清肺湯の使い方と合わない人の特徴

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西山光です
質問

・清肺湯はどういうときに服用したらいいの?
・合わない人っているの?

このようなお悩みに漢方薬局の薬剤師がお答えします。

 この記事を読んでわかること
・清肺湯の効能効果
・清肺湯の構成生薬

・合う人、合わない人
・副作用、長期服用について

目次

清肺湯の効能効果

 清肺湯は痰の多く出る咳によく使用されます。

体力中等度で、せきが続き、たんが多くて切れにくいものの次の諸症:たんの多く出るせき、気管支炎

清肺湯の効能効果(薬局製剤)

清肺湯の効能効果はメーカーによっても異なるので、ご購入の際はしっかりパッケージを確認してください。

清肺湯の効能効果を大きく分けると、咳を抑える働きと痰を抑える働きがあります。

・咳を抑える働き
・痰を抑える働き

咳を抑える働き

清肺湯の効能効果をみると、「せきが続き」「たんの多くでるせき」とあります。

清肺湯には桔梗・杏仁・貝母などの咳を抑える生薬が多く入ることで、咳に効果を発揮します。

痰を抑える働き

清肺湯の特徴として効能効果に「たんの多くでるせき」と記載があり、痰があるときに使用することがわかります。

清肺湯には桑白皮・貝母などの痰をとる生薬が多く入っており、痰をとってくれます。

清肺湯に入っている生薬・成分

 清肺湯には咳を抑え、痰を取り、炎症を抑える生薬が多く入っています。

清肺湯には16種類の生薬が入っています。

清肺湯には黄芩・桔梗・桑白皮・杏仁・山梔子・天門冬・貝母・陳皮・大棗・竹茹・茯苓・当帰・麦門冬・五味子・生姜・甘草から構成されています。

清肺湯に入っている生薬を働き別にまとめてみました。

痰を取る:桑白皮・貝母・陳皮・竹茹
痰を取るのを助ける:天門冬・麦門冬
咳を抑える:桔梗・杏仁・貝母
炎症を抑える:黄芩・山梔子

痰をとる生薬

清肺湯の桑白皮・貝母・陳皮・竹茹は痰をとる生薬です。

桑白皮(そうはくひ)。クワの根皮。痰をとってくれます。

清肺湯にはたんをとる生薬が3種類入り、よく痰をとってくれます。

痰をとるのを助ける生薬

清肺湯の麦門冬・天門冬は潤す働きがあり、粘った痰を軟らかくし、痰をとりやすくします。

麦門冬(ばくもんどう)。潤す働きが強い。

麦門冬・天門冬が直接に痰をとる働きはありませんが、潤すことで痰をふやかし、痰をとりやすくするのを助けます。

咳を抑える生薬

清肺湯の桔梗・杏仁・貝母が咳を抑えます。

桔梗(ききょう)。咳止めとして、良く使用される。

清肺湯には咳止めの生薬が3つも入り、よく咳を抑えます。

炎症を抑える生薬

清肺湯の黄芩・山梔子が炎症を抑えます。

黄芩・山梔子が炎症を抑える働きがあるため、気管支”炎”にも効能効果があります。

生薬のまとめ

 清肺湯には痰をとるのに働くが生薬が多く入り、痰が多い方に適しています。

 清肺湯には咳を抑え、炎症を抑える働きがあり、気管支炎にも効果を発揮します。

清肺湯が合う人・合わない人

体力中等度で、せきが続き、たんが多くて切れにくいものの次の諸症:たんの多く出るせき、気管支炎

・体力中等度の方
・せきが続く
・たんが多くて切れにくい
・痰の多く出る咳
・気管支炎

 清肺湯はよく痰を取り、咳を抑えてくれます。

漢方薬は症状で使いわける必要があります。

痰でも乾燥が強く、粘ってるときは滋陰降火湯で潤し、咳を抑える必要があります。

痰もそこそこ、咳もそこそこでる場合は柴朴湯が適しています。

「清肺湯が効かない」という経験をされた方もいらっしゃると思います。清肺湯が効かない理由としては、痰の乾燥が強いときや、痰がそこまで多くないときが考えられます。

合う人合わない人
・痰が多くて、咳がでる・痰の乾燥が強い。痰が粘っている。
・痰がそこまで多くない咳
清肺湯が合う人・合わない人

清肺湯と麦門冬湯の違いは?

清肺湯と麦門冬湯の違いは、痰の量です。痰が多いときは清肺湯、痰が少ないときは麦門冬湯です。

麦門冬湯は痰を取る働きよりも、潤すことがメインの働きです。痰が張り付き、ねばって空咳があるときは麦門冬湯です。

清肺湯は痰をとる生薬が多く入っており、痰が多く、咳があるときに清肺湯が適しています。

清肺湯と、五虎湯の違いは?

清肺湯と五虎湯の違いは、咳の仕方です。「ヒューヒュー」いう喘息の咳であれば五虎湯が適しています。

五虎湯は気管支のむくみをとり、喘息に効能効果を発揮します。咳でも「ヒューヒュー」と鳴るせきに五虎湯が適しています。

「ヒューヒュー」ならずに、痰が多く、咳があるときは清肺湯が適しています。

清肺湯と麻杏甘石湯の違いは?

清肺湯と麻杏甘石湯の使い分けは咳の仕方です。「ヒューヒュー」いう喘息の咳であれば麻杏甘石湯が適しています。

清肺湯の副作用、長期服用の注意点

副作用

清肺湯の副作用としては、皮膚(発疹・発赤、かゆみ)、間質性肺炎(空せき、息苦しさ)、偽アルドステロン・ミオパチー(けん怠感、筋肉痛)、肝機能障害(発熱、かゆみ、けん怠感、黄疸)などがみらるこことがあります。

これらの症状があらわれた場合は、副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、医師又は薬剤師に相談をしてください。

清肺湯の長期服用について

漢方の長期服用にてよく問題になるのが、甘草と山梔子です。

清肺湯の甘草の量は1gと多くありません。しかし、ほかの漢方薬を併用したり、ご年配の方では副作用がでたりすることがあります。

次に山梔子です。山梔子は5年以上の服用にて腸間膜静脈硬化症という副作用を起こします。

清肺湯を5年以上服用することはないかもしれませんが、山梔子は加味逍遙散、辛夷清肺などにも入っているので、知らない間に長期服用にならないように注意する必要があります。

腹痛や下痢がみられやすくなったときは腸間膜静脈硬化症の可能性が考えられます。

そのような症状がみられた場合は直ちに服用を中止してください。

清肺湯は5年以上の長期服用には適していません。

清肺湯のまとめ★

・清肺湯は体力中等度で、痰が多い咳がみられる方に使います。

・清肺湯には痰をとる生薬が多く入っています。

・清肺湯には咳を抑え、炎症を抑える生薬が入り、気管支炎にも効果を発揮します。

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