【薬剤師解説】抑肝散の効果・副作用・効果が出るまでの期間|やめたら・合わない人の特徴も

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西山光です

・抑肝散はどういうときに服用したらいいの?
・効果が出るまでどれくらいかかる?
・副作用や合わない人はいる?
・やめたらどうなる?いつまで飲めばいい?
・抑肝散加陳皮半夏との違いは?

このようなお悩みに漢方薬局の薬剤師がお答えします。

この記事を読んでわかること

  • 抑肝散の効能効果
  • 抑肝散の構成生薬と働き
  • 効果が出るまでの期間
  • 飲み方・飲むタイミング
  • やめ時と継続期間の目安
  • 副作用、長期服用について
  • 合う人、合わない人の特徴
  • 症状別の使い方(自律神経・不眠・歯ぎしり・認知症など)
  • 抑肝散加陳皮半夏との違い
  • ツムラ54番・市販品・煎じ薬の違い

目次

抑肝散の効能効果

抑肝散(よくかんさん)の効能効果は次のように記載されています。

体力中等度をめやすとして、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害、血の道症

(血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期などの女性ホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことです。)

抑肝散の効能効果はメーカーによっても異なるので、ご購入の際はしっかりパッケージを確認してください。

抑肝散の3つの大きな働き

抑肝散の効能効果を大きく分けると、以下の3つの働きがあります。

  • イライラ、神経症の精神を落ち着かせる作用
  • 更年期、血の道症の女性への作用
  • 歯ぎしりの筋肉の動きへの作用

抑肝散の効能効果に「怒りやすい」「いらいら」「神経症」「不眠症」と記載があり、イライラを鎮める漢方薬だとわかります。

イライラは漢方では「気滞」という状態です。抑肝散には釣藤鈎・柴胡という気の高ぶりを鎮める生薬が入っています。抑肝散が気の高ぶりを鎮めることで、神経症、不眠症、夜泣き、神経過敏に効能効果を発揮します。

また、抑肝散の効能効果に「更年期障害」「血の道症」とあります。抑肝散は女性によく使用される漢方薬ですが、もちろん男性にも使用できます。

「血の道症」とは、今でいうホルモンバランスの乱れのことです。生理前後、産前・産後、更年期にみられる不調のことをいいます。抑肝散には当帰・川芎という血を養う生薬が入っており、女性は生理があることで身体的・精神的にも不調を起こしやすいため、当帰・川芎が血を養うことで女性に適した漢方薬といえます。


抑肝散の構成生薬

抑肝散は7種類の生薬から構成されています。

生薬名主な働き
釣藤鈎(ちょうとうこう)肝の高ぶりを鎮める、けいれんを止める
柴胡(さいこ)気のめぐりを整え、肝のうっ滞を解く
当帰(とうき)血を養い、滋潤する
川芎(せんきゅう)血のめぐりをよくする
茯苓(ぶくりょう)水のめぐりを整え、精神を安定させる
白朮(びゃくじゅつ)胃腸の働きを助ける
甘草(かんぞう)諸薬を調和し、急迫を緩める

働き別にまとめると以下のようになります。

  • 気の高ぶりを鎮める働き:釣藤鈎、柴胡
  • 血を養い、巡らせる働き:当帰、川芎
  • 胃腸の働きを助け、精神を安定させる働き:白朮、茯苓
  • 全体を調和させる働き:甘草

釣藤鈎が「肝を抑える(抑肝)」のが処方名の由来です。


抑肝散の効果が出るまでの期間

「抑肝散 効果が出るまで」「抑肝散 即効性」というご質問は本当に多くいただきます。

漢方薬局での経験からお伝えすると、効果が出るまでの期間は症状や使い方によって幅があります。

期間期待できる効果
服用後数時間〜数日一時的なイライラ・不眠が落ち着く
1〜2週間「以前より落ち着いた」と実感する目安
1〜3か月安定して症状が出にくくなる
3か月以上体質的に肝の高ぶりが起きにくくなる

認知症の周辺症状の場合

認知症のBPSD(徘徊・興奮・幻覚など)に使う場合、2〜4週間で変化が見られることが多いとされています。早ければ数日で穏やかになる方もいらっしゃいます。介護でお悩みのご家族の方は、かかりつけ医にご相談ください。

