イライラを改善するための漢方薬の選び方とおすすめの食事・生活習慣

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上

店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

西山光です
質問

・イライラに使う漢方薬は?
・どう使い分けるの?

漢方薬の違いってわかりづらいですよね。

ここではイライラにつかう漢方薬の違いと使い分けについて説明しています。

このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。

・イライラしてすぐに怒ってしまう→抑肝散
・イライラと慢性頭痛がある→釣藤散
・生理前のイライラ→逍遙散
・産後のイライラ→芎帰調血飲第一加減
・更年期のイライラ→芎帰調血飲第一加減
・イライラと便秘→大柴胡湯
・イライラと不安、不眠→柴胡加竜骨牡蛎湯
・イライラと火照り→黄連解毒湯

なぜこのような違いがあるのか、解説していきます。

 この記事を読んでわかること
・イライラにつかう漢方薬
・漢方薬のつかいわけ
・おすすめの食事、生活習慣

日常生活を過ごしていくうえでストレスを避けることはできません。

漢方をうまく取り入れて、イライラしにくい生活を送れるようになればと思います。

目次

意味もなくイライラする原因は?

イライラの原因はストレス、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足、精神疾患が考えられます。

ストレス

日常生活でストレスを避けて生きていくことはできません。

人間関係、仕事、家庭、金銭問題、将来のこと、お子さんのこと、介護のことなど、悩みがない人生を送ることはできません。

ストレスがかかることで、交感神経が優位となり、イライラしやくなります。

ホルモンバランスの乱れ

女性の場合は生理前、更年期のホルモンバランスが乱れやすいタイミングがあります。

漢方ではホルモンバランスの乱れを血の道症といいます。ホルモンバランスの乱れは漢方薬が得意とする領域です。

睡眠不足

睡眠不足になることで、生活習慣病、うつ、認知症、免疫力の低下を引き起こします。

睡眠不足になることで、精神が不安定になりやすくなります。

疾患

自律神経失調症や、その他精神疾患によって、イライラの症状がみられやすくなります。

とくに自律神経失調症は個人によって症状が多様です。

どうしてもイライラするときの対処法

イライラするときの対処法として、心理カウンセラーで作家でもある野口嘉則先生の動画が参考になるので、紹介させていただきます。

相手に対してムカついたときの気持ちを鎮める方法として、「相手の頭のてっぺんにチューリップが生えているのを想像します。」というのを紹介されています。

とても面白いので、ぜひご覧ください。

漢方でのイライラの原因は?

漢方でイライラの原因は気滞、肝鬱、心火が考えられます。

気滞

「気滞」とは気の巡りが悪い状態のことです。気のめぐりがスムーズであることでメンタルが安定します。

反対に気滞の巡り状態になると、イライラしやすくなります。

「気滞」からのイライラの場合、気をめぐらせる漢方薬をつかいます。

肝鬱

漢方では「肝」は気の巡りと、血を蓄える働きがあります。

とくに「肝」は女性のホルモンバランスの乱れと密接に関係しています。「肝は女子の先天」ともいいます。

生理前のイライラ、更年期のイライラの場合、「肝」の気を巡らせます。

心火

漢方で「心」は意識に関係しています。「心」に熱がこもることでイライラしやすくなります。

「心」に熱がこもっているときは、舌先が赤くなりやすいです。

イライラに対するおすすめの漢方薬は?

イライラなどの神経症につかう漢方薬に抑肝散、釣藤散、黄連解毒湯、逍遙散、芎帰調血飲第一加減、大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などがあります。

すぐに怒りっぽい方に抑肝散

急にカーっとなって、怒ってしまうことはありませんか?

急に怒ってしまうのは気のたかぶりが原因といえます。

・急にカッとなる
・神経が高ぶりやすい
・怒りやすくなった

急に怒ってしまうことでお悩みの方は抑肝散がおすすめです。

抑肝散には釣藤鈎・柴胡という生薬がイライラの気を巡らせる働きがあります。

抑肝散がカッとなる気を巡らせ、イライラを鎮めてくれます。

イライラと頭痛がある方に釣藤散

イライラしたり、慢性的に頭痛で困っていませんか?

