化膿を改善するための漢方薬の選び方とその使い方

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上

店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

西山光です
質問

・化膿に合う漢方薬は?
・どう使い分けるの?

化膿は様々の疾患から生じてきます。

化膿は細菌などの感染が原因のこともありますので、まずは病院の受診をお願いいたします。

漢方薬は病名でなく、体質・症状で選びますので、ニキビ、化膿性汗腺炎、バルトリン腺嚢胞、爪周囲炎(ひょうそ)、化膿性乳腺炎の方でも服用することはできます。

漢方の目線での化膿の考え方について解説しています。

このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。

結論

・化膿だけが気になるとき
→排膿散及湯

・化膿と皮膚炎があるとき
→十味敗毒湯

・なかなか治らない化膿
→千金内托散

 この記事を読んでわかること
・化膿とは
・漢方薬のつかいわけ
・おすすめの食べ物、ツボ

漢方をうまく取り入れて、いつも通りに生活を送れるようになればと思います。

目次

化膿性皮膚疾患とは

化膿性皮膚疾患とは、化膿症状をおこる病気の総称です。

化膿の原因

細菌の感染によるものが多いですが、ウイルス、花粉などの異物の侵入によっても炎症が起こり、そこから化膿することもあります。

化膿性皮膚疾患は総称のため、化膿がみられれば化膿性皮膚疾患の範囲に入ります。

現代では、化膿は抗生物質というとてもいいお薬があり、原因となる菌をやっつけるのが重要です。

人によっては再発を繰り返すことがあり、そういった場合は次に漢方薬を考えてもいいかもしれません。

化膿を起こす疾患は多く、ニキビなどの身近なものから、ささくれの化膿、ひょうそ(爪周囲炎)、化膿性汗腺炎、バルトリン腺嚢胞、化膿性扁桃炎、肛門周囲膿瘍、膿疱性乾癬などありますが、漢方では病名ではなく、体質で漢方を選びますので多くの方が服用することができます。

漢方での化膿の考え方

膿は漢方では、身体の表面の気血の流れが鬱滞し、鬱熱と腐敗が生じたものと考えられます。

簡単にいえば悪いものが溜まっている状態です。悪いものを排出する漢方薬をつかいます。

漢方では排膿の働きのある桔梗、枳実などの生薬をつかいます。

ただし慢性的に膿んだり、すぐに膿んだりする方は虚弱体質もあると考えられます。詳しくは↓で解説しています。

化膿の治りが悪いときは?化膿しやすい体質とは?

化膿しやすかったり、化膿がなかなか治らない原因は「気血両虚」の体質が原因です。

・化膿しやすくなった
・化膿が治らない
・慢性的に化膿している

↑に当てはまるときは「気血両虚」の体質の可能性があります。

気血両虚とは気虚・血虚が同時にある体質ですので、「気虚」「血虚」にわけて、解説したいと思います。

気虚

「気虚」があることで化膿しやすくなります。

「気」の働きの1つにバリア機能があります。皮膚に悪いものが入ってこないように守っています。

「気虚」になることで、バリア機能が低下し、化膿しやすくなります。

また「気」が正常に働くことで、膿を排出することできます。「気虚」になることで、膿を排出する力がなく、膿がなかなか治りにくくなります。

「気虚」になることで、バリア機能が低下し、化膿しやすくなります。「気虚」になることで、膿を排出できず、慢性的に化膿してしまいます。

血虚

漢方での「血」は組織・皮膚の栄養となります。

「血虚」になることで、組織・皮膚の修復ができなくなり、組織がもろくなります。

組織がもろくなることで、悪いものが入りやすくなってしまいます。

例えばささくれができやすいのは「血虚」の症状の1つといえます。

組織の修復を助けるためにも、「血」を養う必要があります。

「血虚」になることで、組織の栄養が不足し、皮膚組織がもろく、傷つきやすくなります。「血虚」があることで、皮膚組織の修復ができなくなります。

化膿につかう漢方薬は?

化膿性皮膚疾患の効能効果のある漢方薬に、排膿散及湯、十味敗毒湯、千金内托散があります。

化膿だけが気になるときは排膿散及湯

排膿散及湯は名前の通り、排膿に特化した漢方薬です。

・化膿している
・化膿だけが気になる

排膿散及湯の桔梗・枳実が排膿に働き、膿を出してくれます。

化膿だけの症状が気になるときは排膿散及湯が適しています。

化膿と皮膚炎があるときは十味敗毒湯

十味敗毒湯は、毒を敗る漢方薬です。

・化膿している
・湿疹・皮膚炎もある

十味敗毒湯は桔梗・柴胡などの排膿の生薬と、独活・防風などが祛風に働き、抗炎症、止痒にも働きます。

化膿も、皮膚炎もあるときは十味敗毒湯が適しています。

なかなか治らない化膿に千金内托散

化膿が治りにくかったり、すぐに化膿する方は気血両虚の体質です。

・化膿がなかなか治らない
・すぐに化膿してします
・慢性的に化膿している

千金内托散は桔梗が排膿するだけでなく、人参・黄耆が気を補い、バリア機能を高め、当帰・川芎が血を養い、組織の修復を助けます。

化膿が治らない、すぐに化膿してしまうときは千金内托散が適しています。

十味敗毒湯と排膿散及湯の違いは?

排膿散及湯
十味敗毒湯
  • 排膿に特化している
  • 排膿以外の働きが弱い
  • 排膿と抗炎症、止痒の働きがある
  • 化膿も皮膚炎もあるときに適している

十味敗毒湯と排膿散及湯の違いは、排膿以外にも効果があるかです。

排膿散及湯は膿出しに特化した漢方薬で、膿だけがあるときに適しています。

・十味敗毒湯は膿出しと祛風の働きがあり、膿と湿疹・皮膚炎があるときに適しています。

友だち追加
目次