この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数2000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です


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「テレビの音が大きいと家族に言われる」
「会話で何度も聞き返してしまう」
「静かな部屋でキーン、ジーという耳鳴りが続く」——。
加齢とともに増えてくる耳の不調でお悩みの方へ。
この記事では、漢方薬 滋腎通耳湯(じじんつうじとう) について、口コミ・効き目の実際、使い方と合わない人の特徴、飲み合わせ・副作用、ツムラの番号、保険適用、市販や通販品(春風・補調など)との違いまで、江坂の漢方専門店・灯心堂漢方薬局の薬剤師がわかりやすく解説します。
年齢を重ねると、耳の聞こえに関する悩みは少しずつ増えてきます。
病院で「加齢によるものなので仕方ない」と言われ、ガッカリされた方も少なくありません。
けれども漢方には、こうした加齢に伴う聞こえの不調にアプローチする独自の考え方があります。
その中心にあるのが、耳と深く関わる 「腎虚(じんきょ)」 です。
滋腎通耳湯(じじんつうじとう) は、中国の古典医書『万病回春(まんびょうかいしゅん)』に由来する、歴史ある漢方処方です。その名のとおり、「腎(じん)を滋養(じよう)し、耳の通りをよくする」 ことをめざします。
一般用医薬品としての効能・効果は次のとおり定められています。
体力虚弱なものの次の諸症:耳鳴り、聴力低下、めまい
つまり、体力があまり強くない方の、加齢に伴う耳鳴り・聴力低下・めまいに用いられる漢方薬です。



漢方では、成長・発育・生殖や体の水分代謝、生命エネルギーの貯蔵といった働きをまとめて 「腎」 と呼びます。
西洋医学の「腎臓」よりもずっと広い意味を持ちます。
この腎の働きが加齢や疲労で衰えた状態が 「腎虚」 で、誰にでも起こりうる老化のサインです。
漢方の古典には 「腎は耳に開竅する」(腎の状態は耳にあらわれる)という考え方があります。
腎が衰えると、老化現象として耳鳴りや聴力低下といった耳の不調が起こりやすくなる、ととらえるのです。
こんなサインはありませんか?(腎虚のチェック)
複数当てはまる方は、腎虚が背景にあるかもしれません。
滋腎通耳湯は、この腎虚を補いながら、耳まわりの巡りを整えることをめざす漢方薬です。
滋腎通耳湯は、血を補う代表的な処方「四物湯(しもつとう)」(当帰・地黄・芍薬・川芎)をベースに、全部で 10種類の生薬 で構成されています。
| 生薬名 | 主な役割(漢方的な考え方) |
|---|---|
| 当帰(トウキ) | 血を補い、巡りを助ける |
| 川芎(センキュウ) | 血の巡りをよくする |
| 芍薬(シャクヤク) | 血を養い、緊張をやわらげる |
| 知母(チモ) | こもった熱を冷ます |
| 地黄(ジオウ) | 腎を潤し、補う |
| 黄柏(オウバク) | 余分な熱を冷ます |
| 白芷(ビャクシ) | 巡りを助け、通りをよくする |
| 黄芩(オウゴン) | 熱を冷ます |
| 柴胡(サイコ) | 気の巡りを整える |
| 香附子(コウブシ) | 気を巡らせ、ストレスをやわらげる |
「補う働き」と「めぐらせる働き」の両方をあわせ持つのが、この処方の大きな特徴です。
加齢で弱った腎を補いつつ、耳まで栄養と血流を届け、こもった熱を冷ます——耳の不調を抱えた方のために、バランスよく設計されています。
小太郎漢方(コタロー)の滋腎通耳湯には、粉薬(エキス細粒G)と錠剤(エキス錠N)があります。実は、この2つは1日あたりの生薬量が少し異なります。
| 粉薬:エキス細粒G「コタロー」 | 錠剤:エキス錠N「コタロー」 | |
|---|---|---|
| 1日の服用量(大人) | 3包(6g)※1回1包×3回 | 21錠 ※1回7錠×3回 |
| 10生薬それぞれの量(1日量) | 各2g | 各1.25g |
| 原生薬の合計(1日量) | 約20g | 約12.5g |
粉薬(細粒)の方が、1日に摂れる生薬量・エキス量がやや多めになります。
しっかりした量で続けたい方や、量の微調整をしたい方には細粒が向いています。
一方、錠剤は生薬量はやや控えめですが、漢方特有の味やにおいが気になりにくく、外出時にも持ち運びやすいのが利点です。
「続けやすさ」も効果を実感するうえで大切なので、どちらが合うか迷う場合はご相談ください。
錠剤はほとんどのメーカーが生薬量各1.25gと少な目の量の設計になっています(コタロー、クラシエ、春風、万葉、補調、幸輝のすべてが粉薬よりも少なめの設計になっています)。
インターネットには「耳鳴りが楽になった」という声もあれば、「効果がない」「効かない」という口コミも見られます。実際のところどうなのか、専門家の立場からお伝えします。
滋腎通耳湯は、痛み止めのように一瞬で効くタイプの薬ではありません。
腎を補い、体の巡りを整えながら、少しずつ土台を立て直していく漢方薬です。
一般的な目安として、まず3か月ほど続けて様子をみることが多く、実感には数か月かかることも珍しくありません。
