【使いわけ】排膿散及湯と十味敗毒湯の違いを徹底解説(どっちを飲んだらいい?)

 この記事を書いた人

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西山光です
質問

・排膿散及湯と十味敗毒湯の違いは?
・どう使い分けるの?

漢方薬の違いってわかりづらいですよね。

ここでは排膿散及湯と十味敗毒湯の違いについて解説しています。

このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。

結論

排膿散及湯は膿出しに特化した漢方薬で、膿だけがあるときに適しています。

・十味敗毒湯は膿出しと祛風の働きがあり、膿と湿疹・皮膚炎があるときに適しています。

なぜこのような違いがあるのか、解説していきます。

 この記事を読んでわかること
・排膿散及湯と十味敗毒湯の違い
・生薬の違い
・それぞれの使い分け

目次

効能効果の違い

効能効果の違いから説明していきます。効能効果はメーカーによっても異なるので、服用する際はパッケージのご確認をお願いいたします。

排膿散及湯の効能効果

化膿性皮膚疾患の初期又は軽いもの、歯肉炎、扁桃炎

排膿散及湯の効能効果(薬局製剤)

排膿散及湯は化膿の皮膚疾患に特化した漢方薬です。

十味敗毒湯の効能効果

体力中等度なものの皮膚疾患で、発赤があり、ときに化膿するものの次の諸症:化膿性皮膚疾患・急性皮膚疾患の初期、じんましん、湿疹・皮膚炎、水虫

十味敗毒湯の効能効果(薬局製剤)

十味敗毒湯は化膿性皮膚疾患の効能効果もありつつ、湿疹・皮膚炎、じんましんにも効能効果があります。

効能効果の違い

・排膿散及湯は化膿性皮膚疾患についての記載が中心です。

・十味敗毒湯は化膿性皮膚疾患と湿疹・皮膚炎の記載があり、幅広く使用できます。

生薬について

排膿散及湯と十味敗毒湯の生薬の違いについて解説します。

桔梗・甘草・生姜という生薬は共通しています。

排膿散及湯に入っている生薬

排膿散及湯は桔梗・枳実・芍薬・生姜・大棗・甘草の6つの生薬から構成されています。

・排膿の働き:桔梗・枳実
・気血を養う:芍薬・生姜・大棗・甘草

桔梗(ききょう)。キキョウの根。排膿し、消腫に働く。

枳実(きじつ)。ダイダイの若い果実。排膿し、消積に働く。

排膿散及湯は桔梗・枳実の排膿に特化した生薬が入ることで、化膿性皮膚疾患に効果を発揮します。

十味敗毒湯に入っている生薬

十味敗毒湯は柴胡・桜皮・桔梗・川芎・茯苓・独活・防風・甘草・生姜・荊芥の10種類の生薬から構成されています。

・排膿の働き:桔梗・桜皮・川芎
・抗炎症の働き:柴胡・甘草
・止痒作用:荊芥・防風・独活

荊芥(けいがい)。ケイガイの花穂。祛風や透疹の働きがある。

十味敗毒湯には排膿の生薬のほかに、抗炎症やかゆみを抑える生薬が入っています。

十味敗毒湯には様々な生薬が入っているため、化膿性皮膚疾患だけなく、湿疹・皮膚炎、じんましんにも効果があります、

・排膿散及湯は排膿の生薬がメイン。
・十味敗毒湯は排膿しつつ、炎症、かゆみにも対応しています

排膿散及湯と十味敗毒湯の使い分け

排膿散及湯は膿を出すことに特化し、十味敗毒湯は排膿と抗炎症、止痒にも対応しています。

排膿だけの目的で、炎症、かゆみが少ないときは排膿散及湯。
膿に以外にかゆみ、炎症もあるときは十味敗毒湯。

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