この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数2000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です


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「命の母って男性が飲んでもいいの?」 「命の母の男性版ってないの?」
男性更年期障害でお悩みの方から、こうしたご質問をいただくことが増えました。奥様が飲んでいる命の母を見て、「自分にも効くのでは」と考える方は少なくありません。
結論から申し上げると、命の母は男性が飲んでも問題はありませんが、男性更年期の体質に合わないことが多いです。
このページでは、漢方薬剤師の立場から、命の母の成分を漢方的に読み解き、なぜ男性更年期には合いにくいのかを本音で解説します。
そのうえで、男性の体質に合った漢方薬の選び方もご紹介します。
命の母には「命の母A」「命の母ホワイト」「命の母メグリビ」の3種類があります。
小林製薬が製造する第2類医薬品で、更年期障害に伴う諸症状の改善を目的とした女性保健薬です。
命の母Aには13種類の生薬(トウキ、センキュウ、シャクヤク、ブクリョウ、ソウジュツ、ダイオウ、コウブシ、ゴシュユ、ニンジン、コウカ、ハンゲ、カノコソウ、シャゼンシ)に加え、ビタミンB群、ビタミンE、カルシウム、タウリン、レシチンなどが配合されています。
漢方薬ではなく「生薬+栄養素の複合製剤」という位置づけです。「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」「加味逍遙散」の3大婦人薬を参考に構成されています。
命の母ホワイトは、生理前〜生理中の不調(PMS、月経痛、生理不順)に対応したタイプです。11種類の生薬(トウキ、センキュウ、シャクヤク、ブクリョウ、ソウジュツ、タクシャ、ケイヒ、ボタンピ、ダイオウ、トウニン、ニンジン)で構成されています。
構成を漢方的に見ると、当帰芍薬散+桂枝茯苓丸に近い内容です。
冷えやむくみなど「めぐり」に特化したタイプです。加味逍遙散加四物湯(加味逍遙散加川芎地黄)の構成です。
気の巡りに特化した加味逍遙散と、血を養う四物湯を合わせたような構成です(加味逍遙散+四物湯)。
では、命の母の生薬を漢方の視点で分析してみましょう。
命の母A・ホワイトのいずれにも共通して入っている生薬の中心は、当帰(トウキ)・川芎(センキュウ)・芍薬(シャクヤク)です。この3つはいわゆる「四物湯」の主要構成生薬で、血を補い、血のめぐりをよくする働きがあります。
命の母Aには香附子・カノコソウといった、気を巡らせる生薬が入っています。
命の母ホワイトは血を巡らせる生薬が多く入っています。
つまり命の母は、漢方的に見ると「血を補い、気・血を整える」ことに重点を置いた処方です。
ここからが本題です。命の母が男性更年期に合いにくい理由を、漢方の体質論から説明します。
女性は毎月の生理で血を消耗するため、女性は「血虚(けっきょ)」の状態になりやすい体質です。
命の母は、この血虚を前提に、血を補う生薬を中心に構成されています。
一方、男性には生理がありません。
もちろん男性にも血虚はありますが、女性ほど血が不足することは多くありません。
血が十分にある方が命の母を飲んでも、補う必要のないものを補うことになり、効果を感じにくいのです。
漢方で男性更年期の中心にあるのは「腎虚(じんきょ)」です。
腎とは、生命力の根本を司る臓腑で、成長・発育・生殖・老化に深く関わります。
男性更年期障害は、加齢によるテストステロン(男性ホルモン)の低下が主な原因です。漢方ではこれを「腎精の衰え」と捉えます。つまり、男性更年期を改善するには「腎」を立て直す処方が必要です。
ところが命の母には、腎を補う代表的な生薬(地黄・山茱萸・山薬など)がほとんど含まれていません。ここが、男性更年期に対して命の母が根本的に合いにくい最大の理由です。
男性更年期でよくみられる「やる気が出ない」「疲れやすい」「集中力の低下」といった症状は、漢方では「気虚(ききょ)」に分類されます。気を大きく補う生薬(黄耆・人参など)も、命の母には少量しか入っていません。
命の母は「血虚」「瘀血」「水滞」が中心の女性の更年期に向けて設計された製品です。男性更年期の根本にある「腎虚」「気虚」に対応する生薬が足りないため、男性が飲んでも十分な効果を感じにくいことが多いのです。
もちろん、男性でも血のめぐりが悪い方、冷えが強い方であれば、命の母で一定の効果を感じる可能性はあります。
