この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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・灯心堂漢方薬局 薬局長
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65歳、女性。坐骨神経痛、右足の冷えが気になる。肩こり、首凝りから、頭痛も生じる。またお腹にガスがたまり、外にでかけるときにガスが貯まりやすくなるとのこと。ここ10年疲れやすい。またこの2年間、夜中にトイレに起きるようになった。耳鳴りも20年くらいあり、右はセミのような鳴き声で、左はボーとする音が聞こえている。既往歴としては、20年前に子宮筋腫にて、子宮を全摘している。葛根湯や抑肝散を服用しているが、肩こり、坐骨神経痛に変化はないため、当店にご相談になった。
主訴の一番お悩みのところは、坐骨神経痛・肩こりとのこと。
お話をうかがっていると、65歳という年齢からも血の栄養が不足し、同時に血のめぐりが悪くなっていると考えられました。
血を補い、血をめぐらせる漢方薬を10日分お渡しし、様子をみていただきました。
坐骨神経痛などの神経痛に対応した漢方薬を10日服用していただき、痛みは軽減、肩こりも楽になったといっていただけました!
坐骨神経痛に対する漢方薬を服用していただいたが、夜間尿の回数も減り、耳鳴りも少し改善されたとのことです。
痛み、肩こりを改善し、夜間尿、耳鳴りのほかの症状も一緒に改善されたのは漢方薬の面白いところだと感じた症例です。
45歳 女性。寒さによる抹消の冷えでお悩みの方。寒さで手足が強く冷えて、お風呂に入ると脚や肩首にじゅわ〜っと血流が復活しだしたのを感じるような冷え。寝る時は腰〜お尻を温めると調子がいい。寒くなると首・肩が重く怠くなり腕に力が入らなくなります。首と肩がこわばる。こわばりはぎゅっーっと力を入れたまま戻らなくなってしまったようなこわばりです。 脚の浮腫みが、がんの手術してからみられるようになった。浮腫みはウォーキングや鍼灸治療でかなり改善してきているが、12月は仕事が忙しくて室温10度程の環境で立ち仕事が増える為悪化する。既往歴としては、乳がんの部分切除手術を受けているとのこと。
主訴は、寒い時期(ご相談も12月だった)に、手足が強く冷えて、寒さによって首・肩がこわばってしまうため、この方には身体の奥から温める漢方薬をおすすめいたしました。
服用にて、「寒波を乗り越えられるようになった」といっていただけました。
寒さの強いときだけ服用されているとのことです。
60歳 男性。運動不足で足が冷えていて、膝やふくらはぎが痛んだりします。メタボ気味、低体温、やや高血圧、糖尿病予備軍とのこと。
舌の写真などもみせていただき、血のめぐりの悪さが原因と考えられ、血をめぐらせる漢方薬をおすすめさせていただきました。
「のみ始めて3日くらい、膝の痛みがなくなってきたようです、ありがとうございます。」
「先日処方いただいたのを、10日間飲み終わり、膝の痛みがとれました、ありがとうございました。」
といっていただけました。
漢方薬は効果がでるまで時間がかかるイメージですが、お体にあっているときは比較的速やかに効果の実感をいただけることが多いです。
30歳女性。首肩の筋肉が固まって、こわばる。頭も震えてくる。筋肉の緊張、こわばりをなんとかしたい。左足は坐骨神経痛からのしびれがある。既往歴としては、20歳頃から月経困難症 月経開始2日間程や腹痛と貧血症状があった。21歳の時に心身クリニックで自律神経失調症と診断され、1年間メイラックスやセパゾン等処方される。その後、2年間程オーダーメイドの漢方を飲んだり、現在は接骨院にて自律神経の治療を行っている。その後、当薬局にご相談に。
筋肉が過度にこわばってしまう方の相談です。
気の緊張から、筋肉のこわばりに関与していると考えられたため、気の緊張を緩める漢方薬をおすすめしました。
まずは2週間ほど服用していただきました。
「夜のトイレの回数が減った。 筋肉のこわばりが7割程減って肩の力が軽くなった。」といっていただけました。
こちらの方も比較的、速やかに効果がみられた例です。
漢方薬は、不足しているものを補っていくときには時間がかかりますが、積もっているものをめぐらせるときは比較的に効果の実感をいただけることが多いです。
63歳 男性。腕や肩周りの筋肉のこわばり。とくに左の力こぶが張る感じがある。寝付きが悪く、夜中に目が覚めて、朝はだるい。とくに午前中はしんどい。歯をくいしばるくせがあり。頭痛では無いが頭が重い時がある 。締め付けられる感じ月2回ほど。高血圧は健康診断でひっかかるけど、家で測定すると血圧は正常。
筋肉がこわばる方のご相談です。
こちらの方も筋肉のこわばりは、気の緊張が原因だと考えられました。
また水の停滞も強く、水が気血の流れを絞めつけることで、こわばりが悪化している恐れがありました。
気の緊張をほぐし、水のめぐりを改善する漢方薬をおすすめいたしました。
この方は最初の2週間でややこわばりが改善する程度でしたが、2か月ほどし、こわばりが改善し、痛みも減ってきたとのことでした。
きちんと続けていただいたことで、徐々に効果が出てきた例です。
腰痛、神経痛、関節痛、頭痛、生理痛などさまざまな痛みでお悩みでないですか?
