灯心堂漢方薬局

【漢方】めまいの6つの体質~水飲、気滞、痰濁、肝陽、瘀血、心火から考える~

めまい

 

めまいとは、自分や周囲が動いていないのに動いているように感じる異常な感覚のことで、からだのバランスを保つ機能に障害が起こると発生します。

 

めまいの原因には大きく3つあります。

・耳に原因がある
・脳に原因がある
・その他

 

めまいなので脳に原因がありそうな印象ですが、意外にも耳が原因のことも多いです。

 

三半規管のある耳の不調で、平衡感覚を保つことができず、めまいになることもあります。

 

めまいがあるときは一度原因がないか、耳鼻科か脳に関する診療科の受診をおすすめします。

 

ここでは漢方の視点でめまいについて考えたいと思います。

 

漢方でのめまいの原因は?

めまいの漢方の原因は、水飲、気滞、痰濁、肝陽、瘀血、心火が考えられます。

 

・水飲(動悸、ふらつき)

・気滞(不安感、のどがつかえる感じ)

・痰濁中阻(頭重感、手足の重たさ)

・肝陽化風(いらいら、張ったような痛み)

・瘀血(生理痛、肩こり)

・心火(のぼせ、イライラ)

上記の6つの体質からめまいについて説明します

 

めまいの漢方薬は?

添付文書に、めまいについて記載のある漢方薬に連珠飲、苓桂朮甘湯、茯苓飲合半夏厚朴湯、半夏白朮天麻湯、半夏厚朴湯、当帰芍薬散、桃核承気湯、五苓散、黄連解毒湯、桂枝茯苓丸、沢瀉湯、釣藤散があります。

 

水飲

水飲とは水が停滞している状態です。

 

水が停滞することで気血の流れが邪魔され、本来行き渡るべきところの気が不足し、めまいとなります。

・めまい

・動悸

・ふらつき

・立ちくらみ

 

これらにあてはまるときは水飲によるめまいの可能性があります。

 

溜まっている水飲のめぐりを改善する漢方薬に苓桂朮甘湯があります。

 

苓桂朮甘湯には茯苓・白朮が入り、たまっている水を追い出します。苓桂朮甘湯には桂皮も入り、気のめぐりも一緒に改善し、水が流れやすいように助けます。水飲が頭で流れを邪魔するとめまい、立ちくらみになり、心で流れを邪魔すると動悸になるため、苓桂朮甘湯は動悸にもつかいます。

 

苓桂朮甘湯に血を養う漢方薬を足した漢方薬が連珠飲です。血を養うことで貧血、更年期などにも効果を発揮し、そういった方は血を養う働きもある連珠飲適しています。

 

気滞

気の停滞があることを気滞といいます。

 

気の鬱滞によって、気が頭までめぐることができず、めまいとなります。

 

気の鬱滞はめまいだけでなく、精神症状にも影響を与え、不安感、のどのつかえ感にも波及します。

・気分がふさぐ

・不安感

・のどのつかえ感

これらにあてはまるときは気滞によるめまいの可能性があります。

 

気の鬱滞を解く漢方薬に半夏厚朴湯があります。

 

半夏厚朴湯の半夏・厚朴・蘇葉が気のめぐりを改善し、不安な気持ちを鎮め、めまいの緩和にも働きます。

 

半夏厚朴湯の効能効果に「体力中等度をめやすとして、気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、嘔気などを伴う」とあり、これらの症状はすべて気の鬱滞が原因です。

 

めまい、気分がふさぐ、のどの違和感があれば半夏厚朴湯が適しています。

 

痰濁中阻

痰濁というのは、水が停滞し、粘性をもったものをあらわします。

 

水飲が停滞し、ヌメリとなり、痰濁となります。

 

痰濁によって気血の流れが邪魔され、めまいとなります。

・めまい

・ふらつき

・立ちくらみ

・頭重

痰濁は粘性をもった水の停滞のため、全体的におもだるい症状が多くみられます。

 

痰濁によるめまいには半夏白朮天麻湯をつかいます。

 

半夏白朮天麻湯の半夏が痰濁を追い出し、天麻が気のめぐりを整えます。半夏白朮天麻湯にはほかにも、人参・黄耆が入り、胃腸の働きも補ってくれます。

 

胃腸が弱く、めまい、立ちくらみがある方は半夏白朮天麻湯が向いています。

 

 

肝陽化風

ストレス、怒り、悩みがあることで、気の鬱滞が強くなり、風火となって、イライラが起こりやすくなります。

 

簡単にいえば、気が高ぶりやすい体質の方です。

 

気の高ぶりから、慢性頭痛、肩こり、血圧が上がりやすくなります。

・頭のふらつき
・めまい
・張ったような痛み
・いらいら
・怒りっぽい
・怒るとめまいと頭痛

これらにあてはまるときは肝陽化風のめまいの可能性があります。

 

肝風を平じ、肝陽を鎮める釣藤散が適しています。

 

釣藤散(ちょうとうさん)には釣藤鈎・菊花が入り、高ぶった気を鎮めてくれます。

 

釣藤散は高ぶった気を鎮める漢方薬のため、気の高ぶりによる慢性頭痛、血圧があがりやすい方にもつかわれます。

 

 

瘀血

瘀血(おけつ)とは血の鬱滞のことを意味します。

 

瘀血という血の鬱滞があることで、気のめぐりが邪魔され、頭重感となります。

・生理不順、生理痛

・肩こり

・更年期

これらにあてはまるときは瘀血によるめまいの可能性があります。

 

瘀血につかう漢方薬に桂枝茯苓丸があります。

 

桂枝茯苓丸には桃仁・牡丹皮・芍薬の血のめぐりを改善する生薬が入っています。桂枝茯苓丸には桂皮という気のめぐりを改善する生薬も入っているため、めまい、肩こり、生理痛のある体質の方につかわれます。

 

血のめぐりの悪さと、便秘があるときは桃核承気湯があります。桃核承気湯の桃仁が血のめぐりを改善し、大黄が一緒にお通じも改善してくれます。高血圧に伴うめまい、便秘、生理痛には桃核承気湯が適しています。

 

 

心火

熱がこもることで、めまいとなっている状態です。

 

こもっている熱によって、のぼせ、イライラ、血圧が上がりやすくめまいになりやすくなります。

・のぼせ

・いらいら

・めまい

これらにあてはまるときは熱によるめまいの可能性があります。

 

熱を冷ます漢方薬に黄連解毒湯があります。

 

黄連解毒湯の黄連・黄芩・黄柏・山梔子はすべて熱を冷ます生薬です。黄連解毒湯熱を強く冷まし、のぼせ、いらいら、めまいに効能効果を発揮します。

 

熱を冷やすことで、のぼせ、イライラ、血圧に伴うめまいを緩和します。

 

 

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