男性更年期障害(LOH症候群)の漢方薬ランキング|体質別の選び方とツムラ・市販薬の違いを薬剤師が解説

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西山光です

「男性更年期に効く漢方薬はどれがいいのか」 「ツムラとクラシエで違いはあるのか」 「市販の漢方薬で本当に効くのか」

男性更年期障害で漢方薬を検討されている方から、こうしたご質問を多くいただきます。

ネットで調べると「八味地黄丸」「補中益気湯」などの名前は出てきますが、どれが自分に合うのかが分からないという方がほとんどです。

実は、漢方薬は体質によって合う・合わないがはっきり分かれます。万人に効くランキング1位の漢方薬は存在しません。

このページでは、漢方薬剤師の立場から、男性更年期に使われる漢方薬を体質タイプ別にランキング形式でご紹介します。あわせて、ツムラ・クラシエなど市販品の特徴と、煎じ薬との違いも本音で解説します。


目次

まず知っておいてほしいこと——漢方薬選びの大前提

ランキングに入る前に、大切なことをお伝えします。

漢方薬は、同じ「男性更年期障害」でも、体質によって使う薬がまったく異なりますこれは西洋薬との最大の違いです。

たとえば、同じ「疲れやすい」という症状でも、冷えが強い方と、ほてりが強い方では使う漢方薬が正反対になります。冷えが強い方に体を温める八味地黄丸は合いますが、ほてりが強い方に八味地黄丸を使うと症状が悪化する可能性があります。

ですから、以下のランキングは「この漢方薬が一番効く」という意味ではなく、「この体質の方にはこの漢方薬が第一候補になりやすい」という順位づけです。ご自身の症状と照らし合わせながらお読みください。


体質タイプ別 男性更年期の漢方薬ランキング

男性更年期は、大きく3つの体質タイプに分けて考えます。


漢方 腎

【腎虚タイプ】加齢による衰え・冷え・性機能低下が中心の方

足腰のだるさ、冷え、頻尿・夜間尿、性欲低下、白髪・脱毛の増加、耳鳴り、物忘れが目立つ方。漢方で「腎」の力が衰えた状態です。男性更年期の根本に最も関わるタイプです。

第1位:八味地黄丸(はちみじおうがん)

男性更年期の漢方薬として、最も知名度が高い処方です。地黄・山茱萸・山薬で腎を補い、附子・桂皮で体を温めます。

向いている方冷えがあり、足腰がだるく、夜間にトイレに起きる方。体力が中程度以下の方。

注意点:胃腸が弱い方は、地黄の影響で胃もたれ・軟便になることがあります。また、ほてり・のぼせが強い方には合いません(温める附子・桂皮が逆効果になるため)。

ツムラ・市販品:ツムラ7番、クラシエ八味地黄丸があります。八味地黄丸はドラッグストアでも購入可能です。

第2位:牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)

八味地黄丸に牛膝(ごしつ)・車前子(しゃぜんし)を加えた処方です。八味地黄丸の効能に加えて、むくみ・しびれ・排尿トラブルへの対応力が強化されています。

向いている方:八味地黄丸の適応に加えて、牛車腎気丸は足のむくみ、下半身のしびれ、排尿困難がある方。

ツムラ・市販品:ツムラ87番として医療用があります。市販品も一部メーカーから出ています。

第3位:知柏地黄丸(ちばくじおうがん)

六味地黄丸(腎を補う基本処方)に知母・黄柏を加えて、余分な熱を冷ましながら腎を補う処方です。

向いている方:冷えよりもほてり・のぼせ・寝汗が目立つ方。手足がほてる、口が渇く、寝汗をかく方。腎陰虚タイプの方。

重要な使い分け:八味地黄丸が「冷えのある腎虚」に使うのに対し、知柏地黄丸は「熱のある腎虚」に使います。この使い分けを間違えると効果が出ないどころか悪化することもあるため、体質の見極めが重要です。

ツムラ・市販品:ツムラの医療用にはありません。知柏地黄丸は市販品にしかない漢方薬です。


【気虚タイプ】疲労・意欲低下・体力低下が中心の方

とにかく疲れやすい、やる気が出ない、朝起きられない、食欲がない、声に力がない、風邪をひきやすいといった症状が目立つ方。体のエネルギー(気)そのものが不足している状態です。

