生理後症候群とは|症状チェック・体調不良・気持ち悪い時の対処法【漢方薬剤師】

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西山光です

生理前のPMS(月経前症候群)はよく耳にするのに、生理が「終わってから」襲ってくる気持ち悪さ・だるさ・気分の落ち込みは、なかなか理解されません。

「せっかく生理が終わったのに、なんだか吐き気がする」

「理由もなく涙が出る、イライラが止まらない」

「自分の心が弱いだけなのかな……」

もし今そんなふうに感じているなら、どうか自分を責めないでください。それはあなたの精神力の問題ではなく、「生理後症候群」という身体の状態かもしれません。実際、月経前後に心や身体の不調を感じる女性は約7〜8割ともいわれ、決して珍しいことではありません。

この記事では、漢方薬局の薬剤師の目線で、生理後症候群のセルフチェックから、なぜ起こるのか、そして漢方・食べ物・ツボでどう整えていけるのかまで、やさしく解説します。


目次

まずセルフチェック|あなたの不調は生理後症候群?

次の項目に、いくつ当てはまるか確認してみてください。

  • □ 生理が終わったのに疲れが取れない、朝起き上がれない
  • □ 理由もなく気分が落ち込む、涙が出る(情緒不安定)
  • □ ソワソワ・イライラして落ち着かない
  • □ 吐き気や胃のむかつき、気持ち悪さがある
  • □ 頭痛・めまい・立ちくらみがある
  • □ 昼間に耐えがたい眠気がある、または夜眠れない
  • □ 食欲がわかない、または反対に食べ過ぎてしまう
  • □ 肌が乾燥してカサつきやすい
  • □ 集中力が続かない
  • □ 生理が終わって1週間ほどで、自然とラクになっていく

3つ以上当てはまった方は、生理後症候群の可能性があります。

「わがままなのかな」「気のせいかな」と思っていた不調にも、ちゃんと理由があります。ここからは、その一つひとつを漢方の視点でひもといていきます。


生理後症候群とは|PMS(生理前)との違い

生理後症候群(月経後症候群)とは、生理の終わりごろから終了後1週間ほどの間にあらわれる、心と身体のさまざまな不調のことです。医学的に正式な病名として決まっているわけではありませんが、多くの女性が経験しています。

よく知られているPMS(生理前症候群)との違いは、症状が出るタイミングにあります。

  • 生理前(PMS)……エネルギーが体の中に溜まって滞りやすい時期。イライラ、胸の張り、むくみなど「張って苦しい」不調が出やすい。
  • 生理後……経血とともに体力を消耗した時期。だるさ、気持ち悪さ、気分の落ち込みなど「枯れて力が入らない」不調が出やすい。

生理前は「溜まって張る」、生理後は「消耗して枯れる」。同じ生理に関わる不調でも、体の中で起きていることは正反対なのです。


いつまで続く?生理後症候群の期間

生理後症候群の不調は、生理が終わるころから始まり、長い方で1週間ほど続くことがあります。その後、排卵期に向かって体力が戻るにつれ、自然と軽くなっていくことが多いです。

ただし、毎月決まってつらい、日常生活に支障が出る、という場合は、一度専門家に相談することをおすすめします。


なぜ起こる?生理後症候群の原因

生理後症候群のはっきりとした原因はまだ解明されていませんが、一般的には次のような点が関わっていると考えられています。

① 女性ホルモンの変動:生理の前後でホルモンのバランスが大きく揺れ動くことが、心身の不調につながると考えられています。

② 貧血・かくれ貧血(潜在性鉄欠乏):生理の出血で鉄分が失われることも一因です。特に「かくれ貧血」は通常の健康診断では見つかりにくく、本人も気づかないうちに、だるさや気分の落ち込みを招いていることがあります。

漢方では「血虚(けっきょ)」と「気の乱れ」で考えます

ここからが、漢方ならではの見方です。

漢方では、生理でたくさんの「血(けつ)」を失った後の体を、血虚(血が不足した状態)ととらえます。血は全身に栄養とうるおいを届けるものなので、これが足りなくなると、だるさ・冷え・肌の乾燥・気分の落ち込みがあらわれやすくなります。

