この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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・半夏厚朴湯はどういうときに服用したらいいの?
・合わない人っているの?
このようなお悩みに漢方薬局の薬剤師がお答えします。
この記事を読んでわかること
・半夏厚朴湯の効能効果
・半夏厚朴湯の構成生薬
・合う人、合わない人
・副作用、長期服用について
半夏厚朴湯はのどのあたりに異物感がある方の不安によく使用されます。
体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う次の諸症:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声、のどのつかえ感
半夏厚朴湯の効能効果(薬局製剤)
半夏厚朴湯の効能効果はメーカーによっても異なるので、ご購入の際はしっかりパッケージを確認してください。
半夏厚朴湯の効能効果を大きくわけると、不安神経症の精神的な働き、神経性胃炎、せきなどの喉・胸への働きに分けれれます。
・不安神経症を鎮める作用
・神経性胃炎、つわり、せきの喉・胸への作用
半夏厚朴湯の効能効果に「不安神経症」とあります。
「気滞」があることで不安になりやすくなります。
半夏厚朴湯の蘇葉・厚朴・茯苓が気を巡らせ、不安な気持ちを鎮めてくれます。
半夏厚朴湯が不安の気滞をめぐらせることで不安神経症に効能効果があります。
「咽喉・食道部に異物感があり」「神経性胃炎」「つわり」「せき」「しわがれ声」「のどのつかえ感」とあり、喉・胸・胃への働きがあることがわかります。
一言で説明すると、半夏厚朴湯には喉~胃の通りを良くする働きがあります。
喉から胸、胃の流れを改善することで、のどの異物感を解消し、神経性胃炎に効き、つわりの吐き気を抑え、せきを抑える働きがあります。
半夏厚朴湯はのど・胸・胃の通りを良くする働きがあります。
半夏厚朴湯は不安、せき、吐き気に効能効果があります。
西洋医学で考えると、不安には抗不安薬、せきには止咳薬、吐き気には吐き気止めをつかいます。
漢方ではのど~胸の気・水のつまりがあることで、不安・せき・吐き気につながると考えます。半夏厚朴湯はそれらを解消してくれます。
半夏厚朴湯には気を巡らせ、水をめぐらせる生薬が入っています。
半夏厚朴湯には半夏・茯苓・厚朴・蘇葉・生姜の5種類の生薬が入っています。
半夏厚朴湯には半夏・茯苓・厚朴・蘇葉・生姜が入っています。
半夏厚朴湯に入っている生薬を働き別にまとめてみました。
・気をめぐらせる働き:蘇葉・厚朴・茯苓
・水をめぐらせる働き:半夏・茯苓・生姜
半夏厚朴湯に入っている蘇葉・厚朴・茯苓は気を巡らせ、不安を解消する生薬です。
厚朴(こうぼく)。ホオノキの樹皮。
厚朴は胸周りの気を緩める働きがあり、喉・胸の気の通りを良くします。
蘇葉。なじみのあるシソです。シソも漢方でつかわれます。
蘇葉はシソのことで漢方の生薬の1つです。蘇葉はシソで香りが良いように、香りで気を巡らせ、開鬱に働きます。
茯苓は気を補いつつ、水をだしつつ、気持ちを落ち着ける働きがあります。
半夏厚朴湯は厚朴・蘇葉が不安を解消し、喉・胸の気の流れの通りを改善します。
半夏厚朴湯の半夏・茯苓・生姜は水を巡らせる生薬です。
半夏(はんげ)。半夏がヌメリをとり、吐き気・咳を抑えます。
半夏・茯苓・生姜はすべて水を巡らせ、吐き気、つわりを抑えてくれます。
半夏厚朴湯の蘇葉・厚朴・茯苓が気を巡らせ、不安を和らげ、半夏があわさることで吐き気を抑え、それらがあわさり、のどの異物感を解消します。
・体力中等度の方
・気分がふさぐ
・のど、胸の異物感
・不安
・せき
・吐き気
半夏厚朴湯はのど・胸の違和感があり、不安・咳・吐き気に効能効果があります。
ポイント
・のど、胸の違和感
・胸が重たい感じ
・胸がふさぐ感じ
不安の症状でも、貧血傾向で不安があれば帰脾湯、急迫的な不安であれば甘麦大棗湯がおすすめです。
