この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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・ニキビの漢方薬は?
・どう使い分けるの?
ニキビは大人でも子供でも悩む皮膚疾患の1つです。
ここではニキビの漢方での考え方について解説しています。
このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。
・ニキビ、ニキビ体質
→荊芥連翹湯
・膿がたまるとき
→十味敗毒湯
・赤ニキビ
→清上防風湯
・色素沈着、暗い色のニキビ
→桂枝茯苓丸加薏苡仁
この記事を読んでわかること
・ニキビとは
・ニキビの漢方の考え方
・漢方薬のつかいわけ
漢方をうまく取り入れて、いつも通りに生活を送れるようになればと思います。
ニキビは尋常性座瘡のことです。
思春期のころにできるものはニキビといい、大人になってからできるものを吹き出物といいます。
ニキビができる流れは、毛穴の閉塞→皮脂の過剰分泌→アクネ菌の増殖で炎症が起こることでニキビとなります。
角質が毛穴をふさぐことで、皮脂が毛穴から排出されなくなります。
皮脂がたまることで、皮脂を栄養にしているアクネ菌などが増殖しやすくなり、そこで炎症を起こし、にきびとなります。
皮脂の分泌はホルモンの影響を受け、分泌されやすくなります。思春期や、ホルモンのバランスが崩れやすい生理前にニキビができやすくなります。
ニキビにも種類があり、進行度でいうと、白ニキビ→黒ニキビ→赤ニキビ→黄ニキビとなります。
白ニキビというのは、最初の段階で毛穴に皮脂が詰まっただけの状態です。見えなくても実は白ニキビとして潜んでいるのです。
黒ニキビというのは、白ニキビから進行し、患部の毛穴が開き、空気で酸化し、黒くなった状態です。
赤ニキビというのは、さらに悪化し、菌が繁殖し、炎症を起こしている状態です。
赤ニキビが化膿することで黄ニキビになります。
紫ニキビは赤ニキビ、黄ニキビが進行し、膿と血が合わさった状態です。
漢方ではニキビは熱、膿、瘀血、気虚、血虚が関係しています。
赤いニキビ、触ると痛いニキビは炎症が強いため、熱を冷ますことでニキビを改善していきます。熱性の赤ニキビには荊芥連翹湯、清上防風湯が適しています。
膿がたまったり、皮膚が盛り上がったりするときは湿が溜まっています。湿を追い出すためにも十味敗毒湯をつかいます。
色素沈着や、暗い色をしたニキビは血の巡りが悪い状態です。桂枝茯苓丸加薏苡仁などで血をめぐらせていきます。
ニキビは内臓の不調があることでも生じます。胃腸の働きや肌のバリア機能が低下しているときは気虚の可能性があります。
肌の乾燥は漢方では血虚といいます。肌の栄養不足があることで、肌の状態が安定せず、ニキビになりやすくなります。
ニキビは何を食べるよりかは、何を食べないかの方が重要です。
辛いもの、胃に重たいもの、味の濃いもの、脂っこいもの、乳製品、チョコレート、お酒などは避けるようにしてください。
赤い熱感のあるニキビは熱がこもっているため、熱を冷ますような夏野菜がおすすめです。
膿や湿が溜まっている方は、身体の水はけをよくするために、味のあっさりしたキュウリ、とうがん、はとむぎがおすすめです。
血の巡りが悪い方は適度な辛さの食べ物のたまねぎ、なす、黒酢などが適しています。
気虚、血虚の方は胃に優しい、白米、卵などと、たんぱく質を摂取することが重要です。
ニキビの適応のある漢方薬には荊芥連翹湯、清上防風湯、十味敗毒湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁があります。
下に体質別におすすめの漢方薬を説明しています。
ニキビは熱、湿、血虚など関与しており、それらに総合的に対応する必要があります。
・白ニキビ、黒ニキビ、赤ニキビ、黄ニキビ、紫ニキビの全般
・炎症があるニキビ
・膿が溜まっているニキビ
・思春期ニキビ
・大人ニキビ
・体質改善
荊芥連翹湯はバランス良く生薬が入っています。
・炎症を抑える:黄連・黄芩・黄柏・山梔子
・膿を出す:桔梗・枳実・柴胡
・肌の調子を整える:当帰・芍薬・川芎・地黄
・体質改善:黄連や当帰など
荊芥連翹湯はニキビでお悩みの方に広くつかいやすい漢方薬です。
ニキビ、ニキビができやすい体質改善に荊芥連翹湯が適しています。
膿が溜まるときは膿を出すことで、化膿性皮膚疾患を改善していきます。
・膿がたまる
・白ニキビ
・黄ニキビ
十味敗毒湯には柴胡・川芎・桔梗などの排膿の生薬が多く入り、化膿性皮膚疾患に効能効果があります。
膿がたまるときは十味敗毒湯が適しています。
赤ニキビは炎症が強い状態のため、炎症を抑える必要があります。
・赤ニキビ
・炎症が強い
清上防風湯には黄連・黄芩・山梔子などの炎症を抑える生薬が多く入り、桔梗・枳実の排膿の生薬も入り、ニキビに効果を発揮します。
炎症が強い、赤ニキビには清上防風湯が適しています。