さらに、血と一緒に「気(き=エネルギー)」も消耗すると、休んでも取れない倦怠感(気血両虚)が出てきます。

そして、消耗によって気の巡りが乱れる(気滞)と、イライラや情緒不安定、気持ち悪さといった、揺れる不調が出やすくなります。

つまり「生理が終わったのに、なぜこんなにしんどいのか」——その答えは、生理で血と気を大きく消耗しているから根性や気の持ちようの問題ではなく、体からのサインなのです。


症状別に見る生理後症候群

生理後症候群は、人によって出やすい症状が違います。あなたの気になる症状を、漢方の視点で見ていきましょう。

だるい・しんどい・強い眠気

生理後の「休んでも抜けない重だるさ」は、血と気を消耗した気血両虚によるエネルギー切れのサインです。無理に気合いで乗り切ろうとせず、まずは体力を養うことが回復への近道になります。

気持ち悪い・吐き気・胃のむかつき

生理後の気持ち悪さには、消化を担う「脾胃(ひい=胃腸)」の弱りが関わっていることがあります。血を生み出すのも胃腸の働きです。胃腸が疲れていると、栄養をうまく取り込めず、むかつきや食欲不振につながります。冷たいものの摂りすぎに注意し、胃腸をいたわることが大切です。

気分の落ち込み・情緒不安定・うつっぽさ

「生理後に涙が出る」「うつ病なのでは」と不安になる方も少なくありません。漢方では、血が不足すると心(しん)=こころの安定が揺らぎやすくなると考えます。これは意志の弱さではなく、血虚によって心が栄養を受け取れていない状態。血を補うことで、気持ちが落ち着いてくることが期待できます。

イライラ・落ち着かない

生理後のイライラは、気の巡りの乱れ(気滞)によるものと考えられます。生理前の「張ってイライラする」感覚とは異なり、消耗した上でのソワソワ・不安定さが特徴です。気を巡らせ、同時に消耗を補っていくことがポイントになります。

食欲がない/食べ過ぎてしまう

食欲の乱れも、生理後によく見られます。食べられないのは脾胃の消耗、逆に食べ過ぎてしまうのも心身のアンバランスのあらわれ。どちらの場合も、胃腸を整えることが土台になります。


生理後症候群におすすめの漢方薬

生理後症候群のご相談では、その方の体質や、特に出やすい症状(タイプ)に合わせて漢方薬をお選びします。ここでは代表的なものをご紹介します。

気分の落ち込み・不安が強いとき → 帰脾湯(きひとう)

気分の落ち込みや不安感、疲れて眠りが浅いといった状態に用いられる漢方薬です。血を補いながら、こころの安定を助ける生薬が含まれているのが特徴です。帰脾湯

疲労倦怠感・冷えが強いとき → 十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

血を補う「四物湯」と、気を補う「四君子湯」を合わせた構成で、気血の両方が不足した状態に幅広く用いられます。生理後の強い疲れやだるさ、冷えが気になる方に向いています。十全大補湯

イライラ・気分の波が大きいとき

情緒の揺れが大きいタイプには、気の巡りを整える処方が候補になることもあります。

⚠️ 同じ「生理後症候群」でも、血虚が中心の方、気の巡りの乱れが中心の方、胃腸の弱りが中心の方で、合うお薬は変わります。市販薬を選ぶ前に、まずはご自身のタイプを知ることが大切です。

💬 どれが自分に合うのか分からない、という方へ。 灯心堂漢方薬局では、あなたの体質・症状をていねいにお聞きして、一人ひとりに合った漢方をお選びします。「病院に行くほどではないけれど、毎月つらい」——そんなお悩みこそ、お気軽にご相談ください。 → 〔LINEで相談する〕