「即効性」を期待すると物足りなく感じるかもしれませんが、加齢による不調へはじっくり続けることが理にかなっています。
・ジーという耳鳴りが数年続いている
・ここ数年で聴力が下がってきている
・老化を感じ、耳の調子が悪くなってきた
滋腎通耳湯には、「補う働き」と「めぐらせる働き」の2つがあります。この特徴から、合う方・合いにくい方が分かれます。
滋腎通耳湯が合いやすい方
滋腎通耳湯が合いにくい・別の処方が向く場合
「自分はどちらのタイプ?」は自己判断が難しい部分です。迷う場合は、体質を確認したうえで選ぶことをおすすめします。
「ツムラ◯番」で漢方を探される方が多いため、よくいただく質問です。結論から言うと——
滋腎通耳湯は、ツムラからは製造・販売されていません。したがって「ツムラ◯番」という番号は存在しません。
滋腎通耳湯は、小太郎漢方製薬(コタロー) やクラシエなど、他のメーカーが製造しています。ツムラの番号で見つからないのはそのためで、番号がないからといって効果や信頼性が劣るわけではありません。
「滋腎通耳湯 保険適用」もよくされる質問です。
滋腎通耳湯は一般用医薬品です。医療用の医薬品ではないため、保険はつかえません。
「病院で相談したけれど扱いがなかった」という方も、市販の滋腎通耳湯であれば当店でお求めいただけます。
滋腎通耳湯は、次のような場所で購入できます。
当店では、小太郎漢方製薬(コタロー)の滋腎通耳湯 を取り扱っています。粉薬(細粒)と錠剤があり、1日あたりの生薬量が異なります。
飲みやすさ・続けやすさ・生薬量をふまえてお選びいただけます。
「どれが自分に合う?」と迷ったときは、購入前にご相談ください。
ラジオやテレビの通販で、「春風滋腎通耳湯」「補調滋腎通耳湯(新大和漢方)」「幸輝滋腎通耳湯」「万葉滋腎通耳湯」「補聴滋腎通耳湯」 といった名前を耳にして検索される方も多くいらっしゃいます。
ここが大切なポイントです。
これらの通販ブランド品も、中身は同じ「滋腎通耳湯」という漢方処方です。成分量も錠剤の量で、すべて同じです。
商品名やパッケージ、販売方法(定期購入など)が異なるだけで、目的とする働きは同じです。選ぶときは、ブランド名や広告の印象よりも、
——という視点をおすすめします。当店では体質を確認したうえで、続けやすい形をご提案しています。
「滋腎通耳湯 飲み合わせ」「副作用」もよくいただくご質問です。漢方薬にも、体質や体調によって注意が必要な場合があります。
ほかの薬やサプリメントを服用中の方は、念のため服用前に薬剤師へお知らせください。特に医師の治療を受けている方は、事前のご相談をおすすめします。
これらの症状が続いたり強くなったりした場合は、服用を中止し、製品を持って医師・薬剤師・登録販売者にご相談ください。
滋腎通耳湯を続けるのと合わせて、生活の中で「腎」をいたわると、より心強い後押しになります。
1. 体を冷やさない(「三首」を温める):首・手首・足首、そして腰まわりを冷やさないように。ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのもおすすめです。
2. 「黒い食材」を取り入れる:黒豆・黒ごま・ひじき・昆布・わかめ・きくらげなど、腎を養うとされる黒い食材を毎日の食事に少しずつ。
3. しっかり休む:腎のエネルギーは過労や睡眠不足で消耗しやすいと考えられています。質のよい睡眠を大切に。
灯心堂漢方薬局 では、生薬を扱う漢方専門店として、問診・舌診でお身体の状態を確認し、滋腎通耳湯が合うタイプかどうかを一緒に見極めます。「別の漢方(柴蘇飲など)の方が合いそう」という場合も、正直にお伝えします。
まずはお気軽に、聞こえのお悩みをお聞かせください。
A. 「じじんつうじとう」と読みます。
A. ツムラでは製造されておらず、番号はありません。ツムラ以外のクラシエ、コタローなどが製造しています。
A. 滋腎通耳湯は市販薬なので保険はつかえません。
A. 個人差がありますが、まず3か月ほど続けて様子をみることが多く、実感には数か月かかることもあります。
A. 滋腎通耳湯はじっくり効くタイプの漢方薬なので、まずは数か月服用してください。それでも効果がでないのであれば、体質に合っていない、または「めぐり」中心のタイプで柴蘇飲などが向く可能性もあります。
A. ほかの薬・サプリを併用中の方、医師の治療を受けている方は、服用前に薬剤師へご相談ください。
A. 中身は同じ「滋腎通耳湯」という処方で、成分の量も同じです。商品名・パッケージ・販売方法が異なるだけで、目的とする働きは同じです。
A. 第2類医薬品として店頭やネット通販で購入できます。当店でもコタローの滋腎通耳湯をお求めいただけます。
A. コタローの場合、粉薬(細粒)は1日の生薬量がやや多め(各2g・エキス4.6g)、錠剤はやや控えめ(各1.25g・エキス3.45g)です。しっかりした量で続けたい方は細粒、味やにおいが苦手な方・持ち運び重視の方は錠剤が向きます。続けやすさも大切なので、迷う場合はご相談ください。
A. どちらも腎を補う考え方の処方ですが、滋腎通耳湯は特に耳の不調(耳鳴り・聴力低下・めまい)に向けて組み立てられています。どちらが合うかは体質によります。
「歳のせい」とあきらめる前に、体の内側から聞こえの土台を整えてみませんか。