不足しているといえます。

・精神不安
・心身がつかれている
・不眠
・貧血

帰脾湯の酸棗仁・竜眼肉が心血・肝血を養い、ちょっとしたこで動揺しないような体質にします。

心血不足、肝血不足は不眠症の原因にもなります。

不安で気持ちが落ち着かない、急に不安になりやすいときは心血を養う帰脾湯がおすすめです。

自律神経が乱れて、不眠なときは柴胡加竜骨牡蛎湯

気滞からイライラ・入眠しづらくなり、不安も生じやすくなります。

・イライラ
・不安
・便秘
・入眠しづらい
・熟睡しづらい

柴胡加竜骨牡蛎湯の柴胡がイライラ・入眠の邪魔をする気滞をめぐらせます。竜骨・牡蛎が不安な気持ちを鎮めつつ、睡眠の質を高めます。

イライラも不安もあり、入眠しづらい、熟睡しづらいときは柴胡加竜骨牡蛎湯が適しています。

自律神経が乱れて、不安で息苦しいときは桂枝加竜骨牡蛎湯

桂枝加竜骨牡蛎湯の効能効果は「体力中等度以下で、疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすいものの次の諸症:神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症」です。

桂枝加竜骨牡蛎湯で重要な生薬は竜骨・牡蛎です。

桂枝加竜骨牡蛎湯の竜骨・牡蛎が腎に働き、気持ちを鎮め、息を吸いやすいように納気を高めます。

桂枝加竜骨牡蛎湯にて気持ちを鎮め、腎を引き締め、結果的に呼吸がしやすくなります。

生理前に自律神経が乱れる方は逍遙散

生理前はどうしても気滞が生じやすく、自律神経が乱れやすくなります。

・イライラ
・不安
・肩こり
・生理不順 

逍遙散の柴胡・薄荷がイライラ、不安の気を巡らせ、気滞をめぐらせる働きがあります。

逍遙散の当帰・芍薬が血を養う働きがあり、生理不順にも適しています。

逍遙散はイライラの精神的な働きと、生理不順の血に対する働きのどちらもあります。

更年期に自律神経が乱れてお悩みの方は芎帰調血飲第一加減

更年期障害といえば、芎帰調血飲第一加減がおすすめです。

更年期の時期にみられる気滞・瘀血・血虚・気滞、少し腎虚傾向に適した漢方薬です。

・イライラ、不安
・冷えと火照り
・疲労倦怠感
・生理が不安定

芎帰調血飲第一加減の枳実・木香が気を巡らせ、白朮・茯苓が気を補い、桃仁・紅花が血をめぐらせ、当帰・芍薬が血を補い、ホルモンバランを整え、地黄が腎を補います。

芎帰調血飲第一加減は多くの症状に対応する生薬が入り、バランスのいい漢方薬です。

更年期で自律神経が乱れるときは芎帰調血飲第一加減がおすすめです。

産後の体力低下には芎帰調血飲第一加減

産後は、出産で気血を大量に消耗した気虚・血虚の体質になっています。

また環境の変化、育児へのプレッシャーのストレスで気滞も生じます。

・産後のいらいら
・産後の不安
・産後の脱毛、貧血

産後の気虚・血虚・気滞に対応するなら芎帰調血飲第一加減が適しています。

発汗、ホットフラッシュには知柏地黄丸

腎虚があることで身体が急に火照り、発汗しやすくなります。

・火照り
・ホットフラッシュ

発汗、ホットフラッシュには腎の働きを助けつつ、火照りを冷ます知柏地黄丸が適しています。

知柏地黄丸は更年期でよく使用しますが、更年期以外の時期でも服用していただいて大丈夫です。

自律神経が乱れて、頭痛になりやすいときは釣藤散

頭痛の原因の1つに気滞があります。気滞があることで頭痛になりやすいです。

・慢性頭痛
・締め付けるような頭痛
・イライラの神経症

気滞からの頭痛であれば釣藤散が適しています。釣藤散が気を巡らせ、頭痛、イライラの神経症にも効能効果があります。

自律神経が乱れて、吐き気があるときは半夏厚朴湯

気の巡りが悪いことで、胃がスムーズに機能しなくなり、吐き気につながります。

・吐き気
・不安
・のどがつまる、胸がつまる