色素沈着し、シミになったり、暗い色のニキビは瘀血が原因です。瘀血をめぐらせる必要があります。
・暗い色のニキビ
・色素沈着
・炎症はない
・生理痛、生理不順
桂枝茯苓丸加薏苡仁は桃仁・牡丹皮などが血を巡らせ、薏苡仁が湿を取り除き、ニキビに効果を発揮します。
色素沈着、暗い色のニキビには桂枝茯苓丸加薏苡仁が適しています。
ニキビは白、黒、赤、黄、紫ニキビと分類されます。
白ニキビで溜まっているものがあるときは十味敗毒湯、慢性的にニキビができやすいときは荊芥連翹湯が適しています。
黒ニキビであれば、幅広く対応できる荊芥連翹湯が適しています。
炎症が強い、赤ニキビには清上防風湯、慢性的にニキビができやすいときは荊芥連翹湯が適しています。
紫ニキビは膿、熱などが複合している状態のため、荊芥連翹湯が適しています。
血の巡りが悪いニキビには桂枝茯苓丸加薏苡仁が適しています。
生理前のニキビができやすいのはホルモンバランスの乱れが原因です。
生理前は基礎体温が高くなるように、身体で陽のエネルギーが強くり、それが熱となり、ニキビとなります。
ニキビを治すというよりは、ホルモンバランスの乱れを整えることで結果的にニキビがてきにくくなります。
ホルモンバランスの乱れを整える漢方薬に加味逍遙散があります。
生理前にニキビができやすいような、ホルモンバランスの乱れを改善するためには加味逍遙散が適しています。
更年期にニキビができやすくなるのはホルモンバランスの乱れが原因と考えられています。
ニキビを治すというよりは、ホルモンバランスを整えることで、結果的にニキビができにくくなります。
更年期のホルモンバランスを整える漢方薬に芎帰調血飲第一加減があります。
更年期にニキビができやすい、ホルモンバランスの乱れがあるときは芎帰調血飲第一加減が適しています。
顔には経絡が通っており、部位によってどこが悪いのかがある程度わかります。
ただし参考までにみていただけたらと思います。
フェイスラインは陽明胃経という経絡が通っており、フェイスラインニキビは胃の働きが関係しています。胃の働きを整えることで、ニキビもできにくくなります。
あごニキビは任脈と陽明胃経が関係しています。
任脈とはホルモンバランスが関係する経絡であり、あごニキビができるときはホルモンバランスが乱れていたり、生理不順があると考えられます。
実際に妊活で漢方を服用していただくとニキビが減ってきます。
またあごニキビは陽明胃経も通っているため、胃腸の働きもニキビに関係しています。
鼻の下は衝脈、陽明胃経が関与しています。
鼻の下ニキビは衝脈はホルモンバランスの乱れ、陽明胃経は胃の働きがニキビに関係しています。
鼻ニキビは督脉(とくみゃく)が関係しています。
鼻には督脉という経絡が通っており、陽気の経絡であり、ホルモンバランスが関係しています。
耳ニキビは少陽胆経、少陽三焦経が関係しています。
少陽胆経、少陽三焦経というのは気のめぐり、水のめぐりに関係する経絡で、耳ニキビはストレス、自律神経と関わりがあります。
眉間には印堂(いんどう)というツボがあり、督脉の経穴です。
眉間のニキビは陽のホルモンバランスが関係していると考えられます。
ニキビがなかなか治らなったり、ニキビを繰り返すことでお悩みではないですか?
ニキビが治らないのは体質が改善していないからです、と漢方ではいうことができます。
漢方ではニキビは身体の内側の問題が表面にでてきている状態です。
女性であればホルモンバランスの乱れ、不妊、生理不順、更年期などが関係しています。実際に妊活で漢方薬を服用していただくと、結果的にニキビができにくくなります。
胃腸の働きもニキビに関係しており、食生活を見直し、胃腸の働きを助けることも必要になります。
個人的な話になりますが、自分はプロテインを摂取すると確実にニキビができます。ホエイプロテイン、ソイプロテイン、エッグプロテインなどを試しましたが、すべてで吹き出物ができます。胃腸に負担をかけない食事にするだけでも、ニキビは改善されます。
ニキビにおすすめのツボ(経穴)は合谷と天枢です。
わかりやすいように、youtubeの動画を紹介させていただきます。
合谷(ごうこく)は陽明大腸経のツボで、体内の熱を冷まし、体表の邪気を取り除いてくれます。
天枢(てんすう)は陽明胃経のツボで、胃腸の働きを整え、清と濁を分け、濁を排出しやすくします。
10代後半の男性。通常はイギリスに住んでいるが、1か月ほど日本に帰国の際に来店。慢性的にニキビ・酒さに悩まれている。ニキビの範囲は顔だけでなく、胸や背中にもある。また酒さのように鼻の周辺は赤くなっている。イギリスでのお薬もつかっていたが、改善がみられないため、当店にお越しになった。
10代後半の男性、酒さもあるように、ニキビは赤みが強く、熱のこもりが強い印象。
今回は熱を冷ます漢方薬と熱を発散する漢方薬を2週間分ほど服用していただいた。
2週間後には、顔のニキビ・酒さの赤みも軽減がみられた。もう帰国されるため、お薬を1か月分お渡しした。