この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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・灯心堂漢方薬局 薬局長
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・咳に使う漢方薬は?
・どう使い分けるの?
漢方薬の違いってわかりづらいですよね。
ここでは咳につかう漢方薬の違いと使い分けについて説明しています。
このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。
喘息の激しい咳、ヒューヒューいう咳
→麻杏甘石湯
痰が多い咳
→清肺湯
痰がそこそこでる咳
→柴朴湯
胸痛があるとき
→柴陥湯
空咳があるとき
→麦門冬湯
乾燥が強い咳
→滋陰降火湯
カゼのあとに咳が残るとき
→竹茹温胆湯
ストレスからの咳
→柴朴湯
喘息の予防、虚弱体質の改善
→柴朴湯
呼吸が浅いせき
→蘇子降気湯
この記事を読んでわかること
・咳につかう漢方薬
・漢方薬のつかいわけ
・おすすめの食事、生活習慣
漢方をうまく取り入れて、咳をしない生活を送れるようになればと思います。
“咳(せき)は外からの異物に対する防御反応。肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきたほこり、煙、風邪のウイルスなどの異物を気道から取り除こうとする生体防御反応が咳(咳嗽=がいそう)です。異物が入り込むと、まず咽頭や気管、気管支など気道の粘膜表面にあるセンサー(咳受容体)が感じ取ります。その刺激が脳にある咳中枢に伝わると、横隔膜や肋間膜などの呼吸筋(呼吸をおこなう筋肉)に指令が送られ、咳(せき)が起こります。この反射運動を「咳反射」といいます。”
せきはカゼのときなど身体に入った異物を追い出すのに必要なことです。
異物が入っていないのに、せきが起こるときは何か別の要因があるかもしれません。
咳については、youtubeのしながわ内科・循環器クリニックさまの動画がとてもわかりやすいため、紹介させていただきます。
漢方では大きく2つの要因にわけて考えます。
肺の働きを邪魔しているものがあるか or 身体の本来の機能が弱っていないか、です。
・水や痰、気が肺を邪魔することで起こるせき
・陰虚、気虚で起こるせき
の2種類です。
水・痰によって邪魔されているのであれば、それを取り除く必要があります。
乾燥していることが原因であれば、潤す必要があります。
漢方ではせきといっても原因や状態によって使い分ける必要があります。
水飲とは水が溜まっている状態のことで、咳においては気管支のむくみを引き越します。
気管支がむくむことで、気道が狭くなり、ヒューヒューいう喘息を引き起こします。
喘息のように気管支が浮腫んでいるときは、麻杏甘石湯が適しています。
実際に痰がでていなくても、肺・胸で痰湿が詰まることで咳を引き起こします。
痰がたくさんでて、咳がでるときは清肺湯、痰がそこそこで咳があるときは柴朴湯、咳が激しく、胸痛もあるときは柴陥湯が適しています。
肺の潤いが不足することで、肺が正常に機能しなくなり、痰もねばってきます。
潤いを与え、咳を抑える漢方薬に麦門冬湯、乾燥が強い場合は滋陰降火湯が適しています。
虚弱体質であることで、喘息が治らなかったり、咳が長引いたりします。
喘息の予防、虚弱体質の改善には人参が入りつつ、咳を抑える柴朴湯が適しています。
せきに使う漢方薬には、麻杏甘石湯、清肺湯、滋陰降火湯、麦門冬湯、柴朴湯、柴陥湯、蘇子降気湯があります。
気管支が向くことで、気道が狭くなり、喘息を引き起こします。
・激しい咳
・ぜんそくの咳
・ヒューヒューいう
麻杏甘石湯の麻黄・石膏が気管支のむくみをとり、杏仁が咳を抑えてくれます。
喘息のヒューヒューいう咳は麻杏甘石湯が適しています。
喘息でも激しい咳は落ち着いて、喘息の予防につかうなら柴朴湯が適しています。
痰が多い咳は痰をとることで、咳を落ち着けます。
・痰の多く出る咳
・気管支炎
