この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
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・不眠症の漢方薬ってあるの?
・どう使い分けるの?
国民の4人に1人は睡眠の悩みをもっているといわれています。
漢方の目線での不眠症の考えについて解説しています。
このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。
・疲れやすい、睡眠の質が悪いとき
→帰脾湯
・イライラしやすく、寝つきが悪いとき
→抑肝散
・イライラと不安、便秘がちな不眠
→柴胡加竜骨牡蛎湯
・ホルモンバランスの乱れと不眠があるとき
→逍遙散
・驚きやすい、ビクビクしやすく、不眠のとき
→桂枝加竜骨牡蛎湯
・舌の苔が厚く、不安もある不眠症
→温胆湯
この記事を読んでわかること
・不眠症とは、原因
・おすすめの食事、生活習慣
・漢方薬のつかいわけ
・おすすめのツボ
漢方をうまく取り入れて、睡眠で悩まないように過ごせばと思います。
不眠症とは、入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害などの睡眠問題が1ヶ月以上続き、日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下・食欲低下などの不調が出現する病気です。
e-ヘルスネット
不眠症にもいくつかタイプがあります。
寝つきが悪いときは入眠障害、途中で目が覚めてしまうときは中途覚醒、朝に目が覚めやすくなる早朝覚醒、熟睡感があまり得られない熟眠障害といわれます。
不眠症については、あまが台ファミリークリニック様の「【 超熟睡法!】 薬に頼らず最高の睡眠を得る方法 | 医師 解説」という動画がとても参考になります。
ストレス、高血圧・心臓病などの疾患、精神的な疾患、薬物(コーヒー、ニコチンなど)、生活リズムの乱れ、騒音・光などの環境の問題が不眠症の原因となります。
漢方の基本的な治療方針としては、溜まっているものは巡らせ、不足しているものは補うことが鉄則です。
不眠症の場合、溜まっているものは気滞です。不足しているものは血で、血虚の体質の方に多いです。
気滞とは気のめぐりが悪い状態です。気が停滞することで、身体の働きがスムーズに機能しなくなります。
・入眠障害
・いらいら
・不安
・便秘
・生理前の胸の張り
これらの症状がみられるときは、気滞の傾向があります。気を巡らせる必要があります。
漢方での血は栄養や潤いの働きがあります。血が不足することで気の戻る場所がなくなり、睡眠の質が低下します。
・中途覚醒
・早朝覚醒
・熟眠障害
・肌の乾燥
・爪が割れやすい
これらの症状がみられるときは血虚の傾向があります。気を補う必要があります。
不眠症は気滞と血虚の体質からなりやすいです。気滞を解消するには香味野菜の香りの良い食べ物、血を養うには色の濃い野菜がおすすめです。
気滞タイプはイライラ、不安などの症状がみられるタイプです。
良い香りは気を巡らせてくれます。
紫蘇、薄荷、セロリ、三つ葉などの香味野菜、お茶であればジャスミンティーがおすすめです。
気を巡らせるためには運動が重要です。運動してしっかり肺をつかうことで、気がめぐっていきます。
ジョギング、ウォーキング、時間がない時は深呼吸をするだけでも気をめぐらせることができます。
血虚という身体の栄養が不足した状態のため、睡眠の質の低下ににつながります。
色の濃い野菜は血を養ってくれます。
人参、きくらげ、ほうれん草、卵、肉類、魚類、ゼラチン、なつめ、クコの実、りゅうがんにくがおすすめです。
血を養うためには食事が重要です。ダイエットは禁忌です。
目の使いすぎも血を消耗するのでおすすめできません。
スマホをみないようにといいますが、スマホよりも照明のLEDの方が強い光です。寝なくてもいいので、少し早めに間接照明に切り替えたり、照明を暗くしてください。
お子さんが夜になってもなかなか寝ないのは、照明が明るいからともいわれています。
不眠症につかう漢方薬に帰脾湯、抑肝散、柴胡加竜骨牡蛎湯、逍遙散、桂枝加竜骨牡蛎湯、温胆湯があります。
