【漢方】手足の発汗(掌蹠多汗症)3つの体質~脾胃湿熱・脾胃気虚・脾胃陰虚~
手のひら、足の裏に多く汗をかくことを掌蹠多汗症といいます。
この手足に多く汗をかく症状について漢方の視点で考えたいと思います。
漢方では体質によって、体内で起こっている原因は変わるため、3つの体質にわけて、それぞれの状態について説明します。
・脾胃気虚(疲れやすい、手足が冷たい)
・脾胃陰虚(ほてり、口渇、大便が固い)
目次
手足の多汗につかう漢方薬は?
手足の多汗に特化した漢方薬はありませんが、全身の多汗症の適応では防已黄耆湯という漢方薬があります。
手足の多汗の漢方での考え方は?
脾胃湿熱、脾胃気虚、脾胃陰虚の3つの体質から考えたいと思います。
脾胃湿熱
疲労などにより脾胃(消化吸収をつかさどる臓腑)の働きが弱くなると体から湿気を追い出すことができなくなり、湿気をためこみやすくなります。
湿気は痰湿となり、痰湿が停滞することで熱をもち、湿熱となります。
湿熱によって水飲を蒸発させるため、手足に汗としてでてくるようになります。
・胸、腹がつかえる
・食欲不振
・身体がだるい
・尿が濃い
・黄膩苔
これらにあてはまるときは湿熱の体質の可能性があります。
身体にたまっている湿熱を追い出すための漢方薬をつかう必要があります。
脾胃気虚
食事の不摂生や、つかれなどによって脾胃の消化吸収の働きが弱くなります。
脾胃の働きが弱くなると痰湿を追い出すことができず、ためこみやすくなります。
からだにたまった痰湿によって手足から汗をかきやすくなります。
・けん怠感
・息切れ
・ものをいうのがおっくう
・手足が冷たい
・軟便
これらにあてはまるときは気虚の体質の可能性があります。
不足している脾胃の気を補うために人参の入った漢方薬をつかう必要があります。
脾胃陰虚
熱病や辛いもの、味が濃いものの食べ過ぎによって体の水分を損傷してしまいます。
身体を冷やす水分が少なくなると相対的に熱が多くなり、ほてりとなり、手足の発汗へとつながります。
・のどの渇き
・食欲がない
・ほてり
・大便が固い
これらにあてはまるときは陰虚の体質の可能性があります。
不足してしまっている陰を補う漢方薬をつかう必要があります。
全身の多汗症であれば防已黄耆湯の適応がありますが、手足だけの多汗の適応の漢方薬はありません。
ほかの症状から、体質を考え、その状態にあった漢方薬をそれぞれ選ぶ必要があります。
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