ここでは漢方での痛みの考え方についてまとめています。
漢方での痛みの原因がわかれば、原因に対応した漢方薬を選びやすくなります。
漢方薬は神経を圧迫している関節の形を変える働きはありませんが、神経痛の原因となる血のめぐり、関節痛の原因となる水のめぐり、腰痛の原因となる衰えなどに対応し、効果を発揮します。
なかなか治らない神経痛、腰痛、関節痛、筋肉のこわばりでお悩みの方はぜひお読みください。
痛みにつかう漢方薬に疎経活血湯、独活寄生丸、桂枝加朮附湯などがあります。
痛みとは、身体が傷ついたり、神経が圧迫されると、それが脳に伝わり、痛みとなります。
ケガで物理的に損傷したり、神経を圧迫されることで痛みとなります。
坐骨神経痛は、腰から足に伸びている坐骨神経が様々な原因で圧迫されることで痛みになっています。
腰部脊柱管狭窄症では、脊柱管という背骨のすき間が狭くなり、神経が圧迫されることで痛みになります。
腰部椎間板ヘルニアでは、クッションとなる椎間板が押し出され、神経を圧迫し、痛みとなります。
このように痛みと神経はとても密接に関係しています。
漢方薬は、骨の形を変える働きはありませんが、痛みの原因となる浮腫みをとったり、血流を改善することで痛みを解消していきます。
痛みの考え方は共通のことなので、腰痛でも頭痛でも生理痛でも同じ考えを応用することができます。
漢方で痛みを考えるにあたって、2つの言葉があります。
「不通則痛」「不栄則痛」です。
「不通則痛」、「不栄則痛」の考えがとても重要になります。
それぞれの意味についてしっかり説明したいと思います。
「不通則痛」は「通じざれば則ち痛む」のことです。気血の流れに滞りがあることで、痛みが生じることを意味します。
「不通則痛」は「通じざればすなわち痛む」といいます。
気血が通じなければ、痛みとなるという意味です。
気血のめぐりが悪さが痛みに直結します!
