この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数2000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です


この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数2000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

「顔の赤みが引かない」「鼻の頭にぶつぶつができる」「皮膚科で処方された薬を使ってもなかなか良くならない」──こうした症状でお悩みではありませんか?
酒さ(しゅさ)は、頬や鼻を中心に赤みやほてり、ぶつぶつが慢性的に続く皮膚疾患です。原因がはっきりと分かっておらず、西洋医学的な治療だけでは改善しないケースも少なくありません。
そこで近年注目されているのが、体の内側から整えていく漢方薬です。当店でも酒さのご相談を多くいただいており、症状のタイプによって適した漢方薬が異なります。
この記事では、漢方薬局の視点から、酒さの基礎知識・原因・タイプ別のおすすめ漢方薬5種類・選び方を詳しく解説します。最後まで読んでいただくことで、ご自身に合った漢方薬を選ぶヒントが見つかるはずです。
酒さ(しゅさ)は、顔の中心部(頬・鼻・額・あご)を中心に、慢性的な赤みやほてり、毛細血管の拡張、ぶつぶつが続く皮膚疾患です。お酒を飲んでいなくても顔が赤くなることから「酒さ」と呼ばれ、英語では「Rosacea(ロザシア)」と呼ばれています。
30代以降の女性に多く見られますが、男性にも発症します。男性の場合は鼻が腫れて赤くなる「鼻瘤(びりゅう)」というタイプに進行しやすいのが特徴です。
混同されやすい「酒さ」と「酒さ様皮膚炎」ですが、原因が異なります。
はっきりとした原因が分かっていない慢性疾患。体質や血管・神経の異常、ニキビダニなどが関与すると考えられています。
ステロイド外用薬を顔に長期間使用した結果として起こる皮膚炎。見た目は酒さに似ていますが、ステロイドの使用がきっかけで生じるため、原因が明確です。
いずれも顔の赤み・ぶつぶつといった症状が現れますが、対処法は共通する部分も多くあります。漢方薬による体質改善は、どちらのタイプにも応用が可能です。
酒さは症状の出方によって、主に3つのタイプに分類されます。
ご自身がどのタイプに近いかを把握することが、適した漢方薬を選ぶ第一歩になります。
酒さは進行性の疾患のため、軽度のうちに気づいて対処することが大切です。以下のような症状が長く続く場合は、酒さの可能性があります。
3つ以上当てはまる場合は、皮膚科の受診をおすすめします。
酒さは他の皮膚トラブルと混同されやすいため、違いを知っておくと安心です。
ニキビは10〜20代に多く、毛穴のつまりが主な原因です。一方、酒さは30代以降に多く、毛穴のつまりがなくてもぶつぶつや赤みが出るのが特徴です。また、ニキビと違って黒ずみ(コメド)ができにくいのも見分けるポイントです。
赤ら顔は体質的に顔が赤く見える状態の総称で、必ずしも病気とは限りません。酒さの場合は、赤みに加えてほてり・血管拡張・ぶつぶつといった炎症症状を伴います。
脂漏性皮膚炎は皮脂分泌が多い部位(鼻のわき・眉間・髪の生え際)にフケのような皮むけを伴います。酒さはフケを伴わず、頬や鼻の中心に赤みが集中するのが特徴です。
酒さの根本的な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が複合的に関与していると考えられています。
これらの要因が組み合わさって発症・悪化すると考えられており、生活習慣の見直しが基本となります。
漢方では、酒さは体内の「熱」のバランスが崩れることで起こると考えます。主に以下の3つの要因が関係します。
肺と胃に余分な熱がこもることで、顔に赤みやぶつぶつが現れます。辛いもの・脂っこいもの・アルコールの摂りすぎ、便秘などが原因です。
血に熱がこもった状態。ストレスや過労で自律神経が乱れると起こりやすく、ほてりや赤みが強く出ます。
血液の流れが滞った状態。毛細血管の拡張や、紫がかった赤み、長引く炎症の原因になります。
漢方薬を選ぶときは、ご自身がどのタイプに当てはまるかを見極めることが重要です。
酒さは出る部位によって、症状のタイプや適した対処法が変わります。
鼻の頭や小鼻に赤みが集中するタイプは、進行すると鼻瘤(びりゅう)になる可能性があります。男性に多く見られ、皮脂分泌の過剰や毛細血管の拡張が関係しています。
漢方では、肺胃の熱が強いタイプとして対処します。便秘がある方には葛根紅花湯、便通が正常な方には清上防風湯が適しています。
頬全体にピンク色の赤みやほてりが出るタイプは、血熱や陰虚(体の潤い不足)が関係していることが多いです。気温差や入浴後に悪化しやすいのが特徴です。