効果を感じない・効かないときは

2〜3週間飲んでも変化を感じない場合、以下の可能性があります。

  1. 体質に合っていない:肝の高ぶりよりも気虚(エネルギー不足)が強い体質には、補中益気湯などが適することも
  2. 痰や水滞があるタイプ:胃腸が弱く痰がからむ方には抑肝散加陳皮半夏のほうが向く
  3. イライラより不安・落ち込みが強い:加味逍遙散や帰脾湯、柴胡加竜骨牡蛎湯のほうが適することも
  4. 服用タイミングが不適切:食前・食間の空腹時のほうが吸収がよい

体質に合わせた処方変更が必要です。お困りでしたら、LINE相談からお気軽にご相談ください。


抑肝散の飲み方・飲むタイミング

漢方薬は原則として食前または食間(食事の30分前または食後2時間後)の空腹時に服用します。空腹時のほうが吸収がスムーズで、本来の効果が出やすくなります。胃が弱い方は食後でも問題ありません。

イライラ・不眠が出やすい時間に合わせる飲み方

症状おすすめのタイミング
朝のイライラ朝食前
日中のイライラ各食前
夕方〜夜のイライラ夕食前
不眠(寝つきが悪い)夕食前と就寝前
歯ぎしり夕食前と就寝前

通常は1日2〜3回の服用です。製品により用量が異なるため、添付文書をご確認ください。


抑肝散をやめたら?継続期間とやめ時

「抑肝散 やめたら」は非常に関心の高いテーマです。「いつまで飲めばいいの?」「やめても大丈夫?」というご質問を多くいただきます。

継続期間の目安

状況服用期間の目安
一時的なストレス・不眠数週間〜1か月
慢性的な神経症・自律神経の乱れ3〜6か月
認知症のBPSD症状継続中は継続
体質改善(根本的な改善)6か月〜1年以上

やめ時の判断

以下のような状態であれば、減量・中止を検討できます。

  • 症状が消失または大幅に改善している
  • 1〜2週間飲み忘れても症状が再発しない
  • ストレスの原因が解消された

ただし、急に中止せず、医師・薬剤師に相談しながら段階的に減らすことをおすすめします。

やめたら症状が再発する場合

これは「抑肝散に依存している」のではなく、根本原因(体質・ストレス・生活習慣)が改善されていないためです。漢方では、症状を抑えるだけでなく、根本的な体質改善を目指すことが大切です。生活習慣の見直しと並行して、必要に応じて処方を変更しながら継続することをおすすめします。


抑肝散の副作用と長期服用について

抑肝散の副作用としては、皮膚(発疹・発赤、かゆみ)、間質性肺炎(空せき、息苦しさ)、偽アルドステロン・ミオパチー(けん怠感、筋肉痛)、肝機能障害(発熱、かゆみ、けん怠感、黄疸)などがみられることがあります。

これらの症状があらわれた場合は、副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、医師又は薬剤師に相談をしてください。

甘草と低カリウム血症

漢方の長期服用にてよく問題になるのが、甘草です。甘草を多くとっていると副作用が生じやすくなります。

メーカーにもよりますが、一般的に抑肝散に含まれる甘草の量は1.5gです。甘草の1.5gというのは多くないため、抑肝散は比較的長期服用しやすい漢方薬です。

ただし、以下のような場合は副作用が出やすくなることがあります。

  • ほかの甘草を含む漢方薬を併用している
  • ご年配の方
  • 利尿薬(フロセミドなど)を服用している方
  • 高血圧の方

特に注意すべき症状(偽アルドステロン症)

  • 手足のだるさ・脱力感
  • 足のつり・けいれん
  • 手足のしびれ
  • 血圧の上昇
  • むくみ
  • 動悸

長期服用する場合は、定期的に血液検査でカリウム値を確認することをおすすめします。研究では、抑肝散投与患者の26.3%に低カリウム血症が認められたという報告もあります。

抑肝散と併用に注意すべき漢方薬

抑肝散と併用すると甘草の合計量が増え、低カリウム血症のリスクが上昇する漢方薬には以下があります。

  • 芍薬甘草湯(甘草6g)
  • 小柴胡湯(甘草2g)
  • 半夏瀉心湯(甘草2.5g)
  • 甘麦大棗湯(甘草5g)
  • グリチルリチン製剤(強力ネオミノファーゲンCなど)

これらを併用する場合は必ず薬剤師にご相談ください。

抑肝散は眠くなる?

