神経痛を改善するときの漢方薬の考え方と体質、食事について

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西山光です

神経痛を難しい言葉でいうと、神経障害性疼痛といいます。

神経障害性疼痛は「体性感覚神経系の病変や疾患によって引き起こされる疼痛」と定義され、複数の発症機序を基盤として様々な症状によって構成される症候群です。

つまり、神経障害性疼痛というのは痛みの総称を意味しています。

神経痛は末梢神経から大脳に至るまでの侵害情報伝達経路のいずれかに病変や疾患がある際に生じます。

通常痛みが生じる流れとして、手足をどこかにぶつけたりすると、末梢神経上の侵害受容体が興奮し、脊髄、大脳へと伝わり、痛みを感じます。

しかし神経痛の場合は通常の経路と異なります。

神経痛はぶつけたり、刺激を与えなくても痛んだり、与えた刺激以上に痛みを感じたりします。

痛みが伝わる経路のどこかに疾患や病変があり、神経が過敏になっていることで痛みを感じやすくなります。

神経痛はそれだけでなく、精神心理的な疾患による心因性疼痛の可能性もあり、一度病院の受診をおすすめします。

神経痛についての詳しい説明はこちらのサイトを参考にしてください→

目次

神経痛、神経障害性疼痛を呈する疾患は?

神経障害性疼痛の原因には、栄養代謝性(栄養障害による神経障害、甲状腺機能低下症性ニューロパチーなど)、遺伝性、外傷性(幻肢痛など)、虚血性(アレルギー性肉芽腫性血管炎)、中毒性(シンナー、鉛など)、感染性(ジフテリア、帯状疱疹後神経痛など)、圧迫/呃逆性(頚椎症、坐骨神経痛、三叉神経痛、手根管症候群、すべり症、脊柱管狭窄症、ヘルニア、肋間神経痛、多発性硬化症など)、免疫性(ギランバレー症候群、シェーグレン症候群など)、腫瘍性(悪性腫瘍、脳腫瘍、サルコイドーシスなど)があり、多種多様です。

神経痛の漢方薬は?

神経痛の漢方薬に疎経活血湯、五積散、桂枝加朮附湯、麻杏薏甘湯、薏苡仁湯などがあります。

疎経活血湯

疎経活血湯(そけいかっけつとう)は、神経痛、関節痛、腰痛、筋肉痛など幅広く痛みにつかわれる漢方薬です。

疎経活血湯は血を養い、血をめぐらせ、風を発散し、経絡を通し、神経痛を抑える漢方薬です。

漢方では不栄則痛という言葉があります。

加齢や、慢性疾患によって筋肉の栄養が不足し、栄えなくなると痛みが生じるという意味です。

疎経活血湯には当帰・芍薬・川芎・地黄の血を養う生薬が入り、血虚を補ってくれます。

疎経活血湯は血をめぐらせる働きもあります。

慢性的につづく疾患には瘀血(おけつ。血の鬱滞のこと)が関わっているといわれ、血の鬱滞があることで痛みが生じます。

疎経活血湯には桃仁・牛膝の血のめぐりを改善する生薬が入り、血の鬱滞を解きます。

防風・白芷・威霊仙などの生薬も入り、経絡の流れを邪魔をする風邪を追い払い、痛みを緩和します。

疎経活血湯は血虚・瘀血・風邪に対応した漢方薬で、神経痛、関節痛の幅広い痛みにつかうことができます。

五積散

五積散(ごしゃくさん)は症状の激しくない人の、腰痛、神経痛、関節痛、月経痛、冷え症に用いられる漢方薬です。

五積散は温めて痛みを取る漢方薬です。

五積散は「寒・湿・気・血・痰」の五つの積に対応しているため、このような名前がついています。

五積散には麻黄・桂皮の温める生薬が入り、温め、めぐりを改善します。

五積散の白芷が風邪を発散し、当帰・芍薬・川芎が血を補います。

五積散は温め、風邪を発散し、血を補うことで神経痛、腰痛、関節痛に効果を発揮します。

桂枝加朮附湯

桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)は五積散よりも温める働きが強い漢方薬です(風邪を発散する働きは五積散の方が強い)。

桂枝加朮附湯は手足が冷えてこわばる方に向いています。

桂枝加朮附湯は附子(ぶし)という生薬が主薬です。

附子(ぶし)が生薬が身体の内側から強く温め、止痛に働きます。

関節が冷えて痛む、冷えると神経痛が悪化するような、冷えによって悪化する痛みに桂枝加朮附湯が適しています。

さらにむくみも気になるときは、桂枝加朮附湯に茯苓(ぶくりょう)という水のめぐりを改善する生薬が加わった桂枝加苓朮附湯もあります。

冷えてこばって痛む、神経痛、関節痛には桂枝加朮附湯が向いています。

麻杏薏甘湯、薏苡仁湯

麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)、薏苡仁湯(よくいにんとう)は関節の腫れや痛みのある関節痛、神経痛につかう漢方薬です。

麻杏薏甘湯は麻黄が身体を温め、薏苡仁(よくいにん)が関節の腫れの原因となる痰湿を取り除いてくれます。

麻杏薏甘湯の杏仁がなくなり、当帰・芍薬・桂皮が加わり、血を養う働き、温める働きが加わったものが薏苡仁湯(よくいにんとう)です。

関節や、筋肉の腫れには麻杏薏甘湯、さらに慢性化し、血も不足してきているなら薏苡仁湯が適しています。

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