灯心堂漢方薬局

【漢方】緊張しやすい、あがり症、社会不安症の4つの体質~肝鬱気滞・肝血虚・心火・胆虚

仕事でプレゼンの前、試験の前、人と話すときなど過度に緊張してしまうことはありませんか?

 

あがり症ともいいますね。

 

最近では、あがり症のことを社交不安症、社会不安症(SAD)ともいうみたいです。

 

 

“社交不安症の基本的特徴は、他者の注視を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面に対する、著しい恐怖または不安であり、ある振る舞いをするか、または不安症状を見せることが、否定的な評価を受けることになると恐れることとされる。”『社交不安症の診療ガイドライン』

 

 

 

緊張、あがり症、社交不安症の原因は?

はっきりとした原因はわかっていませんが、交感神経が活発になるためといわれています。

 

 

交感神経と副交感神経の違いは簡単にいえば、身体を活発に働かせるか、身体を休める方向に働くかです。

 

交感神経は体を活発にするように働き、副交感神経は体が休まるように働きます。

 

交感神経が活発になる状態をよくライオンににらまれたシマウマやウサギに例えられます。

 

自分がライオンに食べられそうになった状態を想像してください。

 

食べられないように全力で逃げる必要があります!

 

逃げるために、交感神経が活発になると、気分は興奮し、全身に血を送るために血管は収縮、血圧は上昇、俊敏に動くために筋肉も緊張、酸素を取り入れるために呼吸も早く、消化にエネルギーを費やす余裕はなくなり、消化は抑制されます。

 

反対に副交感神経が優位になると、気分は落ち着き、血管は緩み、血圧も低下、筋肉も緩み、呼吸もゆっくり、消化が活発になります。リラックスしているときにお腹が鳴るのはリラックスしている証拠といえます。

 

プレゼンや人前に立つとき、試験の前などのストレスがかかる状況では交感神経が活発になります。

 

過度に活発になった交感神経によって、様々な症状を呈します。

☑手足がふるえる

☑声がふるえる

☑冷やせをかく

☑息をしづらくなる

 

 

緊張、あがり症、社交不安症(社会不安症)の薬は?

社会不安症の適応のある西洋薬には、フルボキサミン、パロキセチン、エスシタロプラムがあります。

 

『社交不安症の診療ガイドライン』でも上記の3つの薬が第一選択薬と記載されています。

 

 

緊張、あがり症、社交不安症の漢方薬とは?

緊張という症状から、肝鬱気滞、肝血虚、心火、胆虚の状態が考えられ、状態にあわせ、四逆散、逍遙散、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、大柴胡湯、抑肝散、釣藤散、帰脾湯、黄連解毒湯などがあります。

 

 

肝鬱気滞

ストレス、悩みごと、プレッシャーのかかる状況になると、漢方では肝の気のめぐりが悪くなります。

 

漢方において、肝というのは気のめぐりを調節している臓腑です。

 

肝によって、気の流れがコントロールされています。

 

肝はストレスに弱い臓腑で、ストレスがかかると肝の調子が悪くなり、気のめぐりが悪くなります。

・責任感が強い

・気をつかう

・一生懸命

・几帳面

・一人で背負い込む

とくに上記のような性格の方も肝の不調をきたしやすいです。

 

気のめぐりが悪くなると、気が鬱滞し、さらに緊張や不安などが生じやすくなります。

 

また肝は筋肉の細かい動きもコントールしており、肝の不調によってふるえも生じてきます。

 

 

ストレスがかかる→肝の気のめぐりが悪くなる→不安、イライラ、ふるえ
 

 

肝鬱気滞のタイプには気のめぐりをよくする漢方薬をつかう必要があります。

 

気の鬱滞の程度によっても漢方薬を使い分けます。

 

四逆散、逍遙散、半夏厚朴湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、大柴胡湯などがあります。

 

 

四逆散は理気薬の代表的な漢方薬です。柴胡・枳実が気をめぐらせ、芍薬にて平肝する漢方薬です。

 

逍遙散は気血水のめぐりをバランスよく整えます。とくに女性で気のめぐりが悪い方によく使われる漢方薬です。

 

半夏厚朴湯は不安な気持ちに使う漢方薬です。のど、胸のあたりが詰まったような感じがあるときにつかう漢方薬です。

 

柴胡加竜骨牡蛎湯はイライラ・不安の気持ちを鎮める漢方薬です。柴胡が鬱滞している気をめぐらせ、竜骨・牡蛎で不安な気持ちを鎮めてくれます。

 

大柴胡湯は気をめぐらせ、便通も改善してくれる漢方薬です。柴胡が気をめぐらせ、大黄が気の鬱滞で生じた便秘を通してくれます。

 

 

肝陽上亢

肝鬱気滞の状態に血虚という血の不足が合わせることで、強いイライラが生じるようになります。

 

イライラが生じるのは気の鬱滞だけでなく、血虚も合わさっている可能性があります。

 

血虚によって陽気を鎮めることができず、イライラ、不眠症へとつながります。

 

肝陽上亢につかう漢方薬に抑肝散、釣藤散があります。

 

 

抑肝散は釣藤鈎・柴胡が入り、イライラの気を発散してくれます。

 

釣藤散は釣藤鈎・菊花が入り、イライラの気を発散し、慢性の頭痛にもつかいます。

 

 

心脾両虚

心脾両虚というのは心と脾の機能が落ちた状態のことです。

 

漢方では、脾は消化吸収機能のことをあらわし、消化吸収が悪いことで気血を養うことができなくなります。

 

心血が不足することで、不安になりやすくなります。

 

脾の働きを整え、心血を補う帰脾湯をつかいます。

 

帰脾湯は人参の気を補う生薬と、酸棗仁・竜眼肉の血を補う生薬などから構成され、気持ちを落ち着きやすい状態にしてくれます。

 

帰脾湯はほかにも不眠症にもつかうことができます。

 

 

心火

心というのは漢方においては”心は神をやどす”とし、精神症状にも関与しています。

 

その心が熱をもち、過剰になることで焦燥感とともに、緊張感へとつながります。

 

熱が原因であるため、のぼせ気味で、顔色が赤いなどの特徴があります。

 

心火の体質の方には心火を冷ます漢方薬をつかう必要があります。

 

心の熱を冷ます漢方薬に黄連解毒湯があります。

 

黄連解毒湯に入っている生薬全て苦味の生薬であり、イライラ、焦燥感の熱を冷ましてくれます。

 

 

 

 

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