清肺湯の桑白皮・貝母・陳皮・竹茹が痰を取り、桔梗・杏仁・貝母が咳を抑え、山梔子・黄芩が炎症を抑えます。
痰の多く出る咳、気管支炎には清肺湯が適しています。
清肺湯は痰が多く出るときには適していますが、痰がそこそこでるときには去痰や潤す働きが強すぎます。
・痰がそこそこ出る咳
柴朴湯の半夏が痰を取り、厚朴・蘇葉・柴胡が気の巡りを整えることで、咳を抑えます。
痰がそこそこでる咳には柴朴湯が適しています。痰が多いときは清肺湯です。
胸痛があるくらい咳が激しいときは、つまっているものが強いです。
・胸痛がある
・激しい咳
・咳ぜんそく
・気管支炎
柴陥湯の栝楼仁が胸の詰まりをとり、胸の気の流れを改善することで、胸痛に効能効果を発揮します。
咳が激しく、胸痛までもあるときは柴陥湯が適しています。
痰が少なく、空咳をするときは陰虚という乾燥の症状が強い状態と考えられます。
・空咳
・痰が切れにくい
・しわがれ声
麦門冬湯の麦門冬・粳米・甘草が潤し、半夏が咳を抑えてくれます。
のどの乾燥感があり、空咳があるときは麦門冬湯が適しています。
のどの乾燥が強かったり、慢性上咽頭炎のように乾燥が長期間つづいているときは次に紹介する滋陰降火湯が適しています。
乾燥が強いときには、麦門冬湯では潤す働きが弱いです。
・乾燥が強い
・のどに潤いがない
滋陰降火湯には麦門冬・天門冬・地黄などの潤す生薬が入り、しっかり潤すことで咳を抑えます。
乾燥が強いとき、乾燥が長引いているときは滋陰降火湯が適しています。
乾燥が軽度にも関わらず、滋陰降火湯をつかうと過度に潤し過ぎてしまいます。乾燥が軽度~中度であれば麦門冬湯、乾燥が重度であれば滋陰降火湯とつかいわける必要があります。
カゼのあとに咳が残るときは、まだカゼの邪が残っていると考えられます。
・カゼのあとに咳が残る
竹茹温胆湯には柴胡が入り、長引くカゼの邪を追い出す働きがあり、桔梗・半夏が咳を抑えてくれます。
カゼのあとに咳が長引く時は竹茹温胆湯が適しています。
気の巡りが悪いことで、肺の働きを邪魔し、咳を起こします。
・ストレスからの咳
柴朴湯の柴胡・厚朴・蘇葉が気を巡らせ、ストレスの気を発散します。半夏・厚朴が咳を抑えます。
ストレスが原因で咳するときは柴朴湯が適しています。
虚弱体質であることで喘息になります。実際に喘息になる方はやせ型の方が多いです。
・虚弱体質
・ぜんそくの予防
柴朴湯の人参が身体の内側から元気にし、半夏・厚朴が咳を防いでくれます。
喘息の虚弱体質の改善には柴朴湯が適しています。
腎の働きが弱いと息が吸いづらく、呼吸が浅くなります。
・息苦しさ
・呼吸が浅い
・ご年配の方の喘息
蘇子降気湯の桂皮が腎の働きを助け、前胡・紫蘇子・半夏が咳を抑えてくれます。
息苦しさのあるせきに蘇子降気湯が適しています。
西洋医学では痰といえば、去痰薬をつかいます。
しかし漢方では痰といっても、細かく漢方薬をつかいわける必要があり、判断が難しいです。
痰の漢方薬の使い分けが難しい理由としては、痰は潤いの性質と乾燥の性質のどちらももっているからです。
・水分が多い痰→乾かして痰をとる
・乾燥して絡む痰→潤して痰をとる
痰の水分の量で乾かすのか、潤すのかで対処法が全くの反対になります。
・乾燥が強い痰と咳→滋陰降火湯
・乾燥がややある痰と咳→麦門冬湯
・少し痰がある咳→柴朴湯
・痰が多い咳→清肺湯
のどの痛み、咳におすすめの食べ物はハチミツ大根です。
切った大根を数時間ハチミツに浸け、大根のエキスが染みたハチミツをそのまま服用してもいいですし、お湯で割って服用していただいてもいいです。
詳しい作り方についてはトクバイニュース様の記事がわかりやすいので、紹介させていただきます。
咳におすすめのツボ(経穴)は尺沢、合谷です。
わかりやすいようにyoutubeの動画を載せています。
尺沢(しゃくやく)は太陰肺経のツボで肺の気の巡りを改善し、咳、ぜんそく、のどの腫れに効能効果があります。
合谷(ごうこく)は陽明大腸経のツボで身体の熱を冷まし、カゼ、頭痛、喉の痛みにおすすめです。
咳でお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。