第1位:補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

「気」を補う漢方薬の代表格です。黄耆・人参を中心に、沈んだエネルギーを引き上げる処方で、「元気を出す漢方薬」として広く知られています。

向いている方全身の倦怠感、食欲不振、やる気の低下が中心の方。手足がだるく、日中も眠い方。

男性更年期での使い方:テストステロン低下による意欲低下に対し、気を大きく補うことで元気を底上げします。補腎薬(八味地黄丸など)と組み合わせて使うこともあります。

ツムラ・市販品:ツムラ41番。補中益気湯は市販品も多く、最も入手しやすい漢方薬のひとつです。

第2位:人参養栄湯(にんじんようえいとう)

補中益気湯と似た方向性ですが、血を補う生薬(当帰・地黄・芍薬・白朮)が加わっており、気虚と血虚が同時にある方に適しています。

向いている方疲労に加えて、顔色が悪い、貧血傾向、皮膚の乾燥、不眠(寝つきが悪い)がある方。やせ型で消耗が強い方。

ツムラ・市販品:ツムラ108番として医療用があります。人参養栄湯の市販品は少ないですが、一部メーカーから販売されています。

第3位:十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

気と血の両方を大きく補う処方で、「全身の立て直し」に使われます。

向いている方体力の消耗が著しく、補中益気湯では力が足りないほど弱っている方。術後や大病後の回復期にも使われる処方です。

補中益気湯との違い:補中益気湯が「気を引き上げる」ことに重点を置くのに対し、十全大補湯は「気と血をまんべんなく補充する」処方です。

ツムラ・市販品:ツムラ48番。十全大補湯は市販品もあります。


【気滞・肝鬱タイプ】イライラ・不安・不眠が中心の方

怒りっぽくなった、不安感・動悸がある、眠れない、のどがつかえる、ストレスで体調が大きく変わるという方。気のめぐりが滞り、精神症状が前面に出ている状態です。

第1位:柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

気を巡らせる柴胡に、精神を鎮める竜骨・牡蛎を組み合わせた処方で、男性更年期の精神症状に対して最も使用頻度が高い漢方薬のひとつです。

向いている方体力が中程度以上で、イライラ・不安・動悸・不眠が同時にある方。胸脇部が張る感じや便秘傾向がある方。

ツムラ・市販品:ツムラ12番。柴胡加竜骨牡蛎湯は市販品もあります。

第2位:抑肝散(よくかんさん)

「肝の昂ぶりを抑える」という名前の通り、神経の興奮を落ち着かせる処方です。

向いている方怒りっぽい、歯ぎしりをする、筋肉がこわばる方。柴胡加竜骨牡蛎湯よりも体力がやや落ちている(虚証寄り)方に向いています。

柴胡加竜骨牡蛎湯との使い分け:体力があり便秘傾向の方には柴胡加竜骨牡蛎湯、体力が落ちていて胃腸が弱い方には抑肝散が向いています。

ツムラ・市販品:ツムラ54番。抑肝散は市販品も多く、入手しやすい処方です。胃腸が弱い方には抑肝散加陳皮半夏(ツムラ83番)がおすすめです。

第3位:加味逍遙散(かみしょうようさん)

イライラと憂うつが交互に出る方、のぼせと冷えが同時にある方に適した処方です。女性の更年期に頻用されますが、男性にも使えます。

向いている方イライラ、肩こり、のぼせ、倦怠感が同時にあり、症状が日によって変動する方。

ツムラ・市販品:ツムラ24番。加味逍遙散は市販品も多く購入可能です。


総合ランキング——迷ったらこの3つから

体質タイプが分からない、迷うという方のために、男性更年期全体で当店で使用頻度の高い漢方薬をまとめます。

1位:八味地黄丸——男性更年期の根本である腎虚に直接アプローチする漢方薬。冷えがあり、加齢の衰えを感じている方の第一選択。

2位:補中益気湯——疲労感と意欲低下が主訴の方に。単独でも使えますが、八味地黄丸と併用して「腎と気の両方を補う」使い方も多い処方。

3位:柴胡加竜骨牡蛎湯——イライラ、不安、不眠など精神症状が強い方に。体力のある方には最初に試していただきたい処方。

ただし、繰り返しになりますが、この順位は「誰にでも効く順」ではありません。ほてりが強い方には1位の八味地黄丸より知柏地黄丸のほうが合いますし、体力が落ちている方には3位の柴胡加竜骨牡蛎湯より抑肝散のほうが適しています。