「半夏厚朴湯が効かない」という経験をされた方もいらっしゃると思います。半夏厚朴湯が効かない理由としては不安でも気血の虚が強い場合、気滞が強過ぎる場合が考えられます。
合う人 | 合わない人 |
---|---|
・胸、のどの違和感、ふさぐ感じ ・不安、せき、吐き気はすべて揃う必要はなく、どれか症状が1つあればいい | ・気血の虚が強い方 ・気滞でもイライラの気滞が強い方 |
半夏厚朴湯の副作用としては、皮膚(発疹・発赤、かゆみ)などがみらることがあります。
これらの症状があらわれた場合は、副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、医師又は薬剤師に相談をしてください。
漢方の長期服用にてよく問題になるのが、甘草です。
甘草を多くとっていると副作用が生じやすくなります。
半夏厚朴湯に甘草は含まれていません。
半夏厚朴湯は甘草が入っていないため、長期服用しやすい漢方薬といえます。
半夏厚朴湯の効能効果に「咽喉・食道部に異物感があり」とあります。
半夏厚朴湯の異物感とは、異物感があって、実際に耳鼻科でみても何もつまっていません。
何も詰まっていないのに異物感がある状態を漢方では梅核気(梅の種がのどに詰まっている)、咽中炙臠・炙臠肉(あぶった肉がのどにへばりついている)と表現します。
なぜのどに異物感がある症状がでるかというと、気滞と水滞が合わさっていると考えられます。気と水のめぐりが悪くなり、それがのどで異物感になります。
気は形がないので、異物感のある部位をいくら探しても何もみつかりません。
半夏厚朴湯の効果は即効性があります。不安になったときに頓服で服用することもできます。
不安になりそうなときに予防で服用してもいいです。
また半夏厚朴湯を長期的に服用することで気・水のめぐりがよくなり、体質改善の働きもあります。
半夏厚朴湯は自律神経失調症の症状でも胸がふさぎ、不安神経症の方であれば適しています。
ただ自律神経失調症は人によって症状は様々です。
イライラが強いときは抑肝散、いらいらと不安もあるときは柴胡加竜骨牡蛎湯など、症状・体質によって使い分ける必要があります。
半夏厚朴湯は気・水をめぐらせることで、のど・食道部に異物感のある方に適した漢方薬です。
「胸苦しさ」という症状を胸の異物感と捉えると、半夏厚朴湯は胸苦しさがある方も服用することができます。
パニック障害の症状のなかでも、胸が詰まって苦しくなり、不安神経症があるのであれば半夏厚朴湯は適しています。
頓服でもいいですし、長期的に予防として服用することもできます。
半夏厚朴湯で効かないときは、不安の気の高ぶりが強いため甘麦大棗湯、苓桂甘棗湯が適しています。
半夏厚朴湯は西洋薬となり、お薬の中断による離脱症状はないとされています。
ご自身で症状が落ち着いてきたなと感じたときが半夏厚朴湯のやめどきです。
半夏厚朴湯は胃を開き、胃酸を下へ降ろしやすくすることで、吐き気、つわりにも効能効果があります。
半夏厚朴湯には人参などの胃腸の働きを助ける生薬が入っていません。
逆流性食道炎の胸やけの症状を考えると、人参も入った茯苓飲合半夏厚朴湯がおすすめです。
半夏厚朴湯は不安神経症に効能効果がありますが、西洋薬のように1つの成分で強い鎮静作用をもっているわけではありません。
昼間に服用したり、気の高ぶりがない方が半夏厚朴湯を服用しても、眠くなる可能性は低いです。
半夏厚朴湯は半夏が主薬であり、せきに効能効果があります。
半夏厚朴湯が効く咳は、少し痰が絡む咳です。半夏厚朴湯が痰を乾かしながら、咳を抑えます。
口が渇いている、痰がかなり粘っこいときは、身体の潤いが不足している状態です。乾いているときは半夏厚朴湯は余計に乾燥させてしまいます。乾きの咳には麦門冬湯、滋陰降火湯がおすすめです。
半夏厚朴湯は寝る前に服用しても大丈夫です。
・半夏厚朴湯は体力中等度で、気分がふさいで、のど・胸に異物感がある方に適しています。
・半夏厚朴湯は気・水のめぐりを整えることで、不安神経症、せき、吐き気に効能効果があります。
・半夏厚朴湯の蘇葉・厚朴が気を巡らせ、半夏があわさり、異物感を解消します。