灯心堂漢方薬局

【漢方】軟便、下痢が続くときの7つの体質~軟便になりやすい体質があります~

慢性的な軟便・下痢でお悩みではないですか?

 

急性の下痢であれば、細菌やウイルスの感染症などの恐れがあります。

 

 

1か月以上、長く慢性的に続いている軟便・下痢には理由があるかもしれません。

 

下痢の漢方での原因は?

下痢になる漢方での原因として、水滞(水様性下痢)、湿熱(灼熱感)、寒湿(温めると軽減)、食滞(粘稠性の便)、肝脾不和、脾虚(胃腸が弱い)、腎虚(朝方の下痢、夜間尿)が考えられます。

 

 

下痢の漢方薬は?

下痢につかう漢方薬に、五苓散、胃苓湯、葛根黄連黄芩湯、藿香生気散、人参湯、桂枝加芍薬湯、半夏瀉心湯、啓脾湯、参苓白朮散、附子理中湯などがあります。

 

 

水滞

水滞というのは水の滞りのことです。

 

水分調整のバランスが崩れることで、水が過剰になり、下痢となります。

 

水の過剰によって、むくみ、頭痛、水様性の下痢となります。

 

水分のバランスを整えるために五苓散をつかいます。

 

五苓散には茯苓、白朮、沢瀉、猪苓の利水の生薬がメインで入り、過剰な水を追い出します。

 

五苓散には桂皮も入り、陽気を表へ向かわせ、水のめぐりをサポートしてくれます。

 

 

五苓散にさらに水を追い出す平胃散を加えたものが胃苓湯になります。

 

 

湿熱

湿熱の邪が胃腸を傷つけることで、下痢となります。

 

 

湿熱というのは、漢方では湿気の性質と熱の性質をもった邪のことをいいます。

 

簡単にいえば、熱を持った湿気が身体にとどまり、悪さをし、胃腸の働きが悪くなります。

 

胃腸の機能失調によって、きれいなものと、汚れたものを分けることができなくなり、軟便・下痢となります。

・黄褐色の水様便で臭いがある
・肛門の灼熱感
・お腹が鳴って、痛む
・お腹が痛くなるとすぐに排便する
・排便後もすっきりしない
・口渇があるが、あまり飲みたくない
・黄膩苔

これらにあてはまるときは軟便、下痢の要因が湿熱の可能性があります。

 

湿熱を追い出す黄芩湯、葛根黄連黄芩湯などの漢方薬をつかう必要があります。

 

黄芩湯(おうごんとう)は黄芩が熱を冷まし、芍薬にて平肝し、黄芩・芍薬にて熱を平じ、下痢を緩和します。

 

葛根黄連黄芩湯は黄芩が熱を冷まし、さらに黄連が入ることで熱を冷やす力が強くなっています。葛根も入り、水を上に引き上げ、肩こり、不眠にも効果があります。

 

 

寒湿

寒湿の邪によって胃腸が傷つき、食べ物を消化できずに下痢となります。

 

冷たい湿気がおなかに入ることで軟便、下痢となります。

 

冷えが要因であるため、お腹を温めると少し緩和されます。

・水様便で臭いはない
・腹痛があり、温めると軽減する
・腹満
・食欲不振
・けん怠感
・悪寒
・尿が薄い
・白膩苔

これらにあてはまるときは軟便、下痢の原因が寒湿の可能性があります。

 

寒>湿の寒湿には温める人参湯、湿>寒の寒湿には湿気を追い払う藿香生気散をつかいます。

 

人参湯には、お腹を強く温める乾姜(かんきょう)が入り、乾姜が冷えを追い出してくれます。

 

藿香生気散には藿香(かっこう)が入ることで、湿気を追い出してくれます。

 

 

 

食滞

脂っこい食事、生もの、冷たいものを食べることで胃腸の調子が悪くなり、食滞があることでお腹の不調となります。

 

日常生活でも食事によってお腹が緩くなることは実感しますよね。

 

食滞が身体のなかにとどまることで、下痢が続くこうになるため、食滞を追い出す必要があります。

・腹痛後に排便
・排便後、腹痛は改善
・しばらくすると繰り返す
・便は粘稠性か水様
・臭いが強い
・胸やお腹が張ってつかえる
・腐臭のあるげっぷ
・呑酸
・腹満

これらにあてはまるときは食滞が不調の原因の可能性があります。

 

食滞に対応した消導薬をつかう必要があります。

 

 

肝脾不和

ストレスや緊張があると、漢方では肝の気のめぐりが悪くなります。

 

気のめぐりの悪さが肝だけでとどまっていればいいのですが、脾(漢方では脾は消化吸収する臓腑すべてを含んでいます)にも影響を与えます。

 

肝気の鬱滞は脾(消化吸収する臓)に影響を与え、軟便・下痢しやすくなります。

 

ストレス、緊張で食欲がなくなったり、お腹の調子が悪くなったりするのは肝脾不和の考え方です。

・少腹部に張った痛み
・不消化の水様便
・排便後も腹痛はあまり変わらない
・精神的刺激、緊張で下痢、軟便になる
・両脇の張った感じ
・食欲不振
・呑酸
・げっぷ

これらにあてはまるときは軟便、下痢の原因が肝脾不和の可能性があります。

 

肝と脾のバランスを整える桂枝加芍薬湯、半夏瀉心湯をつかいます。

 

桂枝加芍薬湯には芍薬という肝を平じる生薬が多く入っています。芍薬が高ぶった肝を平じて、胃腸を整えます。

 

半夏瀉心湯は寒と熱のバランスを整える漢方薬です。寒熱が相乱れることで、お腹がゴロゴロなったり、呑酸、胸やけ、胃酸の込みあがり、げっぷがみられるようになります。そういった方に半夏瀉心湯が向いています。

 

 

脾虚

脾胃(消化吸収をつかさどる臓腑)が元から弱かったり、衰弱していると食べ物から栄養を吸い上げることができなくなります。

 

栄養を吸い上げ、全身に気をめぐらせることができなければ軟便・下痢となります。

・軟便、水様便
・不消化の軟便
・腹部の鈍痛
・温めたり、抑えると軽減
・食欲不振
・食後の腹満
・身体がだるい

これらにあてはまるときは脾虚が軟便、下痢の原因の可能性があります。

 

弱っている脾胃を補うような山薬、蓮肉の入った啓脾湯、参苓白朮散をつかいます。

 

啓脾湯と参苓白朮散は似たような処方ですが、啓脾湯よりも参苓白朮散の方が多くの生薬が入っています。

 

 

腎虚

腎虚になると水のめぐりが悪くなります。

 

水のめぐりが悪くなると軟便・下痢となります。

 

腎は加齢とともに弱っていくため、ご年配の方で軟便・下痢になる方はこの体質が多いです。

・早朝にへそ周囲が痛んで下痢
・腰腹部の冷え
・手足の冷え
・尿量が薄く多い
・夜間多尿

これらにあてはまるときは腎虚が軟便、下痢の原因の可能性があります。

 

不足している腎陽を補う附子理中湯などをつかいます。

 

附子理中湯の附子が腎陽を強く温め、冷えを追い出してくれます。

 

 

 

コメントは受け付けていません。

特集

〒564-0063
大阪府吹田市江坂町2-6-14-202池上第二ビル

06-6192-3020

営業時間 / 月・水・木・金 10-19時 土10-14時
定休日 / 火曜日 日曜日