滋陰降火湯の使い方と合わない人の特徴

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
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西山光です
質問

・滋陰降火湯はどういうときに服用したらいいの?
・合わない人っているの?

このようなお悩みに漢方薬局の薬剤師がお答えします。

 この記事を読んでわかること
・滋陰降火湯の効能効果
・滋陰降火湯の構成生薬

・合う人、合わない人
・副作用、長期服用について

目次

滋陰降火湯の効能効果

 滋陰降火湯は乾燥が強く、痰が絡み、空咳がある方に適しています。

体力虚弱で、のどにうるおいがなく、たんが切れにくくてせきこみ、皮膚が浅黒く乾燥し、便秘傾向のあるものの次の諸症:気管支炎、せき

滋陰降火湯の効能効果(薬局製剤)

滋陰降火湯の効能効果はメーカーによっても異なるので、ご購入の際はしっかりパッケージを確認してください。

滋陰降火湯は潤す働きに特化しています。

・潤す働き

潤す働き

滋陰降火湯の効能効果に「のどにうるおいがなく」、「たんが切れにくくてせきこみ」、「皮膚が浅黒く乾燥し」、「便秘傾向」とあり、乾燥に適した漢方薬であることがわかります。

身体全体で潤いがないため、のどに潤いがありません。

潤いがないため、痰がサラサラ流れず、痰が切れず、空咳をします。

乾燥はのどだけでなく、皮膚・腸までにも及ぶため、皮膚は乾燥し、腸が乾燥し、便秘になります。

滋陰降火湯は身体全体の乾燥が強く、咳がある方に適した漢方薬です。

滋陰降火湯に入っている生薬・成分

 滋陰降火湯には潤す生薬が多く入っています。

滋陰降火湯には10種類の生薬が入っています。

滋陰降火湯は当帰・芍薬・地黄・天門冬・麦門冬・陳皮・白朮・知母・黄柏・甘草から構成されています。

滋陰降火湯に入っている生薬を働き別にまとめてみました。

・潤す働き:当帰・芍薬・地黄・天門冬・麦門冬・知母・甘草
・炎症を抑える:知母・黄柏
・気を補う働き:白朮・甘草

潤す生薬

滋陰降火湯の当帰・芍薬・地黄・天門冬・麦門冬・知母・甘草は潤す生薬です。

滋陰降火湯は潤す生薬が多く入っているのが特徴的です。

麦門冬。甘味で潤す。

滋陰降火湯には潤す生薬が多く入っているため、乾燥が強くない方に使ってしまうと過剰に潤し、お腹が緩くなる可能性があります。

炎症を抑える生薬

知母・黄柏はどちらも熱を冷ます働きがあり、炎症を抑えてくれます。

気を補う生薬

滋陰降火湯には気を補う生薬は白朮・甘草しか入っていません。

生薬のまとめ

 滋陰降火湯は潤す生薬が多く入り、潤すことに特化した漢方薬です。

滋陰降火湯が合う人・合わない人

・体力虚弱な方
・のどの乾燥がある
・痰が粘る、痰が切れにくい
・空咳をする
・気管支炎
・便秘がち

 滋陰降火湯は潤す働きが強いため、痰が切れず、空咳をする方に適しています。

滋陰降火湯が乾きからの痰、咳がある方に向いていますが、そうでない方には向いていません。

痰がたくさんでて、咳込むときは清肺湯や柴朴湯の方が適しています。

また乾燥の傾向があっても、乾燥が少しだけみられるときは麦門冬湯の方が適しています。

「滋陰降火湯が効かない」という経験をされた方もいらっしゃると思います。滋陰降火湯が効かない理由としては、あまり乾燥が強くない体質と考えれます。乾燥が強くないのに、滋陰降火湯を使うと過度に潤してしまいます。

合う人合わない人
・乾燥が強い
・のどの乾燥
・痰が切れない
・空咳
・乾燥が強くない方
・乾燥が少しみられる程度の咳
滋陰降火湯が合う人・合わない人

滋陰降火湯と麦門冬湯の違いは潤す力の強さ

滋陰降火湯と麦門冬湯はどちらも潤す働きがあり、空咳によく使用します。

滋陰降火湯の方が潤す生薬が多く入り、潤す働きが強いです。潤す働きが強い分、乾燥が強くない方が服用すると、軟便・下痢になる可能性があります。

麦門冬湯の方が、滋陰降火湯に比べると潤す働きが弱いため、つかいやすく、少し乾燥がみられる方に適しています。また麦門冬湯には人参が入っているため、胃腸が弱い方も服用することができます。

麦門冬湯滋陰降火湯
・乾燥はそこそこある方向け
・乾燥が強い方には潤す働きが弱い
・人参が入っているため、胃腸が弱い方も服用できる
・乾燥が強い方向け
・乾燥が中程度では、過剰に潤してしまう
・潤す働きが強いため、下痢になることもある
麦門冬湯と滋陰降火湯の違い

滋陰降火湯の副作用、長期服用の注意点

副作用

滋陰降火湯の副作用としては、皮膚(発疹・発赤、かゆみ)、偽アルドステロン・ミオパチー(けん怠感、筋肉痛)、消化器(胃部不快感)、下痢などがみらるこことがあります。

滋陰降火湯は潤す働きが強いため、乾燥が強くない方が服用すると潤い過ぎて、下痢になることがあります。

これらの症状があらわれた場合は、副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、医師又は薬剤師に相談をしてください。

滋陰降火湯の長期服用について

漢方の長期服用にてよく問題になるのが、甘草です。

甘草を多くとっていると副作用が生じやすくなります。

メーカーにもよりますが、一般的に滋陰降火湯に含まれる甘草の量は1.5gです。

甘草の1.5gというのは多くないです。しかし、ほかの漢方薬を併用したり、ご年配の方では副作用がでたりすることがあります。

手足の脱力感、筋肉痛、しびれがみられるようになったときは甘草による副作用の可能性があります。

そのような症状がみられた場合は直ちに服用を中止してください。

滋陰降火湯のまとめ★

・滋陰降火湯がのどに潤いがなく方の咳、気管支炎に効能効果を発揮します。

・滋陰降火湯は潤す生薬を中心に構成されています。

・滋陰降火湯は乾燥が強く、痰、空咳のある方に適しています。

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