この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数2000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です


この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数2000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

40代・50代になって、「だるさが取れない」「やる気が出ない」「イライラが止まらない」——そんな不調に悩んでいませんか?
それは男性更年期障害(LOH症候群)のサインかもしれません。
男性更年期障害は、テストステロン(男性ホルモン)の低下によって心身にさまざまな不調が現れる状態です。漢方では、この状態を「腎虚」「気虚」「気滞」といった体質の偏りとして捉え、体質に合った漢方薬で根本から改善を目指します。
このページでは、男性更年期障害に使われる漢方薬を体質別・症状別にご紹介します。
ページの最初にかんたんな体質チェックがありますので、まずはご自身の体質タイプを確認してみてください。
気になる項目にチェックを入れてください。
あなたの現在の傾向をレーダーチャートで表示します。
ページを移ると、結果は消えるので、見返したい方はスクショをとって保存してください。
後半でそれぞれの体質について解説しています。



男性更年期障害は、加齢に伴うテストステロン(男性ホルモン)の低下によって起こる心身の不調の総称です。医学的にはLOH症候群(Late-Onset Hypogonadism:加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれます。
ただし、男性更年期障害は必ずしもテストステロンの低下だけが原因ではありません。
前期更年期(40代)ではストレスによる自律神経症状の割合が多く、後期更年期(50代以降)になると男性ホルモンの減退症状が主体になってきます。
つまり、ストレスによる精神症状と、ホルモン低下による身体症状の2つの側面から考える必要があります。
男性更年期の症状は多岐にわたります。
身体の症状:疲れやすい、関節や筋肉の痛み(腰痛・肩こり)、手足のこわばり・しびれ、ほてり・のぼせ・多汗、動悸・息切れ、めまい、頭痛、頻尿・夜間尿、太りやすくなった
精神の症状:やる気がでない、イライラ・怒りやすい、不安感・気分の落ち込み、集中力の低下、不眠・眠りが浅い、涙もろくなった
性機能の症状:性欲の低下、勃起力の減退(ED)、朝立ちの減少
注意が必要なのは、気分の落ち込みや意欲低下がうつ病によるものか、男性更年期によるものか、ご自身では判断しにくい点です。まず泌尿器科やメンズヘルス外来でテストステロン値の検査を受けることをおすすめします。
男性ホルモン(遊離型テストステロン)は20代以降、年齢とともに緩やかに低下していきます。症状が出やすいのは一般的に40代後半〜60代前半ですが、30代から症状が現れる方もいます。
女性の更年期は閉経後数年で落ち着くことが多いですが、男性の場合はテストステロンが徐々に下がり続けるため、明確な「終わり」がありません。
ただし「一生つらい」という意味ではなく、適切な対策を取れば症状は改善できます。
→ 関連記事:男性更年期の乗り越え方|漢方薬剤師が教える体質別の改善法と養生



テストステロンは性欲の維持だけでなく、認知力の維持、筋肉量の増加、骨形成の促進、脂肪分解の促進など、多くの生理的役割を担っています。
テストステロンが低下すると、これらの働きもすべて弱まります。
太りやすくなる、冷え性になるといった症状も、テストステロン低下による代謝の変化で説明がつきます。
日本では遊離型テストステロン値が診断基準として用いられます。
ただし、検査値と症状の重さは必ずしも相関しないという報告が多く、数値が低くなくても症状が重い方はいらっしゃいます。
漢方では検査値だけでなく、体質全体を見て判断します。
漢方では、男性更年期障害を「腎虚」「気虚」「気滞」という3つの体質の偏りから捉えます。冒頭の体質チェックの結果と合わせてお読みください。



気虚とは、体を動かすエネルギー(気)が不足している状態です。
主な症状:疲れやすい、やる気がでない、食欲がない、胃もたれしやすい、太りやすい、声に力がない
気虚が根深く、次に述べる腎虚も兼ねているケースが多いです。その場合は補気と補腎を同時に行う必要があります。
気滞とは、ストレスや自律神経の乱れによって気のめぐりが滞った状態です。
主な症状:イライラ・怒りやすい、気分の落ち込み・ため息が多い、肩こり、お腹の張り、便秘がち、胃酸の逆流
40代の前期更年期ではストレスによる気滞が主因であることも多く、気のめぐりを整えることで改善するケースがあります。
→ 関連記事:男性更年期のイライラが止まらない|漢方で「肝」を整えて穏やかに過ごす方法