気血が通じなくなる要因としては、気滞、瘀血、痰飲、風寒邪、風湿邪、風寒湿邪、熱邪などがあります。
ものが滞って過剰になっていたり、外から悪いものが入ると、気血の流れが邪魔され、痛みとなります。
気滞とは、漢方では気のめぐりの悪い状態のことを指します。
気滞があると、気が滞り、気のめぐりの不調の症状がでてきます。
気は、漢方では身体の活動を助ける働きがあります。
気滞による痛みは、張ったような痛み、動くと痛みが軽減する、筋肉のこわばり、筋肉がピクピクする、緊張やストレスが痛みが悪化する、などの特徴があります。
気滞の痛みの特徴↓
・張ったような痛み
・動くと、痛みが軽減する
・筋肉のこわばる
・筋肉がピクピクする
・緊張やストレスが痛みが悪化する
気は空気の”気”でもあり、張ったような痛みがします。
頭痛でもズキンズキンする張った痛み、お腹でも張ったような症状があるときは気滞が関与しています。
とくに筋肉のこわばりは気滞と関係していることが多いです。
神経痛の方も気のめぐりと大きくかかわっていることが多いです。
逍遙散(しょうようさん)は婦人科で頻用の漢方薬で、簡単にいえば気をめぐらせ、血を補う漢方薬です。
逍遙散には気滞を動かす働きがあります。
逍遙散(しょうようさん)の効能効果は「体力中等度以下で、肩がこり、疲れやすく精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、不眠症、神経症、血の道症」です。
気のめぐりの悪さが筋肉に影響を与え、肩がこりやすくなります。
気の緊張は、筋肉の緊張となり、逍遙散は肩がこりやすい体質の方に適した漢方薬です。
抑肝散(よくかんさん)は気の高ぶりを鎮める漢方薬です。
気の高ぶりを鎮めることで、よく怒りやすい方に抑肝散をつかいます。
抑肝散の効能効果には「体力中等度をめやすとして、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害、血の道症」とあります。
気の高ぶりと歯ぎしりは関係がないように思えますが、気の高ぶりが筋肉に影響を与え、歯ぎしりとなります。
気の高ぶりは歯ぎしりだけでなく、全身の筋肉のこわばりにも関係してきます。
筋肉の緊張を緩めるときには抑肝散が適しています。
釣藤散(ちょうとうさん)は気の高ぶりを鎮める漢方薬です。
気の高ぶりから、頭痛、肩こり、血圧に影響が出ている方につかいます。
釣藤散の効能効果には「体力中等度で、慢性に経過する頭痛、めまい、肩こりなどがあるものの次の諸症:慢性頭痛、神経症、高血圧の傾向のあるもの」と記載されています。
釣藤散も抑肝散と同じ、気の高ぶりを鎮めることに特化した漢方薬です。
気の緊張は、筋肉の緊張となり、頭痛、肩こりにつながってきます。
筋肉のこわばり、筋肉の緊張感からくる不調には釣藤散が適しています。
瘀血(おけつ)とは、漢方では血のめぐりの悪さのことをいいます。
血のめぐりの悪さは痛みにも関係しています。
瘀血の痛みの特徴として、刺すような痛みがあります。
気滞の痛みは張ったような痛みに対し、瘀血は刺すような痛みです。
瘀血は気滞と異なり、動かないため、痛む部位も同じところになります。
関節痛、腰痛、生理痛などの痛む部位が同じ場合は、瘀血の痛みの可能性があります。
瘀血は動いても改善されるわけではないため、動いても痛みが軽減されることはありません。
また瘀血の痛みは慢性的な状態になっていることが多く、痛みが数か月、数年間、変化がみられないときは瘀血の恐れがあります。
瘀血の痛みの特徴↓
・刺すような痛み
・痛む部位はいつも同じところ
・動いても痛みが軽くならない
・慢性的な痛み
疎経活血湯(そけいかっけつとう)は血をめぐらせる働きと血を補う働きのある漢方薬です。
疎経活血湯の効能効果には「体力中等度で、痛みがあり、ときにしびれがあるものの次の諸症:関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛」とあります。
