下痢・軟便を改善するための漢方薬の選び方とおすすめの食べ物、生活習慣、ツボ

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上

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・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

西山光です
質問

・下痢・軟便に合う漢方薬は?
・どう使い分けるの?

急性の下痢、慢性的な下痢も漢方では原因があると考えられます。

下痢や軟便が続き、悩まれている方も多いと思います。

漢方の目線での下痢・軟便の考えについて解説しています。

このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。

結論

・急性の下痢
→五苓散

・ストレスから下痢・軟便になるとき
→柴苓湯

・慢性的な軟便、下痢
→参苓白朮散

・過敏性腸症候群の下痢
→桂枝加芍薬湯

・熱性の下痢・軟便
→葛根黄連黄芩湯

・お腹が冷えて、下痢するとき
→人参湯

・朝方の下痢、夜間尿があるとき
→八味地黄丸

 この記事を読んでわかること
・軟便・下痢とは
・漢方薬のつかいわけ
・おすすめの食事、生活習慣

漢方での軟便・下痢の体質について知っていただけたらと思います。

目次

下痢・軟便とは

便の水分が増え、液状に近い場合は下痢、少し軟らかい便であれば軟便といいます。

下痢・軟便の原因は?

蠕動運動に異常が生じることで、下痢や軟便になります。

食べすぎや感染症、生活習慣、体質によって、下痢や軟便になりやすいと言われています。

感染症やその他疾患が隠れている可能性もありますので、まずは病院の受診をおすすめします。

下痢の原因について森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニックさまがyoutubeにて解説されており、とてもわかりやすいため、紹介させていただきます。

慢性的に下痢が続くときにおすすめの食事

下痢が続くときは何を食べるかよりも、不調の原因となる食べ物を避けることが重要です。

下痢が続くときは、小麦、玄米、脂っこい食事、乳製品、カフェイン、アルコールを避けることをおすすめします。

小麦はグルテンによってリーキーガット症候群を引き起こし、腸に微小な炎症を起こしているといわれています。

玄米も周りに余計な皮がついており、消化のために余分なエネルギーをつかってしまいます。また玄米もリーキーガットに関係しているといわれています。

理想の食事としては昔の日本食です。一汁三菜にお魚や適度な肉の組み合わせがとても良いです。

食事についてはnippon.com様の記事が参考になるため、リンクを↓に記載しております。

漢方での下痢・軟便の原因は?

下痢になる漢方での原因として、水滞(水様性下痢)、湿熱(灼熱感)、寒湿(温めると軽減)、食滞(粘稠性の便)、肝脾不和、脾虚(胃腸が弱い)、腎虚(朝方の下痢、夜間尿)が考えられます。

治らない下痢は漢方では体質に原因があるといえます。体質が改善されていないため、下痢の症状も続きます。

軟便・下痢の漢方薬は?