抑肝散には直接的な催眠作用はありませんが、イライラや緊張が緩むことでリラックスし、結果として眠気を感じる方がいらっしゃいます。日中の眠気が強い場合は、服用タイミングを夕方〜就寝前に変えることで対応できることがあります。

抑肝散は痩せる?太る?

抑肝散に直接的な体重への作用はありません。ただし、イライラからの過食が落ち着くことで体重減、偽アルドステロン症によるむくみで体重増、といった間接的な変化はあり得ます。

妊娠中・授乳中の服用

抑肝散は妊娠中・授乳中でも比較的安全に使われていますが、自己判断ではなく必ず医師・薬剤師にご相談ください。妊娠中は他の漢方薬(加味逍遙散、当帰芍薬散など)のほうが適することもあります。


抑肝散が合う人・合わない人

抑肝散が合う人

  • 体力が中等度の方
  • イライラしやすく、怒りっぽい方
  • 神経が高ぶりやすく、寝つきが悪い方
  • 緊張で歯ぎしり・食いしばりがある方
  • 手のふるえ・けいれんがある方
  • ささいなことで興奮しやすい方
  • 更年期のイライラがある方

抑肝散が合わない人

  • 胃腸が極端に弱い方:陳皮・半夏を加えた抑肝散加陳皮半夏が向く
  • 体力が著しく低下している方:補中益気湯などのほうが適することも
  • イライラより不安・落ち込みが強い方:加味逍遙散・帰脾湯・柴胡加竜骨牡蛎湯が向く
  • 冷えが強い方:温める作用が弱いため、当帰四逆湯などとの併用が必要なことも
  • 高血圧・むくみが強い方:甘草の影響に注意

ご自身の体質判断は難しいため、漢方薬剤師にご相談いただくのが確実です。かんたん体質分析(無料)もご活用ください。


症状別|抑肝散の使い方

自律神経失調症への使い方

抑肝散は、自律神経の乱れの中でも「肝の高ぶり」が主な原因のタイプに向いています。

こんな方に向いています

  • ストレスでイライラしやすい
  • 寝つきが悪い・眠りが浅い
  • 緊張・興奮で動悸がする
  • 手のふるえ・ピクピクする
  • 食いしばり・歯ぎしりがある

自律神経失調症は体質によって使う漢方薬が異なります。詳しくは自律神経失調症の漢方薬もご覧ください。

不眠への使い方

抑肝散は、「頭が冴えて眠れない」「考えごとが止まらない」「イライラで眠れない」タイプの不眠に向いています。

一方、不安や落ち込みで眠れないタイプには酸棗仁湯や加味帰脾湯のほうが適することもあります。

歯ぎしり・食いしばりへの使い方

歯ぎしり・食いしばりは、漢方では「肝の高ぶり」のサインと考えます。抑肝散は釣藤鈎が肝を鎮め、けいれんを抑える働きを持つため、歯ぎしりに有効なことが多いです。歯科でマウスピースを使いながら、漢方で根本改善を目指すアプローチもおすすめです。

認知症の周辺症状(BPSD)への使い方

抑肝散は、認知症の方の以下のような症状に有効性が認められています。

  • 徘徊
  • 興奮・暴言・暴力
  • 幻覚・幻視
  • 妄想
  • 不眠
  • 介護への抵抗

近年、医療現場でも認知症のBPSDに広く使われるようになっています。介護でお悩みの方は、ご家族のかかりつけ医にご相談ください。

耳鳴り・めまい・頭痛・肩こりへの使い方

抑肝散は、緊張やストレスから来る以下の症状にも使われます。

  • 耳鳴り:肝の高ぶりが原因の耳鳴りに
  • めまい:緊張性のめまいに
  • 頭痛:肩こり・緊張型頭痛に
  • 肩こり:ストレスからの肩こりに

更年期障害への使い方

抑肝散の効能効果には「更年期障害」「血の道症」が含まれており、更年期のイライラ・不眠に幅広く使われます。ホットフラッシュやのぼせが強い場合は加味逍遙散と併用されることもあります。