「命の母ホワイトのほうが男性に効くのでは?」というご質問もいただきます。
命の母ホワイトは、桂皮(ケイヒ)や牡丹皮(ボタンピ)など体を温めて血行を促進する生薬が入っており、冷えが強い男性には命の母Aよりも合う可能性はあります。
ただし、命の母ホワイトも基本的な設計は女性の月経トラブル向けです。先ほど述べた「腎虚」「気虚」への対応が弱い点は命の母Aと同様ですので、男性更年期の本質的な改善を期待するのは難しいと考えます。
男性更年期に対して漢方でアプローチする場合、以下のような体質タイプに応じた処方が候補になります。
加齢による衰えを強く感じる方。腎虚の症状は、足腰のだるさ、頻尿・夜間尿、性機能の低下、白髪・脱毛の増加など。
代表的な漢方薬として、八味地黄丸(はちみじおうがん)や牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)があります。腎を温めて生命力を底上げする「補腎薬」の代表格です。
ほてりが強い方には知柏地黄丸(ちばくじおうがん)が適します。
中国では鹿の角や動物の睾丸などの動物性の生薬で腎を補っていきます。
体力の低下、食欲不振、やる気が出ない、朝起きられないといった症状が目立つ方。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が第一選択になることが多いです。「気」を大きく補い、元気を引き上げてくれる処方です。
もう少し体力の消耗が強い場合は人参養栄湯(にんじんようえいとう)や十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)も候補に入ります。
ストレスが強く、イライラ、不眠、不安感、動悸などの精神症状が目立つ方。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や抑肝散(よくかんさん)が代表的です。
ストレスによる自律神経の乱れが大きく影響しているケースで力を発揮します。
実際の男性更年期は、上記のタイプが複合していることがほとんどです。たとえば「腎虚+気虚」であれば補腎薬と補気薬を組み合わせたり、「腎虚+気滞」であれば補腎しながら気の巡りを整えたりと、体質に合わせて処方を組み立てることが大切です。
「八味地黄丸ならドラッグストアでも買えるのでは?」と思われるかもしれません。たしかに、市販のエキス剤でも一定の効果は期待できます。
ただし、市販の漢方薬は「一般的な体質向け」に配合が決まっています。たとえば八味地黄丸を飲んでも、「ほてりが強い」「胃腸が弱い」といった体質の方には合わないことがあります。
煎じ薬(オーダーメイド漢方)であれば、生薬の種類や分量を体質に合わせて加減できるため、より的確に体質に合った処方をお作りできます。
市販の漢方薬を2〜3ヶ月試しても改善を感じない場合は、体質そのものが処方に合っていない可能性がありますので、漢方の専門家にご相談ください。
奥様の勧めで命の母Aを1ヶ月間服用されましたが、倦怠感やイライラは改善せず、むしろ胃もたれを感じるようになったとのことでした。
お話を伺うと、足腰のだるさ、夜間尿2回、朝の倦怠感が強く、典型的な「腎虚+気虚」タイプでした。
腎と気を補う漢方薬をご提案したところ、1ヶ月半ほどで朝の起き上がりが楽になり、3ヶ月後には夜間尿も1回に減ったとお喜びいただけました。
命の母は、女性の更年期に向けてよく考えられた優れた製品です。ただし、男性更年期の根本的な原因である「腎虚」「気虚」に対応する生薬が少ないため、男性が飲んでも十分な効果を感じにくいことが多いです。
男性更年期の改善には、腎を立て直す補腎薬(八味地黄丸、知柏地黄丸など)や、気を大きく補う補気薬(補中益気湯、人参養栄湯など)を体質に合わせて選ぶことが大切です。
ご自分の体質に合った漢方薬を知りたい方は、漢方の専門家にご相談されることをおすすめします。
八味地黄丸、補中益気湯を服用したけど、あまり効果の実感がでなかったという方のご相談も多いです。漢方薬を服用しても実感がない方もぜひご相談ください。
当店では、男性更年期障害の漢方相談を承っております。体質をしっかり見極めたうえで、漢方をご提案しています。
「市販の漢方薬を試したけれど変わらなかった」「命の母を飲んでいるが効果を感じない」という方も、体質に合った漢方薬に切り替えることで改善されるケースは少なくありません。
LINEでの事前ヒアリングからスタートできますので、お気軽にお問い合わせください。


