軟便・下痢につかう漢方薬に、五苓散、柴苓湯、葛根黄連黄芩湯、人参湯、桂枝加芍薬湯、参苓白朮散、八味地黄丸などがあります。

それぞれの漢方薬と、その体質について説明します。

急性の下痢には五苓散

下痢するのは腸に水が溜まっている状態といえます。

腸の水のめぐりを改善することで、下痢を緩和することができます。

・急性の下痢
・胃腸炎
・水下痢が止まらない
・嘔吐
・頭痛と下痢

・二日酔いの下痢

腸に毒素や細菌を残す可能性があるため、腸の動きを止める一般的な下痢止めを使用することができません。

五苓散は腸の動きを止めないで水の偏在を改善し、下痢を緩和します。西洋医学の下痢止めを服用できないときでも五苓散を服用することができます。

嘔吐と下痢のどちらもみられるときも五苓散はどちらの症状も緩和してくれます。

ストレスから下痢・軟便になるときは柴苓湯

ストレスの気滞があることで、下痢になりなすくなります。

・ストレスからの下痢、軟便
・疲労からの下痢、軟便

柴苓湯の柴胡がストレスの気を巡らせつつ、白朮・茯苓が下痢を緩和します。

ストレスから下痢になるときは柴苓湯が適しています。

慢性的な軟便、下痢には参苓白朮散

慢性的に軟便が続くときは気虚の体質と考えられます。

・慢性的な軟便、下痢
・胃腸が弱い
・食べ過ぎ、脂っこいもので下痢

・お腹痛くないのに下痢
・ご飯食べると腹痛、下痢
・消化不良の下痢

胃腸の機能が弱っていることで下痢・軟便になります。

参苓白朮散の人参が気を補いつつ、山薬・蓮肉が軟便・下痢になりにくい体質にしていきます。

慢性的な軟便・下痢には参苓白朮散が適しています。

生理前の下痢には柴苓湯

生理前は気滞の症状が強くあらわれます。生理前は気滞になりやすいため、PMSでイライラしたり、胸が張ってきたりします。

気滞の症状が強く、気滞に胃腸が負けると下痢になります。

・生理前の下痢
・胸が張る

柴苓湯の柴胡が気滞をめぐらせつつ、人参が胃腸の働きを助けます。白朮・茯苓が入り、下痢を緩和します。

生理前の下痢には柴苓湯が適しています。

過敏性腸症候群の下痢には桂枝加芍薬湯

過敏性腸症候群で下痢・軟便になるときは気滞が強い状態と考えられます。

・過敏性腸症候群
・下痢と便秘を繰り返す

桂枝加芍薬湯は芍薬が多く入っているのが特徴的です。芍薬にて敏感な腸の動きを整えることで、桂枝加芍薬湯は下痢にも便秘にも効能効果があります。

過敏性腸症候群で下痢のときは桂枝加芍薬湯が適しています。

夏の下痢には藿香生気散

夏に下痢するのは、身体に湿気がたまり、それを排出できないため、お腹で下痢になります。

・夏の下痢
・夏風邪
・暑さによる食欲不振

藿香生気散の藿香・蘇葉などの香りの良い生薬が湿気を追い出し、下痢を緩和します。

夏の下痢には藿香生気散が適しています。

お腹がゴロゴロ鳴る下痢には半夏瀉心湯

お腹がゴロゴロ鳴るのは胃と腸で連動がうまくいっていないためです。

・お腹がゴロゴロ鳴る
・みぞおちのつかえ

・胃のムカムカ

半夏瀉心湯の辛味の乾姜と、苦味の黄連の組み合わせにて胃腸の働きを整えます。

お腹がゴロゴロ鳴る下痢には半夏瀉心湯が適しています。

熱性の下痢・軟便には葛根黄連黄芩湯

身体にこもっている熱によって、下痢・軟便になることがあります。

・炎症性の下痢
・肛門が熱い

熱性の下痢は葛根黄連黄芩湯で炎症を抑え、下痢を緩和します。

下痢したときに肛門が熱いようなときは葛根黄連黄芩湯が適しています。

お腹が冷えて、下痢するときは人参湯

お腹が冷えて下痢するときは、お腹を温める必要があります。

・お腹が冷えて下痢になる

人参湯には乾姜というお腹を温める生薬が入り、下痢を緩和します。

お腹が冷えて下痢になるときは人参湯が適しています。

朝方の下痢、夜間尿があるときは八味地黄丸

朝方の下痢、夜間尿があるときは腎虚の傾向があります。

・朝方の下痢
・頻尿
・冷える

八味地黄丸の地黄・山薬が補腎し、桂皮・附子が温めてくれます。

朝方の下痢、夜間尿があるときは八味地黄丸が適しています。

元気なのに下痢がつづく原因は?

元気があっても、舌診や脉診をすると、元気がないことはよくあります。

ご自身の元気があるという感覚と、実際の体内の状態が相関しないことはよくあります。

ご自身の間隔と実際の体質が反映しないこともありますので、当店では舌診などを行い、本来の体質を判断するように心掛けております。

下痢・軟便におすすめのツボ

下痢におすすめのツボ(経穴)は手三里、温溜、復溜です。

わかりやすいようにyoutubeの動画を載せております。

手三里

手三里(てさんり)は陽明大腸経のツボで、気の巡りを改善し、下痢・嘔吐に適したツボです。

温溜

温溜(おんる)は陽明大腸経のツボで、精神を安定させ、腹痛、下痢・便秘におすすめです。

復溜

復溜(ふくりゅう)は少陰腎経のツボで、水のめぐりを整えることで、下痢を緩和してくれます。

下痢、軟便につかう漢方薬をまとめてみました。

下痢でお悩みの方はぜひご相談ください。漢方の力で下痢に悩まない生活を送る手助けをさせていただけたらと思います。

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