PMSを改善するための漢方薬の選び方とその使い方

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西山光です

PMSとは、月経前症候群といい、生理前の精神的・身体的な症状のことをいいます。

一般的には、生理前のホルモンの乱れが原因といわれています。

生理時のホルモンバランス

生理の流れとしては、排卵されたあと妊娠しやすいように黄体ホルモン(プロゲステロン)が活発になります。

この黄体ホルモンによって体温が上昇し、いわゆる高温期といわれる状態になります。

排卵後、黄体ホルモンが活発になっても、妊娠しない場合は子宮内膜をリセットするために生理が来ます。

この高温期後期、ちょうど生理前の時期に黄体ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)が急激な低下し、ホルモンバランスが乱れ、PMSが起こるといわれています。

PMSの症状としては、イライラ、抑うつ、けん怠感、腹痛、頭痛、胸の張りなどがあります。

最近ではPMSのなかでも精神症状が強いときはPMDDともいわれています。

目次

漢方薬とPMS

漢方の用語に「血の道症(ちのみちしょう)」という言葉があります。

血の道、つまり生理や出産などを意味していると考えられます。

血の道に関する不調のことを総称して血の道症といいます。

血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことです。

血の道症は漢方では、生理前の不調、妊娠中の不調、更年期の不調などもすべて含み、かなり広い意味合いでつかわれます。

漢方では、PMSも更年期も血の道症に含まれると考えられます。

PMSの漢方での原因は?

PMSの漢方での原因は肝鬱気滞、肝鬱化火、肝陽上亢、水飲、瘀血などの体質が考えられます。

PMSにつかう漢方薬は?

PMS、血の道症に使う漢方薬に、逍遙散、加味逍遙散、加味逍遙散加川芎地黄、抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、抑肝散加芍薬黄連、桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸加薏苡仁、芎帰調血飲第一加減、柴胡桂枝乾姜湯、四物湯、三黄瀉心湯、黄連解毒湯、温清飲、香蘇散、ほか症状から柴胡加竜骨牡蛎湯、半夏厚朴湯、当帰芍薬散、桃核承気湯、呉茱萸湯、五苓散などをつかいわけます。

イライラ、肩こりが気になる女性に

☑イライラ
☑肩こり
☑生理不順 

生理前の血の問題と、イライラの気の巡りに問題があるときは加味逍遙散にて気血を巡らせることが適しています。

イライラ、怒りやすいのが気になる女性に

☑怒りやすい
☑神経が高ぶりやすい
☑イライラ

生理前の血の問題と、気の鬱滞が強く、怒りやすいときは抑肝散が適しています。

抑肝散のタイプで胃腸の弱さが気になるときは抑肝散加陳皮半夏が適しています。

抑肝散でもイライラ、怒りやすさが抑えられないときは、抑肝散に芍薬・黄連が加わった抑肝散加芍薬黄連が適しています。

不安、気分がふさぐのが気になる女性に

☑不安
☑気分がふさぐ
☑のどのつかえ感

生理前に不安の症状、のどがつかえるような症状があるときは半夏厚朴湯が適しています。

不安とイライラが気になる女性に

☑不安、イライラ
☑不眠
☑動悸
☑便秘

イライラ、不安、便秘など様々な症状があるときは、気を巡らせ、鎮める働きのある柴胡加竜骨牡蛎湯が適しています。

むくみ、貧血気味が気になる女性に

☑生理痛、生理不順がある
☑むくみやすい 
☑めまい 
☑貧血気味

生理痛・生理不順などの生理の不調があり、むくみもあるときは当帰芍薬散が適しています。

さらに虚弱体質で、胃腸の働きが弱い方は、当帰芍薬散に人参が加わった当帰芍薬散加人参が適しています。

生理痛、にきびが気になる女性に

生理痛がつらい 
☑生理不順
☑にきび 
☑しみ

生理痛、にきびなどは血のめぐりが悪いことで生じます。血の巡りを整える漢方薬に桂枝茯苓丸があります。

頭痛、冷えが気になる女性に

☑頭痛
☑手足の冷え
☑肩こり
☑吐き気

偏頭痛が起こりやすい方、生理前に冷える方は呉茱萸湯が温めることで頭痛などに効能効果があります。

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