ツムラ・クラシエなど市販の漢方薬について

主要メーカーの特徴

ツムラ:医療用漢方のシェアが圧倒的に高いメーカーです。病院で処方される漢方薬の多くはツムラ製です。市販品は「ツムラ漢方」シリーズとして販売されています。市販品は医療用の半分の成分量になっています。

クラシエ:市販の漢方薬に力を入れているメーカーです。錠剤タイプも多く、顆粒が苦手な方に選ばれています。市販品は医療用の半分の成分量になっています。

小太郎漢方:漢方専門薬局向けの製品が中心で、一般のドラッグストアではあまり見かけません。処方の種類が豊富で、知柏地黄丸など他社にないラインナップがあります。

市販の漢方薬で効果を感じない場合

市販の漢方薬を1〜2ヶ月試しても効果を感じない場合、原因は主に2つ考えられます。

1つ目は、体質と処方が合っていない可能性です。ネットの情報で「男性更年期には八味地黄丸」と知って購入しても、自分の体質が八味地黄丸に合わなければ効果は出ません。ほてりタイプの方が八味地黄丸を飲むと、かえって症状が悪化することすらあります。

2つ目は、エキス剤の力では足りない可能性です。市販のエキス剤(顆粒・錠剤)は、煎じ薬に比べて有効成分の量が少なくなります。症状が軽い段階では市販品で十分な場合もありますが、症状が強い方や慢性化している方には力不足になることがあります。中国では動物性の生薬をつかうこともあります。



ルビーナは男性更年期に使える?

「ルビーナ」は武田薬品が販売する更年期向けの漢方系製剤で、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)と四物湯(しもつとう)を合わせた「連珠飲(れんじゅいん)」という処方をベースにしています。

ルビーナは女性の更年期症状(めまい、ふらつき、冷え、のぼせ)を想定した製品です。命の母と同様に、血を補い水の巡りを整える方向性の処方であり、男性更年期の根本にある「腎虚」や「気虚」への対応力は弱いと考えます。

めまい・ふらつきが主症状の男性であれば、一時的に症状が緩和する可能性はありますが、男性更年期の本質的な改善を期待するのは難しいでしょう。


漢方相談に来られた方の事例

50代男性:市販の八味地黄丸を3ヶ月飲んだが変わらなかった

ネットで調べて市販の八味地黄丸を購入し、3ヶ月間服用しましたが疲労感と性機能低下は改善せず、当店にご相談いただきました。

お体を拝見すると、たしかに腎虚はあるものの、ほてり・寝汗も目立ち、「腎陰虚」のタイプでした。腎陰を補う漢方薬をベースに気を補う生薬を加えた煎じ薬に切り替えたところ、2ヶ月ほどで寝汗が減り、疲労感も徐々に改善されました。

40代後半男性:補中益気湯は効いたが、もう一歩物足りない

病院で補中益気湯(ツムラ41番)を処方され、倦怠感は少し楽になったが「もう一歩物足りない」とのことで漢方相談にいらっしゃいました。

お話を伺うと、疲労感(気虚)の改善は進んでいるものの、頻尿・腰のだるさ(腎虚)は残っている状態でした。腎を補う漢方薬を服用していただいたところ、1ヶ月半で腰の軽さを感じるようになり、夜間尿も減ったとお喜びいただきました。


まとめ——自分に合った漢方薬の見つけ方

男性更年期の漢方薬選びで最も大切なのは、「何が1位か」ではなく「自分の体質に何が合うか」です。

腎虚タイプなら八味地黄丸・知柏地黄丸、気虚タイプなら補中益気湯・人参養栄湯、気滞タイプなら柴胡加竜骨牡蛎湯・抑肝散が候補になりますが、実際にはこれらが複合しているケースがほとんどです。

市販の漢方薬から始めるのは良いことですが、2〜3ヶ月試して改善を感じない場合は、体質と処方が合っていない可能性があります。その場合は漢方の専門家に体質を見極めてもらうことをおすすめします。


灯心堂漢方薬局の男性更年期相談について

当店では、男性更年期障害の漢方相談を承っております。

「市販の漢方薬を試したが効かなかった」「どの漢方薬が自分に合うのか分からない」「病院の漢方薬にもう一歩プラスしたい」——そうした方のために、体質をしっかり見極めたうえで、漢方をご提案しています。

LINEでの事前ヒアリングからスタートできます。お気軽にお問い合わせください。

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