このタイプには、熱を冷ます白虎加人参湯が適しています。乾燥も伴う場合は温清飲も選択肢になります。
頬・鼻・あごなど顔全体にぶつぶつや膿疱が広がるタイプは、肺胃の熱に加えて毒素(湿熱)がこもっている状態です。
このタイプには、排膿作用のある十味敗毒湯が適しています。炎症が強い場合は清上防風湯との併用も検討します。
当店で酒さのご相談を受ける際、症状のタイプによって以下の5種類の漢方薬を中心にご提案しています。それぞれの特徴と適した方を解説します。
酒さの漢方薬 比較表
| 漢方薬 | こんな方に | 便秘の有無 | 乾燥の有無 |
| 葛根紅花湯 | 炎症が強い | 便秘あり | 少し乾燥あり |
| 清上防風湯 | 炎症が強い | 便秘なし | 乾燥なし |
| 白虎加人参湯 | ほてり・熱感 | どちらでも | 少し乾燥あり |
| 温清飲 | 赤み+乾燥 | どちらでも | 乾燥あり |
| 十味敗毒湯 | 膿疱・化膿 | どちらでも | 乾燥なし |
こんな方におすすめ
葛根紅花湯は、炎症を抑える生薬と、体にこもった熱を便から排出する生薬で構成されています。「肺胃の熱」が強く、便秘によって熱が体外に出にくいタイプに最適な処方です。
配合される紅花(こうか)には血流を改善する働きがあり、停滞した血の巡りを整えることで、長引く赤みやくすみにもアプローチします。
服用期間の目安
1〜3か月で赤みや炎症の落ち着きを実感される方が多いです。便通が整うことで体調全体が改善しやすくなります。
こんな方におすすめ
清上防風湯は、上半身、特に顔の炎症を抑えることに特化した漢方薬です。「上焦(じょうしょう)」と呼ばれる体の上部にこもった熱を冷ますことで、顔の赤みやぶつぶつを鎮めていきます。
黄連・黄芩・山梔子(さんしし)など、強力に炎症を抑える生薬が配合されており、酒さの初期から中期にかけて使われることが多い処方です。
服用期間の目安
炎症が強い時期は1〜2か月の集中的な服用がおすすめ。症状が落ち着いたら、体質に合わせて他の処方に切り替えるケースもあります。
こんな方におすすめ
白虎加人参湯は、石膏(せっこう)という鉱物生薬を主薬とし、体にこもった強い熱を冷ます働きがあります。粳米(こうべい)と人参が皮膚の潤いを助けるため、ほてりに加えて乾燥傾向のある方にも向いています。
入浴後や運動後、緊張時にカーッと顔が赤くなる「フラッシング」が頻繁に起こる方にも適しています。
服用期間の目安
ほてりが強い時期は毎日服用し、症状が落ち着いてからは頓服的に使う方もいらっしゃいます。
こんな方におすすめ
温清飲は、炎症を抑える「黄連解毒湯」と、血を補い潤す「四物湯」を合わせた処方です。熱を冷ましながら、同時に皮膚に潤いを与えるため、赤みと乾燥が同時に出ている酒さに最適です。
「血熱」と「血虚」が混在しているタイプ、つまり熱がこもっているのに皮膚が乾いている、というジレンマを抱えた方に向きます。長期化した酒さや、女性の酒さによく使われる処方です。
服用期間の目安
体質改善の意味合いが強い処方のため、3〜6か月の継続服用が目安です。
こんな方におすすめ
十味敗毒湯は、桔梗(ききょう)・柴胡(さいこ)・桜皮(おうひ)などが排膿に働く、化膿性の皮膚疾患に特化した漢方薬です。酒さの中でも丘疹膿疱型に分類される、ぶつぶつや膿を伴うタイプに適しています。
「湿熱(しつねつ)」と呼ばれる、熱と余分な水分が皮膚にこもった状態を改善する働きがあり、ジメジメした季節に悪化する酒さにもおすすめです。
服用期間の目安
膿疱が落ち着くまで1〜3か月の服用が目安。症状によっては清上防風湯と併用するケースもあります。
市販されている漢方薬の中から、ご自身に合った1剤を選ぶには、以下の3つのポイントを押さえることが大切です。
酒さの漢方薬選びで、まず判断したいのが「赤みやほてりがどれくらい強いか」と「乾燥があるか」です。
漢方では、便秘は体内に熱がこもる大きな原因と考えます。便通が悪い方は、熱を便から出す働きのある葛根紅花湯が第一選択になります。
逆に便通が正常な方が葛根紅花湯を飲むと、お腹が緩くなることがあるため、清上防風湯や白虎加人参湯の方が合いやすいです。
酒さは個人差が大きく、複数のタイプが混在していることも珍しくありません。「どれを選んでいいか分からない」「市販品を試したけれど合わなかった」という方は、漢方薬局での相談をおすすめします。
当店では、症状の経過・体質・生活習慣を丁寧にうかがった上で、お一人おひとりに合った処方をご提案しています。LINEからの気軽なご相談も承っています。
酒さの治療法は、漢方薬以外にも複数の選択肢があります。それぞれの違いを理解しておくと、組み合わせや使い分けがしやすくなります。