疎経活血湯には、桃仁・牛膝などの血をめぐらせる生薬が入っています。
慢性的にある関節痛、神経痛、腰痛には疎経活血湯が適してます。
疎経活血湯には、血を養う働きがあります。
漢方では血を養うことは筋肉を養うことにもつながります。
年齢を重ねてくると、筋肉がどうしても衰えていってしまいます。
年齢を重ねて、関節痛、神経痛、腰痛がみられる方には、疎経活血湯がおすすめです。
水飲は、漢方では水の停滞のことをいいます。
水滞や水毒ともいいます。
水飲からの痛みは、水の性質をもっているため、おもだるい痛みとなります。
また水が神経を圧迫するため、締め付けられる痛みにもなります。
また水がたまることで、関節の腫れにもつながります。
雨の日に痛みが悪化するのも、水飲からの痛みのことが多いです。
水飲からの痛みの特徴↓
・おもだるい痛み
・締め付けられる痛み
・関節の腫れ
・雨の日に悪化
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は水を出すことで、関節痛に効能効果のある漢方薬です。
防己黄耆湯の防已・白朮が水のめぐりを改善します。
防己黄耆湯には黄耆・白朮の気を補う生薬も入り、気の不足も補ってくれます。
とくに水が溜まりやすい方の体質に特徴的なのが、気の不足があります。
気が不足していると、身体に余分な水を追い出す力も弱くなり、水を追い出すことができなくなります。
防己黄耆湯は水の溜まりをとることで、関節痛につかいます。
五苓散(ごれいさん)も水のめぐりを改善する代表的な漢方薬です。
五苓散はむくみにつかいます。
五苓散に入っている白朮・茯苓・猪苓・沢瀉は水を追い出す生薬です。
むくみがあり、それによって痛みがみられるときには五苓散が適しています。
五苓散が直接的に痛みをとるわけではありませんが、むくみが気になる場合には五苓散が適しています。
二朮湯(にじゅつとう)は四十肩、五十肩に効能効果のある漢方薬です。
漢方では水の停滞から、水が煮詰まり、固く結してくると痰湿といいます。
痰湿は水が煮詰まって、固形化してきたものです。
ヌメリと表現することも多いです。
痰湿があることで、気血の流れを邪魔し、痛みとなります。
二朮湯には天南星(てんなんしょう)という生薬が入り、痰湿をとってくれます。
痰湿からの痛みには二朮湯が適しています。
風と湿の性質があわさったものを風湿、それが悪さするときは風湿邪といいます。
風湿邪は関節などの痛みの原因の痛みになりやすいです。
中国語では、関節リウマチのことを「風湿病」といいます(実際にはリウマチの原因が風湿だけとは限りません)。
風湿邪の痛みの特徴としては、おもだるい痛みとなります。
風湿は湿気を含んでいるので、関節の腫れにもつながります。
風湿邪による痛みの特徴↓
・おもだるい痛み
・関節の腫れ
・締め付ける痛み
・関節痛、腰痛などの痛みの原因になりやすい
麻杏薏甘湯も薏苡仁湯もどちらも、関節痛、神経痛に効能効果のある漢方薬です。
麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)、薏苡仁湯(よくいにんとう)はどちらにも薏苡仁(よくいにん)という生薬が入った漢方薬です。
ヨクイニンはよく肌荒れにつかうことがありますが、関節痛にもよくつかいます。
水のヌメリがあることで、関節、神経を圧迫することで、痛みとなります。
ヨクイニンが水のヌメリをとり、水のヌメリによる神経痛、関節痛の漢方薬に配合されています。
麻杏薏甘湯と薏苡仁湯は似た漢方薬です。
麻杏薏甘湯の方が比較的痛みが浅いときにつかい、痛みが慢性的になってきたときには薏苡仁湯の方が適しています。
風と寒の性質をもった不調を風寒邪といいます。
風寒邪の痛みの特徴として、冷えると痛みが悪化するというのがあります。
冷えが入り込み、気血の流れを邪魔し、痛みとなっています。
冷えが原因であるため、温めると痛みが緩和されます。
お風呂に入ると、痛みがマシになる経験がありませんか?
冷たいシップよりも、温かいシップの方が痛みが緩和される経験はありませんか?
