甘麦大棗湯の使い方と合わない人の特徴

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西山光です
質問

・甘麦大棗湯はどういうときに服用したらいいの?
・合わない人っているの?

このようなお悩みに漢方薬局の薬剤師がお答えします。

 この記事を読んでわかること
・甘麦大棗湯の効能効果
・甘麦大棗湯の構成生薬

・合う人、合わない人
・副作用、長期服用について

目次

甘麦大棗湯の効能効果

 甘麦大棗湯は不眠、夜泣きによく使用されます。

体力中等度以下で、神経が過敏で、驚きやすく、ときにあくびが出るものの次の諸症:不眠症、小児の夜泣き、ひきつけ

甘麦大棗湯の効能効果(薬局製剤)

甘麦大棗湯の効能効果はメーカーによっても異なるので、ご購入の際はしっかりパッケージを確認してください。

甘麦大棗湯の効能効果を大きく分けると、ヒステリックな神経過敏な状態、不眠症、夜泣きの精神的な働き、ひきつけの筋肉への働きがあります。

・ヒステリックな神経過敏、不眠症の精神を鎮める働き
・ひきつけの筋肉の緊張を緩める働き

甘麦大棗湯の精神への働き

甘麦大棗湯の効能効果に「神経が過敏」「驚きやすく」「不眠症」「小児の夜泣き」と記載があり、成員を落ち着かせる働きがあることがわかります。

甘麦大棗湯は不安のマイナスな気持ちの高ぶりを鎮める漢方薬です。

不安な気持ちに敏感になっているので、少しのことで驚きやすく、不眠症、夜泣きを起こしやすくなります。

甘麦大棗湯は甘草・小麦・大棗と甘味の生薬が入っています。甘味の生薬にてグッとくる不安な気持ちを鎮めてくれます。

甘麦大棗湯は頓服でも効きますし、小児では長期的に服用することで体質改善の働きもあります。

甘麦大棗湯が不安な気持ちを甘味で緩めることで、神経過敏、不眠症、夜泣きに効能効果があります。

甘麦大棗湯の筋肉への働き

甘麦大棗湯の効能効果に「ひきつけ」とあります。

ひきつけは筋肉が緊張した状態です。甘麦大棗湯の甘味にて筋肉の緊張を緩めてくれます。

甘麦大棗湯の甘味にて筋肉の過度な緊張を緩めます。

甘麦大棗湯に入っている生薬・成分

 甘麦大棗湯には不安な気持ちを緩める生薬が入っています。

甘麦大棗湯には3種類の生薬が入っています。

甘麦大棗湯には甘草・小麦・大棗が入っています。

・気持ちを緩める働き:甘草・小麦・大棗

気持ちを緩める生薬

甘麦大棗湯に入っている3種類の生薬すべて、気持ちを緩める働きがあります。

甘草。リコリスともいう。甘味料として使用されるくらい甘味が強い。

小麦。漢方では小麦(しょうばく)と読みます。小麦は食品でも使用されている通りです。

大棗。なつめ。甘味があり、ドライフルーツとしてもおいしい。

甘麦大棗湯に入っている甘草・小麦・大棗はすべて甘い生薬です。

漢方では甘味は緩ませる働きがあります。ヒステリックのような神経過敏な状態を緩ませます。

甘味が神経を穏やかにし、神経過敏を鎮め、不眠症、夜泣きに効能効果を発揮します。甘麦大棗湯が筋肉の緊張を緩め、ひきつけにも効果があります。

甘麦大棗湯の甘草・小麦・大棗が神経過敏な状態を緩ませ、不眠症、夜泣きに効果があります。

甘麦大棗湯が合う人・合わない人

・体力中等度の以下
・ヒステリックのように神経過敏
・不眠症
・夜泣き

 甘麦大棗湯は急に込みあがってくる不安な気持ちを緩ませます。

甘麦大棗湯はヒステリックのように神経過敏な方、不安で眠れない方、不安で夜に泣いてしまう方に適しています。

甘麦大棗湯は気を「巡らせる」働きはありません。神経過敏でも不安がなく、いらいら・怒りやすさが主な症状なときは、気を巡らせる抑肝散が適しています。

ヒステリックのように神経過敏ではなく、常に不安がある方は心血不足・肝血不足の体質のため、帰脾湯が適しています。

「甘麦大棗湯が効かない」という経験をされた方もいらっしゃると思います。甘麦大棗湯が効かない理由としては、気滞が強く、イライラが強いときや、心の血が不足した体質のときが考えられます。

合う人合わない人
・ヒステリックのような神経過敏
・不安の症状が強い
・気滞があり、イライラが強いとき
・心の血が不足した血虚のとき
甘麦大棗湯が合う人・合わない人

甘麦大棗湯は効果がでるまで短時間です

漢方薬は効果がでるまで、時間がかかる印象があると思います。

甘麦大棗湯は漢方薬のなかでも即効性があり、不眠症、夜泣きのときに頓服で服用してもすぐに効果があります。

甘麦大棗湯は小児では体質改善の働きもあり、長期的に服用されることもあります。

甘麦大棗湯と抑肝散の違い

甘麦大棗湯はヒステリックのような神経過敏なときに使用し、抑肝散も急に怒りだすような神経の高ぶりが強い方に使用します。

どちらも急な感情の変化がみられるときに使用する漢方薬です。

不安からヒステリックのような神経過敏になるときは甘麦大棗湯が適しています。

不安が一切なく、イライラ・怒りっぽさがあるときは抑肝散が適しています。

甘麦大棗湯は自律神経失調症に効く?

自律神経失調症は人によって様々な症状がみられます。自律神経失調症の症状で、ちょっとしたことで神経過敏で、驚きやすい方は甘麦大棗湯が適しています。

イライラの症状が強いときは抑肝散、不安が多いときは半夏厚朴湯など、自律神経失調症は症状によって漢方薬をつかいわける必要があります。

甘麦大棗湯の副作用、長期服用の注意点

副作用

抑肝散の副作用としては、偽アルドステロン・ミオパチー(けん怠感、筋肉痛)などがみらるこことがあります。

これらの症状があらわれた場合は、副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、医師又は薬剤師に相談をしてください。

甘麦大棗湯の長期服用について

漢方の長期服用にてよく問題になるのが、甘草です。

甘草を多くとっていると副作用が生じやすくなります。

メーカーにもよりますが、一般的に抑肝散に含まれる甘草の量は5.0gです。

甘草の5.0gというのは漢方薬のなかでも多い方です。

頓服で服用する量であれば問題ありませんが、長期的に服用するときは注意が必要です。

手足の脱力感、筋肉痛、しびれがみられるようになったときは甘草による副作用の可能性があります。

そのような症状がみられた場合は直ちに服用を中止してください。

甘麦大棗湯のまとめ

・甘麦大棗湯は体力中等度以下で、神経が過敏で、不眠症、夜泣きがみられる方に使います。

・甘麦大棗湯はすべて甘味の生薬から構成されています。

・甘麦大棗湯の甘味が気持ちを緩ませ、即効性もあります。

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