酒さの治療薬として2022年に保険適用となった外用薬。ニキビダニや細菌に対する抗菌作用と抗炎症作用があります。赤みやぶつぶつに効果が期待できますが、長期使用での体質改善は難しい点が課題です。
テトラサイクリン系の内服抗菌薬。炎症を抑える働きで、特に丘疹膿疱型に処方されることが多いです。長期服用による胃腸への負担や、光線過敏症などの副作用に注意が必要です。
拡張した毛細血管に対するレーザー治療。即効性がありますが、保険適用外で費用が高額になることが多く、再発を繰り返す場合もあります。
酒さに特化した市販薬は限られており、ニキビや赤ら顔向けの製品で代用するケースが多いです。一部の漢方薬(清上防風湯、十味敗毒湯など)はドラッグストアでも購入可能ですが、配合量が少なく作られていることもあり、本格的な治療には漢方薬局での相談がおすすめです。
漢方薬は、即効性よりも体質改善による持続的な効果が特徴です。病院処方薬と併用することも可能で、症状が落ち着いた段階で漢方薬中心に切り替えていく方も多くいらっしゃいます。
酒さは食生活との関係が深い疾患です。漢方の視点で「何を食べないか」「何を食べると良いか」を解説します。
「酒さに納豆は悪い」という情報を目にしたことがある方も多いと思います。これは、納豆が発酵食品で体を温める性質を持つため、ほてりタイプの酒さでは悪化する可能性があるためです。
ただし、すべての酒さの方にNGというわけではありません。冷え性で乾燥タイプの方は、納豆を適量摂ることで体調が整うこともあります。
一般的な目安として、以下のように考えると分かりやすいです。
漢方では「寒性」「涼性」と呼ばれる、体を冷やす性質を持つ食材が酒さに向いています。
また、便通を整える食物繊維(ごぼう、こんにゃく、きのこ類)も積極的に摂ると、体内の熱を排出しやすくなります。
酒さの方のスキンケアは「シンプル&低刺激」が大原則です。良かれと思って行っているケアが、かえって悪化させているケースも少なくありません。
酒さの肌は、健康な肌よりもバリア機能が低下している状態です。摩擦・刺激・洗いすぎを徹底的に避け、必要最低限のケアにとどめることが重要です。
アルコール(エタノール)、メントール、香料、ピーリング成分が入っていないものを選びます。敏感肌向けの低刺激処方や、医薬部外品の抗炎症成分(グリチルリチン酸2K、アラントイン)配合のものがおすすめです。
オイルクレンジングは洗浄力が強すぎることが多いため、ミルクタイプやクリームタイプを選びます。ポイントメイクは事前に専用リムーバーで落とし、肌全体への摩擦を減らすのが鉄則です。
紫外線は酒さの悪化要因のトップに挙げられます。ノンケミカル(紫外線散乱剤のみ)でSPF30〜50程度のものを毎日使いましょう。敏感肌向け・ベビー用などの低刺激処方が安心です。
「スキンケアをやめたら酒さが良くなった」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。これは間違ったケアや使用していた化粧品が刺激になっていた可能性が高いです。
ただし、酒さの方は完全にスキンケアをやめると、バリア機能の低下により乾燥や外的刺激で悪化することもあります。「やめる」のではなく「最小限にする」のが正解です。
酒さは慢性疾患のため、完治というよりは「コントロールできる状態に持っていく」のが現実的なゴールです。漢方薬での体質改善は、軽症で3〜6か月、中等症以上で6か月〜1年が目安です。
完全に元の肌に戻すのは難しいケースもありますが、症状を抑えて目立たない状態を維持することは十分可能です。生活習慣・スキンケア・漢方薬の3つを組み合わせることで、再発しにくい体質を作っていきます。
症状が出ている期間は毎日服用が基本です。症状が落ち着いてからも、再発予防として3か月〜半年継続される方が多いです。季節の変わり目や生活が乱れる時期に頓服的に使う方法もあります。
基本的には併用可能です。ロゼックスゲルやビブラマイシンと漢方薬を併用することで、外側と内側の両面からアプローチでき、相乗効果が期待できます。ただし、念のため処方医と漢方薬局の両方にお伝えください。
酒さの漢方薬には、妊娠中・授乳中に注意が必要なものもあります(紅花など)。安定期に入っていれば使える処方もありますので、必ず薬剤師にご相談ください。
酒さは、見た目に現れる症状のため、人と会うのがつらくなったり、メイクが楽しめなくなったりと、心の負担も大きい疾患です。
当店では、症状のタイプ・体質・生活習慣を総合的にうかがい、お一人おひとりに合った漢方薬をご提案しています。
「自分にはどの漢方薬が合うのか分からない」「市販品では効果を感じられなかった」という方は、お気軽にご相談ください。酒さに悩まない毎日を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
▼酒さの漢方薬・商品ページはこちら