そういった場合は風寒邪による痛みの可能性があります。
風寒邪による痛みの特徴↓
・冷えると痛み
・温めると痛みが緩和される
冷えからくる痛みのときは、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)でしっかり温める必要があります。
桂枝加朮附湯は身体の奥から温めることで、痛みを緩和します。
桂枝加朮附湯の効能効果は「体力虚弱で、汗が出、手足が冷えてこわばり、ときに尿量が少ないものの次の諸症:関節痛、神経痛」とあり、桂枝加朮附湯は温める漢方薬であることがわかります。
桂枝加朮附湯のなかでも、重要な生薬は附子(ぶし)です。
附子は温性の生薬の代表的なもので、身体の奥から温める必要があるときに配合されています。
冷えて痛むときは桂枝加朮附湯が適しています。
不通則痛は何かが気血の流れを邪魔することで痛みになることを意味します。
気血の流れを邪魔するものには、気滞、瘀血、水飲、痰湿、風湿邪、風寒邪などがあります。
気血の流れを邪魔するものを取り除くことで、痛みは緩和されます。
張ったような痛み→気滞からの痛み
刺すような痛み→瘀血からの痛み
おもだるい痛み→水飲、痰湿
外からのおもだるい痛み→風湿邪
冷えによる痛み→風寒邪
「不栄則痛」は「栄えざればすなわち痛む」ことです。気血が不足し、筋肉や組織が栄えていないことで、痛みが生じることを意味します。
「不栄則痛」とは、「栄えざればすなわち痛む」といいます。
栄えていないというのは、気血が衰え、筋肉、組織が痩せてきていることをいいます。
年齢をかさねてくると、筋肉が痩せてくるのは想像できませんか?
筋肉、組織が栄えていないと、気血をめぐるところがなくなり、痛みとなります。
漢方では、栄えていないこと自体が痛みの原因となります。
筋肉、組織が栄えていないことで痛みとなるときは、しっかり気血を補うことが対処法になります。
とくに血の働きが重要になります。
血虚とは、血が不足していることをいいます。
血というと、漢方では血液としての意味合いだけでなく、栄養としての意味合いがあります。
血が不足すると、さまざまな不調がでてきます。
血虚の症状には、疲労、皮膚の乾燥、爪の色が薄い、髪が細い、足がつりやすい、筋肉の衰えなどがあります。
年齢を重ねていくと、筋肉の衰え、皮膚の乾燥、疲労などよくみられませんか?
血虚という栄養が不足によって痛みが生じている場合には、血を養う必要があります。
血虚からの痛みの特徴↓
・筋肉が弱ってきている
・痛みの期間が長い
・年々痛みが増してきている
疎経活血湯(そけいかっけつとう)の効能効果は「体力中等度で、痛みがあり、ときにしびれがあるものの次の諸症:関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛」です。
疎経活血湯はよくご年配の方の関節痛、腰痛に使用されます。
疎経活血湯には血を養う生薬が多く入っています。
疎経活血湯に入っている当帰・芍薬・川芎・地黄は四物湯といわれる構成で、血を養うときに重要になる生薬です。
当帰・芍薬・川芎・地黄も血を養い、筋肉を滋潤し、働きを助けます。
また桃仁・牛膝の活血薬といわれる、血をめぐらせる生薬も入り、瘀血による痛みにも対応しています。
白朮・茯苓は気を補い、水を出す働きもあります。
疎経活血湯だけで、血虚からくる痛み、瘀血からの痛みのどちらにも対応しています。
瘀血は慢性的な症状でなりやすく、血虚はご年配の方がなりやすくため、疎経活血湯がよくご年配の方に使用されるのがわかると思います。
身体が弱って生じる痛みには、腎が関与していることが多いです。
腎というのは、漢方では精を蔵し、生命エネルギーの源と考えられています。
西洋医学での腎臓は水をコントロールする臓器ですが、漢方では広い意味となり、水を主る働きと、生命エネルギーの源となります。
腎は生命エネルギーの源であるため、子供が成長しているときには腎が活発になり、反対に年齢を重ねると衰えていきます。
腎が衰えると、活力・知力の衰え、動作・性の遅鈍、腰膝がだるく無力、耳鳴り、頻尿、夜間尿、冷え、骨がもろくなる、耳が遠くなる、歯が抜ける、髪が細くなるなど様々な症状がでてきます。
加齢による腰痛や関節痛、骨がもろくなって痛みが生じるときには腎の衰えが関与しています。
腎虚による痛みの特徴↓
・腰がおもだるい
