この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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・四十肩・五十肩に合う漢方薬は?
・どう使い分けるの?
腕が上がりにくく、お仕事や日常生活で困っていませんか?
漢方の目線での四十肩・五十肩の考え方について解説しています。
このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。
四十肩・五十肩は気滞、瘀血などの邪魔しているものがある場合と、血虚、腎虚などの弱っている状態から生じます。
・四十肩・五十肩
→二朮湯
・関節を曲げづらいとき
→薏苡仁湯
・血行不良でしびれ、関節痛
→疎経活血湯
・冷えて痛むとき
→桂枝加朮附湯
・冷え性で、患部では熱があるとき
→桂枝芍薬知母湯
・高齢者の痛み、慢性化した痛み
→独活寄生丸
四十肩、五十肩は肩関節周囲炎のことをいいます。
四十肩と五十肩の違いですが、40代で発症すれば四十肩、50代で発症すれば五十肩といいます。
60代の方でも、30代の方でも発症することもよくあります。
五十肩、四十肩の原因は、肩のスジの腱板に炎症が起こっている状態といわれていますが、はっきりわかっていません。
youtubeの痛みの専門医チャンネル様の動画が大変参考になるので、紹介させていただきます。
漢方での四十肩・五十肩の原因は邪魔しているものがあるときと、血虚の虚の体質が考えられます。
気血の流れを邪魔しているものがあれば、「不通則痛」となり、痛みを生じます。
血虚で組織・筋肉の栄養が不足することで、「不栄則痛」となり、痛みを生じます。
気血の流れを邪魔しているものがあることで、不通則痛となり、痛みとなります。
痛みを引き起こす要因としては、気滞、瘀血、痰飲、風湿、風寒があります。
張ったような痛み→気滞からの痛み
刺すような痛み→瘀血からの痛み
おもだるい痛み→水飲、痰湿
外からのおもだるい痛み→風湿邪
冷えによる痛み→風寒邪
痛みを起こす原因によって、痛みの性質が変わってきます。
また気滞や瘀血などのこれらの要素は合体することも多く、複雑になることも多いです。
気滞、瘀血など邪魔しているものがあることで関節痛になるときは、悪いものを追い出すことで痛みは緩和されます。
血虚や腎虚があることで、組織・筋肉の栄養が不足し、不栄則痛の痛みとなります。
筋肉の痩せによる痛み→血虚
加齢による痛み→腎虚
漢方で血は組織・筋肉の栄養になります。血虚があるときは気虚も同時にみられることも多いです。
腎は血と関係が深く、腎虚からも痛みになります。とくに腎は加齢とともに衰えていき、加齢による痛みには腎虚が関係しています。
血虚、腎虚からの痛みであれば、気血、腎を養うことで痛みは緩和されます。
\↓痛みの原因別の考え方については↓↓のブログで詳しく解説しています↓/
漢方で四十肩・五十肩の食べ物を考えると、巡らせるものと、補うものに分けて考えます。
張ったような痛みの気滞があるときはジャスミンティーなどの香りのいい食べ物がおすすめです。
刺すような痛みの瘀血があるときはたまねぎなどの適度な辛味のある食べ物が適しています。
関節が腫れているときは水を出すためにハトムギが適しています。
筋肉が弱ってくる血虚であればたんぱく質が重要になります。
加齢による腎虚があれば、山芋、長芋、里芋の粘り気のある食べ物がおすすめです。
五十肩、四十肩には二朮湯、薏苡仁湯、疎経活血湯、桂枝加朮附湯、桂枝芍薬知母湯、独活寄生丸などがあります。
二朮湯は痰湿という詰まりをとることで、四十肩・五十肩に効能効果があります。
・四十肩・五十肩
二朮湯には半夏・天南星の痰湿をいうヌメリをとることで、四十肩・五十肩に効果を発揮します。
四十肩・五十肩といえば二朮湯です。
関節が腫れているときには関節のむくみをとり、筋肉の緊張を緩める必要があります。
・関節の腫れ
・曲げづらい
薏苡仁湯の薏苡仁・麻黄・白朮が関節の腫れを取り、当帰・芍薬が筋肉の緊張を緩め、関節痛に効果があります。
関節の腫れ、曲げづらいときには薏苡仁湯が適しています。
疎経活血湯には気滞、瘀血、水のめぐりを改善する生薬、風邪、湿邪を追い出す生薬、栄養不足の血虚の状態に血を養う生薬が入っています。
疎経活血湯は不通則痛の痛み、不栄則痛の痛みのどちらにも対応しています。
・血の巡りが悪い
・刺すような痛み
・しびれもある
・筋肉の弱さもある
疎経活血湯は痛みの要因となる気滞・瘀血・水滞・風邪・湿邪・血虚に対応した生薬が入っています。
関節痛、慢性化した痛み、しびれには疎経活血湯が適しています。
桂枝加朮附湯は温める働きがあり、冷えによる痛みに適しています。
・冷えると痛む
・温めると痛みが緩和
・お風呂に入ると痛みが楽になる
桂枝加朮附湯には桂皮・附子が身体の奥から温め、止痛に働き、白朮がむくみをとってくれます。
冷えて、こわばる関節痛には桂枝加朮附湯が適しています。
身体全体では冷えていても、痛みのある局所では熱感をもっていることがあります。
冷えと熱感があるときはどちらにも対応する必要があります。
・全体的には冷え性
・痛みのある部位は熱感がある
桂芍知母湯は麻黄・桂皮・附子が温め、止痛に働き、知母が炎症を冷ますことで関節痛に効果があります。
冷え性で、炎症の部位は熱感があるときは桂枝芍薬知母湯が適しています。
加齢による痛み、慢性的な痛みは腎虚・血虚が原因です。腎、血を補う必要があります。
・加齢による関節痛
・慢性的な関節痛
・高齢者の関節痛
独活寄生丸は桑寄生・杜仲・牛膝が補腎し、当帰・芍薬が養血し、党参などが気を養うことで、関節痛に効果があります。
加齢による関節痛、慢性的な関節痛には独活寄生丸が適しています。
外関(がいかん)は少陽三焦経のツボで、経絡の流れを改善し、腕肩関節痛におすすめです。
庫房(こぼう)は陽明経のツボで、気の巡りを改善し、肩・胸の筋肉を緩めます。