吐き気のあるときは半夏厚朴湯が適しています。半夏厚朴湯の半夏が吐き気を抑え、蘇葉・厚朴が気を巡らせ、自律神経を整えてくれます。

自律神経が乱れ、急に動悸がするときは苓桂甘棗湯

自律神経が乱れ、急に動悸がしてくるときは、甘味の漢方薬で気持ちを緩めます。

・急に動悸がする
・不安で動悸がする
・予期不安

不安な気持ちから動悸がするときは苓桂甘棗湯が適しています。苓桂甘棗湯の甘草・大棗の甘味の生薬が不安な気持ちを緩め、動悸を鎮めます。

手が震えるときは抑肝散、釣藤散

手の震えは気のめぐりが悪いことで生じます。気滞が筋肉へ影響を与え、手の震えとなります。

・手の震え
・不安、緊張しやすい

気を巡らせ、自律神経を整える漢方薬に抑肝散、釣藤散があります。

イライラ、怒りやすい方は抑肝散、頭痛になりやすい方は釣藤散が適しています。

自律神経が乱れ、下痢になりやすいときは柴苓湯

気滞は消化管の働きを邪魔し、下痢になることがあります。

・下痢
・胃腸の調子が悪い
・ストレス

自律神経が乱れ、下痢するときは柴苓湯が適しています。柴苓湯は気を巡らせ、下痢の水を巡らせることで下痢に効能効果があります。

自律神経が乱れ、頻尿のときは清心蓮子飲

精神的な疲労から頻尿になることはよくあります。

・トイレが近い
・精神的な疲労
・外出、緊張するときにトイレが近い

精神的な疲労から頻尿になるときは清心蓮子飲が適しています。清心蓮子飲の蓮肉が心を落ち着かせ、茯苓・車前子が水のめぐりを整えてくれます。

自律神経失調症が乱れ、腰痛でお悩みのときは五積散

自律神経が乱れ、気滞があることで血行不良になり、腰痛になります。

・腰痛
・冷えがある

腰痛でお悩みのときは五積散が適しています。五積散が血の巡りを改善し、気の巡りも整え、腰痛に効能効果があります。

自律神経が乱れ、咳が止まらないときは柴朴湯

気滞が強い場合、肺の働きを邪魔し、咳になることがあります。

・せき、ぜんそく
・不安を感じる
・のどがつまる

自律神経失調症が乱れ、咳するときは柴朴湯が適しています。柴朴湯が気を巡らせ、不安をとりつつ、咳も抑えてくれます。

しびれでお悩みのときは疎経活血湯

気の巡りが悪いことで、血の巡りが悪くなり、しびれとなります。

・しびれ
・神経痛
・血行が悪い

血行が悪く、しびれでお悩みのときは疎経活血湯が適しています。疎経活血湯が血の巡りを改善し、しびれ、神経痛に効能効果があります。

自律神経が乱れ、背中の痛みがあるときは解労散

自律神経が乱れ、気の巡りが悪さが強いことで背中の痛みになります。

・ストレス
・背中の痛み

ときに背中の痛みがあるときは解労散が適しています。解労散が気を巡らせ、凝り固まったものをほぐしてくれます。

自律神経が乱れ、慢性の発熱があるときは解労散

気滞が長く鬱滞することで熱を持つことで、発熱してしまいます。

・ストレス
・慢性の発熱

慢性の発熱があるときは虚熱をとる解労散が適しています。

自律神経失調症におすすめのつぼ

自律神経失調症におすすめのつぼ(経穴)は労宮、合谷、後渓です。わかりやすいようにyoutubeからの動画をのせています。

労宮

労宮(ろうきゅう)は厥陰心包経のつぼで、心熱をとり、精神を安定させてくれます。

合谷

合谷(ごうこく)は陽明大腸経のツボで、気の巡りを改善し、精神を安定させ、耳の聞こえを良くし、視力を回復させます。

後渓

後渓(こうけい)は太陽小腸経のつぼで、経絡の通りをよくし、精神を鎮静化してくれます。

長くなりましたが、自律神経失調症の漢方薬についてまとめてみました。

自律神経失調症でお悩みの方はぜひご相談ください。漢方の力で自律神経失調症に悩まない生活を送る手助けをさせていただけたらと思います。

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