【使いわけ】抑肝散と柴胡加竜骨牡蛎湯の違いを徹底解説(どっちを飲んだらいい?)

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西山光です
質問

・抑肝散と柴胡加竜骨牡蛎湯の違いは?
・どう使い分けるの?

漢方薬の違いってわかりづらいですよね。

ここでは抑肝散と柴胡加竜骨牡蛎湯の違いについて解説しています。

このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。

・柴胡加竜骨牡蛎湯はイライラと不安のどちらの症状のある方に適しています。

・抑肝散は不安はなく、イライラによって神経がたかぶった状態に適しています。

なぜこのような違いがあるのか、解説していきます。

 この記事を読んでわかること
・抑肝散と柴胡加竜骨牡蛎湯の違い
・生薬の違い
・それぞれの使い分け

目次

効能効果の違い

効能効果の違いから説明していきます。効能効果はメーカーによっても異なるので、服用する際はパッケージのご確認をお願いいたします。

抑肝散の効能効果

体力中等度をめやすとして、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害、血の道症

抑肝散の効能効果(薬局製剤)

抑肝散の効能効果をみて、カッと怒りやすい方に適した漢方薬だとわかります。

柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果

体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年神経症、小児夜泣き、便秘

柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果(薬局製剤)

柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果では精神不安と、イライラの神経症のどちらの記載があります。

効能効果の違い

抑肝散の効能効果ではイライラ、怒っている症状についての記載ばかりです。

柴胡加竜骨牡蛎湯は不安とイライラの神経症の両方の記載があります。不安とイライラもどちらもあるときは柴胡加竜骨牡蛎湯が適しています。

抑肝散はカッとなった神経のたかぶりに適しています。柴胡加竜骨牡蛎湯は不安とイライラの両方ある方に適しています。

生薬について

まずは共通する生薬を解説し、それぞれの漢方薬について説明します。

共通する生薬

抑肝散と柴胡加竜骨牡蛎湯に共通する生薬は柴胡と茯苓です。

柴胡は気を巡らせる代表的な生薬です。柴胡が入っていることで、抑肝散と柴胡加竜骨牡蛎湯はどちらもイライラの気を巡らせる働きがあることがわかります。

柴胡(さいこ)。柴胡は気をめぐらせ、精神的な作用があり、またカゼ薬にも使用されます。

抑肝散に入っている生薬

抑肝散は釣藤鈎、柴胡、当帰、川芎、茯苓、白朮、甘草の7種類の生薬から構成されています。

・気を巡らせる働き:釣藤鈎・柴胡(・川芎・茯苓)
・血を養う働き:当帰・川芎
・気を補う働き:茯苓・白朮・甘草

釣藤鈎(ちょうとうこう)は抑肝散で重要な生薬で気の高ぶりを鎮めます。急に怒ったり、いらいらする症状に適しています。

釣藤鈎。アカネ科カギカズラ。急に込みあがるイライラを発散します。

抑肝散は気に対する生薬が多く入っていることで、イライラ、怒りの気を巡らせて効果を発揮します。

柴胡加竜骨牡蛎湯に入っている生薬

柴胡加竜骨牡蛎湯には柴胡・半夏・茯苓・桂皮・大棗・人参・竜骨・牡蛎・生姜・大黄の10種類の生薬が入っています。

・イライラを巡らせる生薬:柴胡・桂皮
・不安を鎮める生薬:竜骨・牡蛎・茯苓
・気を補う生薬:人参・大棗・生姜
・便通を改善する生薬:大黄

竜骨(りゅうこつ)。竜骨は動物の化石で不安を鎮める働きがあります。

牡蛎(ぼれい)。牡蛎はカキの貝殻で、不安を鎮め、安神に働きます。

柴胡加竜骨牡蛎湯に入っている生薬で最も特徴的なものが竜骨・牡蛎です。竜骨・牡蛎が不安な気持ちを鎮めます。

・抑肝散はイライラの気をめぐらせる
・柴胡加竜骨牡蛎湯はイライラの気を巡らせ、不安な気持ちも鎮める

抑肝散と柴胡加竜骨牡蛎湯の使い分け

抑肝散はイライラをめぐらせることに特化し、柴胡加竜骨牡蛎湯はイライラも不安もどちらの症状にも対応しています。

イライラや急に怒りだして、不安はあまりみられない方は抑肝散。
イライラもあるが、不安な気持ちも強い方は柴胡加竜骨牡蛎湯。

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