・膝がだるい
・動くとしんどくなる
・加齢によって痛みが悪化している
腎虚の腰痛につかう代表的な漢方薬が八味地黄丸です。
八味地黄丸は頻尿によく使用される漢方薬ですが、効能効果に腰痛もあります。
八味地黄丸には腎を補う、地黄、山薬などの生薬から構成されています。
頻尿も腰痛も、一般的に考えると全く別々の症状ですが、漢方でみると、どちらも腎虚が原因ということができます。
八味地黄丸の効能効果は「体力中等度以下で、疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少又は多尿でときに口渇があるものの次の諸症:下肢痛、腰痛、しびれ、高齢者のかすみ目、かゆみ、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善(肩こり、頭重、耳鳴り)、軽い尿漏れ」とあり、加齢による諸症状が記載されています。
腰のおもだるい痛み、頻尿などの症状もあれば、八味地黄丸が適しています。
独活寄生丸(どっかつきせいがん)は頑固な四肢,腰などの痛みに用いられるお薬です。
独活寄生丸の構成は、年を重ね弱っていく腎を補う働き、衰えていく筋肉を養う働き、風湿邪を追い出す働きから構成されています。
つまり独活寄生丸で、血虚、腎虚の「不栄則痛」の痛みに対応し、風湿邪を追い出すことで「不通則痛」の痛みのどちらにも対応した漢方薬になっています。
頑固な四肢,腰などの痛みには独活寄生丸がおすすめです。
不栄則痛とは、筋肉や組織が栄えていないと、痛みになるということ。
血虚からの痛みの場合は、筋肉、組織の痩せの状態です。
腎虚は加齢によって、腰・ひざが弱ってくる状態です。
血虚も腎虚もどちらも加齢によって生じやすいため、同時に生じることも多いです。
衰え、身体が弱って生じる痛みは不栄則痛であり、対処法として気血を補い、補腎していることとなります。
腰痛、関節痛、神経痛、頭痛など痛みは様々ありますが、症状にあった漢方薬を説明していきます。
筋肉の衰えは漢方では血虚という状態です。
筋肉が衰えるだけでも痛みが生じます。
また血のめぐりが悪い、血行不良でも痛みが生じます。
筋肉の衰え、血のめぐりが悪く、冷えるときには疎経活血湯が適してます。
疎経活血湯は血を養う生薬と血をめぐらせる生薬から構成され、「体力中等度で、痛みがあり、ときにしびれがあるものの次の諸症:関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛」に効能効果があります。
・筋肉の衰え
・血のめぐりが悪い
・しびれ感
・関節痛、腰痛、神経痛にも
頑固な四肢、腰の痛み、慢性化した痛みには独活寄生丸が適しています。
独活寄生丸には杜仲などの腎を補う生薬が入り、年齢を重ねて衰えていくところを補います。
また血を養う働きがあり、筋肉の衰えにても対応しています。
独活寄生丸の効能効果は「疲れやすく,下肢が冷えやすいものの次の諸症:腰痛,関節痛,下肢のしびれ・痛み」です。
・加齢による衰え
・下肢のしびれ、痛み
・関節痛、腰痛にも
冷えると痛みが強くなるときは、温める漢方薬をつかいます。
冬の寒い日に痛み、お風呂に入ると痛みが緩和されるときは、冷えが痛みの原因の恐れがあります。
温める漢方薬の桂枝加朮附湯が適しています。
桂枝加朮附湯には附子という強く温める生薬が入っています。
附子が温め、また止痛の働きもあり、冷えによる痛みを緩和します。
効能効果も「体力虚弱で、汗が出、手足が冷えてこわばり、ときに尿量が少ないものの次の諸症:関節痛、神経痛」となっています。
・寒い日、冷えると痛みが悪化する
・温めると痛みは緩和される
頻尿は腎虚によくみられる症状の1つです。
腎は水をつかさどる臓腑であるため、加齢によって腎が衰えていくと頻尿になります。
また腰は腎と関連が強く、腎の衰えから腰痛も起こりやすくなります。
腎虚からの腰痛、下肢痛には八味地黄丸が適しています。
・頻尿、夜間尿などの腎虚の症状
・腰痛、下肢痛
・冷え
関節痛、神経痛、腰痛、筋肉のこわばりの漢方での原因を説明いたしました。
邪魔しているものがあれば、それを追い出し、不足しているときは補うことが対処法になります。
邪魔しているの種類もたくさんあり、ご自身で判断が難しいことも多いと思うので、気になることがあればいつでもお気軽にご相談くださいませ。