抑肝散と抑肝散加陳皮半夏の違い

抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散に陳皮(ちんぴ)と半夏(はんげ)を加えた処方です。

比較項目抑肝散抑肝散加陳皮半夏
構成生薬7種9種(+陳皮・半夏)
適応神経症、不眠、歯ぎしり、夜泣き抑肝散の効能+胃腸が弱い方
向いている方比較的胃腸が丈夫胃腸が弱い、痰がからむ
ツムラ番号54番83番

選び方の目安

  • 胃腸が普通〜丈夫な方 → 抑肝散
  • 胃腸が弱く、痰がからむ・吐き気がある方 → 抑肝散加陳皮半夏

詳しい使い分けは抑肝散と抑肝散加陳皮半夏と抑肝散加芍薬黄連の違いもご覧ください。

また、神経の高ぶりがより強い方には抑肝散加芍薬黄連もあります。詳しくは抑肝散加芍薬黄連の使い方をご覧ください。


ツムラ54番・市販品・煎じ薬の違い

抑肝散は複数のメーカーから販売されています。

種類特徴向いている方
ツムラ54番(医療用)病院で処方。エキス顆粒病院で処方を受けやすい方
ツムラ(一般用)ドラッグストアで購入可能まず試してみたい方
クラシエ(顆粒・錠剤)錠剤タイプもある顆粒が苦手な方
薬局製剤(煎じ薬)生薬から煎じる本格処方成分まるごと入っている

市販品と医療用の違い

基本的に成分・配合量は同じです。市販品は薬剤師の説明のもとで購入でき、医療用は健康保険の適用となります。

煎じ薬とエキス剤の違い

エキス剤(顆粒)は手軽さが利点ですが、煎じ薬は効果の出方がより力強いのが特徴です。

比較項目エキス剤煎じ薬
手軽さ△(毎日煎じる手間)
効果の出方標準的成分まるごと
香り・味抑えられている生薬本来

抑肝散料(薬局製剤)煎じ薬



抑肝散のよくある質問

Q. 抑肝散は1日何回飲む?

A. 通常は1日2〜3回、食前または食間の服用です。製品により異なるため添付文書をご確認ください。

Q. 抑肝散は飲み続けて大丈夫?

A. 長期服用も可能ですが、甘草による低カリウム血症のリスクがあるため、定期的な血液検査と医師・薬剤師への相談をおすすめします。

Q. 抑肝散はどこで買える?

A. 病院での処方のほか、ドラッグストアや漢方薬局で購入できます。当店オンラインショップでも取り扱っています。

Q. 抑肝散と他の漢方薬を併用していい?

A. 甘草を含む他の漢方薬との併用は注意が必要です。必ず薬剤師にご相談ください。

Q. 子どもにも飲める?

A. 抑肝散は元々は小児の夜泣き・疳の虫の薬として作られた処方で、子どもにも使えます。年齢・体重に応じた用量があります。

Q. 抑肝散を頓服で使ってもいい?

A. 急なイライラ・興奮には頓服的に使うこともありますが、本来は継続服用で効果を発揮する処方です。

Q. 抑肝散の読み方は?

A. 「よくかんさん」と読みます。


漢方相談のご案内

抑肝散は優れた漢方薬ですが、合うタイプと合わないタイプがあります。また、長期服用には低カリウム血症などの注意点もあります。

以下のような方は、ご相談いただくことをおすすめします。

  • 2〜3週間試したが効果を感じない
  • 副作用が気になる
  • 抑肝散加陳皮半夏とどちらがいいか迷っている
  • 他の漢方薬と併用していて飲み合わせが心配
  • もっと効果を実感したい(煎じ薬への切り替えを検討中)
  • 介護中で認知症の家族のためのご相談

灯心堂漢方薬局では、LINE相談・来店相談・電話相談を承っております。

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