漢方の「腎」は生命エネルギーの源であり、成長・発育・生殖・老化を司る臓腑です。腎虚とは、加齢や過労によって腎の力が衰えた状態です。男性更年期の根本に最も深く関わる体質タイプです。
主な症状:ひどいだるさ、性欲低下・ED、ほてり・のぼせ・多汗(腎陰虚の場合)、冷え性(腎陽虚の場合)、頻尿・夜間尿、耳鳴り、集中力の低下
腎虚にも「冷えるタイプ(腎陽虚)」と「ほてるタイプ(腎陰虚)」があり、使う漢方薬が正反対になります。この見極めが漢方薬選びで最も重要なポイントです。
男性更年期障害に使われる漢方薬を、症状別にご紹介します。体質によって最適な処方は異なりますので、目安としてお読みください。
→ より詳しい比較は 関連記事:男性更年期障害の漢方薬ランキング|体質別の選び方とツムラ・市販薬の違い をご覧ください。
気のめぐりが滞ると、イライラや怒りが抑えられなくなります。
イライラには抑肝散(よくかんさん)がまずおすすめです。肝の昂ぶりを抑え、神経の興奮を鎮めます。
イライラに加えて便秘もある方は、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)が適しています。体力が中程度以上の方向けです。
不安感やのどのつかえ感が強い方には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)があります。胸やけもある場合は茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)が適しています。
不安・抑うつに加えて、不眠や胃腸の弱さがある方には帰脾湯(きひとう)がおすすめです。
気が立って寝つけない方には抑肝散で気を鎮めます。
疲れているのに眠れない方は肝の血が不足していると考え、酸棗仁湯(さんそうにんとう)がおすすめです。
気の不足による疲労倦怠感には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が代表的です。黄耆・人参を中心に気を大きく補い、元気を引き上げてくれます。
加齢による「腎」の衰えも重なっている場合は、補中益気湯だけでは力が足りないことがあります。その場合は中国でが補腎の生薬(鹿の角、亀の甲羅、スッポンなどの動物性生薬)も加えることもあります。
また、疲れやすさが気滞(気の停滞)から生じていることも多く、気をめぐらせることで元気になる方もいらっしゃいます。
ほてり・のぼせ・熱感からくる多汗には知柏地黄丸(ちばくじおうがん)がおすすめです。腎の陰(潤い)を補いながら余分な熱を冷ます処方です。
手足や腰が冷える方には八味地黄丸(はちみじおうがん)が適しています。桂皮・附子が体を温め、地黄・山茱萸・山薬が腎を補います。
重要な使い分け:ほてり型には知柏地黄丸、冷え型には八味地黄丸です。この選択を間違えると逆効果になることもありますので、体質の見極めが大切です。
頻尿・夜間尿がある方にも八味地黄丸が適しています。腎を補い温める働きで、水の循環を改善します。しびれやむくみを伴う場合は牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)も候補になります。
動悸が気になる方には苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう)がおすすめです。甘草・大棗の甘味の生薬が緊張を緩めてくれます。
息苦しさは神経が過敏になっている状態と捉え、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)で気を鎮めます。
更年期に伴う頭痛には釣藤散(ちょうとうさん)がおすすめです。釣藤散で効果が見られない場合は、さらに気を発散する清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)が候補になります。
夜に涙が止まらなくなる方には苓桂甘棗湯がおすすめです。甘草・大棗が精神不安を和らげます。
加齢に伴う腰痛には独活寄生丸(どっかつきせいがん)がおすすめです。腎を補いながら関節の痛みを和らげます。
耳鳴り・聴力低下には滋腎通耳湯(じじんつうじとう)がおすすめです。腎を補い、耳周辺の気の巡りを改善する処方で、当店でも特に多くご相談いただいている漢方薬です。
精力低下・EDを漢方では「陰痿(いんい)」といいます。腎を補う漢方薬を中心に、山芋、鹿の角、亀の甲羅、スッポンなどの動物性生薬も用いることがあります。
奥様が飲んでいる「命の母」を試そうとされる方もいらっしゃいますが、命の母は女性の「血虚」を中心とした不調に向けて構成されています。
男性更年期の根本にある「腎虚」「気虚」への対応力が弱いため、男性が飲んでも十分な効果を感じにくいことが多いです。
→ 詳しくは 関連記事:命の母は男性の更年期にも使える?漢方薬剤師が成分から本音で解説
イライラ・ストレス・自律神経の乱れには、ジャスミンティー、レモン、紫蘇、柑橘類など香りの良いものがおすすめです。香りには気のめぐりをよくする「理気」の作用があります。
腎を補う食べ物としては、山芋(長芋)、くるみ、黒ごま、黒豆、クコの実、エビ、牡蠣などがあります。漢方の生薬としても使われるものが多く、「薬食同源」の考え方で日常に取り入れやすい食材です。
より本格的に補腎したい場合は、鹿の角、亀の甲羅(亀板)、スッポンの甲羅(別甲)、冬虫夏草などの動物性・菌類の食材もあります。
→ 関連記事:男性更年期とアルコール|飲酒がホルモンに与える影響と漢方・薬膳でできること
最近やる気がでない。朝が起きられない。精力も落ちてきている。
やる気と精力が落ちているため、腎を補う漢方薬を使いました。
3ヶ月後にはやる気もでて、精力も回復してきたとのことです。その後はご自身の調子に合わせて漢方薬を服用され、2〜3ヶ月に1回のペースで当店に相談にいらっしゃっています。
今までに比べると極端に元気がでなくなった。お手洗いの回数も近く、夜間にも何度も起きる。
かなり元気が落ち込んでいる様子で、頻尿の傾向があり、腎を補う漢方薬を中心に使いました。
半年後には元気がでて、外出できるようになりました。尿の回数も減ったとのことです。服用していた方が調子がいいため、現在も続けていただいています。
仕事のストレスもあり、イライラしやすく、倦怠感が強い。ほてりやすい。
腎虚からのほてりと、気滞からのイライラがみられたため、2種類の漢方薬を服用していただきました。
半年後には、ほてりも気にならなくなり、イライラも緩和されました。
仕事への集中力が低下していることを気にされている。少しうつっぽい気がする。
集中力の低下も腎虚が関係していると考え、腎を補う漢方薬を使いました。
1年ほどかけて仕事の集中力が以前に戻り、気分も前向きになったとお喜びいただけました。精力も元気になりました。服用している方が調子がいいため、現在も続けられています。
男性更年期障害は、体質によって使う漢方薬がまったく異なります。「八味地黄丸がいい」と聞いて試しても、ほてりタイプの方には逆効果になることすらあります。
当店では、お一人おひとりの体質をしっかり見極めたうえで、漢方をご提案しています。
LINEでの事前ヒアリングからスタートできます。お気軽にお問い合わせください。