熟睡感がなかったり、中途覚醒してしまったりする場合は血虚だと考えられます。
血が不足していると気の戻る場所がなくなるため、血の不足から不眠になりやすくなります。
・疲れやすい
・不眠
・熟睡感がない
・中途覚醒、早朝覚醒
・不安感
・あざができやすい
帰脾湯の酸棗仁・竜眼肉が血を養うことで、睡眠の質を改善してくれます。
疲れやすく、睡眠の質が悪いときには帰脾湯が適しています。
気の高ぶりがあり、普段からイライラしやすい方は入眠しづらくなります。
・イライラしやすい
・怒りやすい
・入眠しづらい
抑肝散の釣藤鈎・柴胡が気を巡らせ、イライラも睡眠の邪魔をする気滞を巡らせてくれます。
イライラしやすく、入眠しづらいときは抑肝散が適しています。
気滞からイライラ・入眠しづらくなり、不安も生じやすくなります。
・イライラ
・不安
・便秘
・入眠しづらい
・熟睡しづらい
柴胡加竜骨牡蛎湯の柴胡がイライラ・入眠の邪魔をする気滞をめぐらせます。竜骨・牡蛎が不安な気持ちを鎮めつつ、睡眠の質を高めます。
イライラも不安もあり、入眠しづらい、熟睡しづらいときは柴胡加竜骨牡蛎湯が適しています。
ホルモンバランスの乱れは気と血の問題です。
ホルモンバランスの乱れから不眠になるときは気と血の両方に働きかける必要があります。
・イライラ
・不安
・ホルモンバランスの乱れ
・生理不順
・寝つきが悪い
逍遙散の柴胡・薄荷がイライラ・不安の気滞をめぐらせ、当帰・芍薬が血を養い、ホルモンバランスを整えます。
イライラや不安、ホルモンバランスの乱れもある不眠には逍遙散が適しています。
驚きやすいような、不安な気持ちが強くても不眠になります。
・驚きやすい
・ビクビクしやすい
・不安になりやすい
・熟睡感が少ない
桂枝加竜骨牡蛎湯の竜骨・牡蛎が不安な気持ちを鎮め、睡眠も深くしてくれます。
ビクビクしやすく、不眠症のときは桂枝加竜骨牡蛎湯が適しています。
痰湿というヌメリが溜まると、気の流れを邪魔し、不安・不眠症になります。
・舌の苔が厚い
・不安になりやすい
・入眠しづらい
・中途覚醒
温胆湯の陳皮・半夏・竹茹がヌメリを取り、本来の気の流れに戻し、不安・不眠にも効能効果があります。
舌の苔が厚く、不安、不眠症があるときは温胆湯が適しています。
出産で気血を大量に消耗するため、産後は気血が不足した状態になります。
また産後は環境の変化、育児へのプレッシャーもあり、気滞が生じやすくなります。
産後の気血の虚と、気滞に同時対応するなら芎帰調血飲第一加減が適しています。
年齢とともに、どうしても気血不足しがちになります。
更年期の時期になるとホルモンバランスの乱れからイライラ・不安の気滞も生じやすくなります。
更年期の気血の不足と、気滞に対応するなら芎帰調血飲第一加減が適しています。
不眠症のタイプにもいくつかあり、高齢者の体質でも選ぶものを考える必要があります。
高齢者の不眠症には抑肝散か帰脾湯がおすすめです。
高齢者でもイライラする体質であれば気滞による不眠のため、抑肝散がおすすめです。
高齢者になると、どうしても気血が不足してきます。とくに血の不足によって、不眠症、中途覚醒、熟睡感の不足につながります。帰脾湯が加齢によって不足しがちな気血を養い、不眠症に効果を発揮します。
入眠障害は気滞からなりやすいと考えられます。
気を巡らせるタイプの抑肝散、柴胡加竜骨牡蛎湯、逍遙散などが適しています。
中途覚醒、熟眠障害などの眠り始めたあとの睡眠の質が悪いときは血虚と、気が深く潜れていない可能性があります。
血を養う漢方薬として帰脾湯、気を深く鎮めるためには柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯がおすすめです。
不眠症におすすめのツボ(経穴)は神門、鳩尾、失眠があります。わかりやすいようにyoutubeから参考になる動画を載せています。
神門(しんもん)は少陰心経のツボで、心の気を養い、精神を安定させ、不眠症におすすめです。
鳩尾(きゅうび)は任脈の通りにある経穴で、心を穏やかにして、不眠に適しています。
失眠(しつみん)は奇穴の1つで、足の裏にあり、名前のとおり不眠に適したツボです。