生理後症候群におすすめの食べ物

生理後は、失った「血」を補う食事を意識すると、体が整いやすくなります。

血を補う薬膳食材なつめ、黒豆、ほうれん草、にんじん、レバー、赤身のお肉、黒ごま など。

鉄分を意識する:かくれ貧血が隠れていることもあるため、鉄分を含む食材を日々の食事に取り入れましょう。

胃腸をいたわる :冷たい飲み物や生ものの摂りすぎは、胃腸(脾胃)を冷やして働きを弱めます。温かい料理を中心に、よく噛んでいただくのがおすすめです。

血は、胃腸が食べ物からつくり出します。だからこそ「何を食べるか」と同じくらい、「胃腸を元気に保つこと」が生理後の回復には大切です。


生理後症候群におすすめの生活習慣

  • 睡眠をしっかりとる……血は夜、休んでいる間に養われます。特に生理後は早めの就寝を意識して。
  • 湯船で体を温める……冷えは血の巡りを滞らせます。シャワーで済ませず、湯船につかる習慣を。
  • 無理のない軽い運動……ウォーキングやストレッチ程度で十分。激しい運動は逆に消耗を招くことも。
  • 頑張りすぎない……生理後は「回復期間」です。予定を詰め込みすぎず、体を休ませてあげることも立派なセルフケアです。

生理後症候群におすすめのツボ

セルフケアとして、次のツボを優しく押すのもおすすめです。

血海(けっかい)

膝のお皿の内側の角から、指3本分ほど上にあるツボ。血の巡りを助けたいときに用いられます。親指でゆっくり心地よい強さで押しましょう。

三陰交(さんいんこう)

内くるぶしの一番高いところから、指4本分ほど上、骨の後ろ側のくぼみにあるツボ。女性の不調に幅広く使われる代表的なツボです。冷えが気になる方は、お灸で温めるのもよいでしょう。


【相談事例】生理後の倦怠感・頭痛・強い不安感がラクになった30代女性

ここで、実際に灯心堂漢方薬局へご相談いただいた方の事例をご紹介します。

ご相談時のお悩み

30代の女性もともと不安を感じやすいタイプで、やせ型、胃腸の調子も崩しやすい体質でいらっしゃいました。

生理が来ると、強い倦怠感、左側の頭痛、吐き気、そして押し寄せるような強い不安感があらわれ、毎月つらい思いをされていました。「生理後の不調をどうにかしたい」と、当薬局にご相談くださいました。

漢方的にどう捉えたか

舌の状態や脈をていねいにみせていただいたところ、血虚(血の不足)がとても強い体質であることがわかりました。

もともと血虚の傾向がある体質に、生理の出血が加わることで血虚がさらに強まり、それが倦怠感・頭痛・不安感につながっていると考えられました。やせ型で胃腸が弱いことも、血をつくり出す力の不足と関わっていました。

選んだ漢方薬と経過

そこで、血を養う漢方薬と、消化管の動きを助ける漢方薬を組み合わせて服用していただくことにしました。血を補うと同時に、その血をつくる土台である胃腸を整えることを大切にした組み合わせです。

まず14日間続けていただいたところ、強かった不安感がだいぶ和らいだとのことでした。その後も体質改善を目指して2年ほど続けられ、生理後の倦怠感があまり気にならなくなったとのことで、お薬を卒業(廃薬)されました。

このように、生理後症候群は「その場をしのぐ」だけでなく、血虚などの体質そのものを整えていくことで、少しずつラクになっていくことが期待できます。時間はかかっても、体の土台が変わると、生理のたびに振り回されにくくなっていきます。


まとめ|つらい生理後を、一人で抱えないで

生理後のだるさ・気持ち悪さ・気分の落ち込みやイライラは、あなたのせいでも、気の持ちようでもありません。 生理で血と気を大きく消耗した、体からのサインです。

まずは食事・睡眠・ツボなどのセルフケアから始めてみてください。それでも毎月つらい、なかなか変わらない——そんなときは、どうか一人で抱え込まないでください。

漢方では、あなたのタイプに合わせて体の土台から整えていくことができます。生理後もいつもどおりに過ごせる毎日を、一緒に目指していきましょう。

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