イライラも頭痛も漢方では気滞が原因といえます。

・イライラの神経症
・慢性的に頭痛で悩んでいる
・血圧も高いことがある

イライラと頭痛がある方は釣藤散(ちょうとうさん)が適しています。

釣藤散の釣藤鈎・菊花という生薬が気を巡らせ、イライラと頭痛を解消してくれます。

生理前のイライラに逍遙散

生理前にイライラするのは「肝」の機能が乱れているといえます。

「肝」を整えることで、イライラも生理も順調になります。

・生理前のイライラ、不安
・生理前に胸が張りやすい
・生理不順、生理痛

生理前のイライラに逍遙散が適しています。

逍遙散(しょうようさん)の柴胡が肝の気の巡りを整えつつ、当帰・芍薬が血の働きを助けます。

逍遙散は気血をめぐらせ、生理前のイライラにおすすめです。

逍遙散と加味逍遙散があります。加味逍遙散には山梔子という生薬が入り、長期服用にて山梔子の服用がでてしまいます。当店では加味逍遙散ではなく、山梔子が入っていない逍遙散をつかうことが多いです。

産後のイライラには芎帰調血飲第一加減

産後は、出産によって血を消耗した状態であり、育児への不安からストレスをため込みやすい時期といえます。

・出産で気血を消耗している
・育児へのプレッシャー、環境の変化でストレスがたまりやすい

漢方でみると、産後はどうしてもイライラしやすい体質になっています。

産後のイライラには芎帰調血飲第一加減が適しています。

芎帰調血飲第一加減には産後に必要な血を養う働きがあり、ストレスの気を巡らせる働きがあります。

また芎帰調血飲第一加減は産後の女性のためにつくられた漢方薬のため、授乳中も服用していただいて大丈夫です。

更年期のイライラに芎帰調血飲第一加減

更年期の時期になると、髪が荒れたり、肌が乾燥したり、血虚の症状もでやすくなります。血虚に気滞があわさり、イライラしやすくなります。

・つかれやすい
・イライラする
・手足が冷える

更年期のイライラには芎帰調血飲第一加減がおすすめです。

芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)には血を養う生薬、気を巡らせる生薬、血を巡らせる生薬がバランス良く入っています。

逍遙散よりも血を養う生薬の種類が多く、更年期のイライラには芎帰調血飲第一加減が適します。

イライラと便秘があるときは大柴胡湯

気滞はイライラの原因になるだけでなく、便秘の原因にもなります。

・イライラ
・便秘がち
・肥満傾向

イライラと便秘があるときは大柴胡湯が適しています。

大柴胡湯の柴胡・枳実・芍薬が気を巡らせ、大黄が便通を改善してくれます。

イライラと不安、不眠症のときは柴胡加竜骨牡蛎湯

イライラと不安があるときは、巡らせつつ、気を鎮める必要があります。

・イライラの神経症
・精神不安
・不眠症
・便秘がち

イライラと不安があるときは柴胡加竜骨牡蛎湯が適しています。

柴胡加竜骨牡蛎湯は気を巡らせる柴胡と、不安な気持ちを落ち着ける竜骨・牡蛎が入っているのが特徴的です。

火照りのあるイライラには黄連解毒湯

火照りがあり、熱感があるときは心に熱がこもっている可能性があります。

・イライラ
・火照り
・顔色が赤い

黄連解毒湯は心の熱を冷ますことでイライラを鎮め、火照りも緩和しれくれます。

イライラでお悩みの方におすすめの食べ物

イライラの原因は気滞が多いです。気滞を巡らせることで、イライラしにくくなります。

気滞と相性がいい食べ物は香りの良い食べ物です。香りが気を巡らせます。

香味野菜のシソ、セロリ、ハッカ、ミョウガ、パクチー、春菊がおすすめです。飲み物であれば香りの良いジャスミンティーがいいです。

香りで気を巡らせていきましょう!

イライラでお悩みの方におすすめの生活習慣

漢方で考える、イライラしにくい体質をつくる生活習慣としておすすめは運動、アロマです。

漢方では「肺」をつかうことで気を巡らせる働きがあります。

カラオケで思い切り大声を出すだけでもストレス解消になりませんか?それは肺をつかうことで、気が巡っているからです。

気を巡らせるためにも運動が重要です。運動する時間がないときは深呼吸するだけでも気は巡っていきます。

また香りのいいものも気を巡らせる働きがあります。アロマで良い香りをかぐことも、気を巡らせることにつながります。

イライラにおすすめのツボ

 イライラにおすすめのツボとしては、郄門、大衝、百会があります。

場所は参考となるyoutubeの動画を引用しております。

大衝

大衝(たいしょう)は厥陰肝経の原穴であり、「肝」のたかぶりを鎮めてくれます。

百会

百会(ひゃくえ)は厥陰肝経、督脉などの経絡がある部分であり、気のたかぶりを鎮めてくれます。

郄門

郄門(げきもん)は厥陰心包経の経血で心の熱を冷ます働きがあります。

イライラでお悩みの方はぜひご相談ください。漢方の力でイライラに悩まない生活を送る手助けをさせていただけたらと思います。

友だち追加
目次