灯心堂漢方薬局

【漢方】生理血が薄い4つの体質~最近、生理血が薄くなったと感じたら~

生理血が薄くなってきたと感じたことはありませんか?

 

生理血が薄くなる原因は一般的には、子宮頸管粘液(子宮頸管中にある粘液)が混入し、色が薄くなったり、エストロゲンレベルが低下したり、ヘモグロビン不足ともいわれたりします。

 

生理血が薄くなる原因について漢方で目線で考えたいと思います。

 

 

生理血が薄くなる漢方での原因、理由は?

生理血が薄くなる漢方での原因としては、血虚、気虚、脾腎両虚、痰湿の体質が考えられます。

 

 

血虚

血虚とは血が不足している状態です。

血は漢方においては血液としての役割だけではなく、栄養状態もあらわしています。

血が栄養状態と関係がある?といわれてもイメージしづらいと思います。

 

例えば、肌が乾燥し、カサカサしているのは肌の栄養が不足している状態といえます。

 

筋肉が痩せ、潤いがなく、こむら返りを起こしやすくなることも漢方では血虚です。

 

皮膚、筋肉に栄養が行きわたっていなければ血虚と漢方では考えます。

 

栄養が不足しているのは、体表だけでなく、体内でも同じことが起こります。

 

血虚は血の不足、栄養の不足であり、生理血が薄くなりやすくなります。

 

血が不足しているため、経血量も少なくなります。

・淡紅色の生理血
・生理周期の延長
・経血量が少ない
・下腹部の鈍痛
・頭のふらつき
・爪がもろい

これらの症状がみられるときは血虚と考えられます。

 

血虚は血の不足のため、生理血の色が薄くなります。

ワイン

↑はグラスからワインがあふれている写真です。

 

生理は、十分に血が蓄えられることで、生理がはじまります。

 

反対に血が十分に蓄えられなければ、生理がはじまりません。

 

血虚の方は血が不足しているため、グラスに血が貯まっていくのに時間がかかり、生理が遅れがちになります。

 

血虚は血が不足しているため、生理がはじまっても出血する経血量も少なくなります。

 

生理痛も、瘀血という血の滞りがあるときは刺すような強い痛みになります。

 

反対に血が不足している状態だと、強い痛みではなく、鈍い痛み、鈍痛となります。

 

血虚は血と栄養の不足の状態であるため、顔色・爪の色が薄く、めまいにも影響します。

 

血虚の状態のときは血を養う漢方薬をつかいます。

 

四物湯

四物湯 効能効果:「体力虚弱で、冷え症で皮膚が乾燥、色つやの悪い体質で胃腸障害のないものの次の諸症:月経不順、月経異常、更年期障害、血の道症、冷え症、しもやけ、しみ、貧血、産後あるいは流産後の疲労回復」

 

四物湯(しもつとう)は血を養う代表的な漢方薬です。

 

当帰・芍薬・川芎・地黄の4つに生薬から構成され、すべて血を養う生薬です。

 

四物湯が血を養うことで、血虚による生理血の薄い、生理不順、月経異常に効能効果があります。

 

十全大補湯

十全大補湯 効能効果:「体力虚弱なものの次の諸症:病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血」

 

十全大補湯は四物湯に、人参などの気を補う漢方薬を足したものです。

 

十全大補湯は血を養う働きと、気を補う働きが強いです。

 

血虚による貧血の方に十全大補湯は適しています。

 

 

気虚

気虚とは、気が不足した状態のことです。

 

気が不足すると、食事から摂取したものを栄養に変換することができず、血の不足にもつながります。

 

血虚の症状と、気虚の症状の一番の違いは生理量の違いです。

 

血虚の場合、血が足りていないため経血量も少なくなります。

 

気虚の場合、気が足りていないため、出血を止める力が弱く、だらだらと出血が続き、経血量も多くなります。

 

気虚体質ではしっかり出血を止められず、生理もだらだらと長引く生理になります。

・薄い生理血

・生理周期の短縮

・生理量が多い

・生理の期間が長い

・疲れやすい

・汗をかきやすい

これらにあてはまるときは気虚の恐れがあります。

 

薄い生理血は気虚でも、血虚でもみられる症状です。

 

気虚の場合は気の力が弱っている状態のため、血を留める力が弱くなります。

 

気虚で血を留めることができないため、生理周期が早くなります。

 

気虚で血を止める力が弱いため、だらだら出血し、生理量が多く、生理で出血する期間が長くなります。

 

気虚はほかにも疲れやすくなったり、汗をかきやすくなります。

薄い生理血(気虚・血虚ともに)

生理周期が遅れがち(血虚)↔生理周期が早くなりがち(気虚)

生理量が少ない(血虚)↔生理量が多い(気虚)

気虚の場合は、漢方では人参などで気をしっかり補う必要があります。

 

補中益気湯

補中益気湯 効能効果:「体力虚弱で、元気がなく、胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒」
 
補中益気湯は気を補う代表的な漢方薬です。
 
補中益気湯には、人参・黄耆・白朮・茯苓などの気を補う生薬がたくさん入っています。
 
虚弱体質、疲労倦怠感のある方には補中益気湯が適しています。
 

脾腎陽虚

脾(消化吸収をつかさどる臓)と腎(生命エネルギー、精をやどす臓)が冷えることで生理血が薄くなりやすくなります。

 

陽虚というのは、陽気の不足のことです。

 

陽気とは体を温める気のことです。

 

つまり陽虚になると、身体が冷えるようになります。

 

消化吸収が弱いため軟便になりやすく、陽気が不足し、冷えやすいため、冷えの症状が多くみられます。

 

陽虚という陽気不足の状態であるため、生理血も色が暗く、薄い色になります。

・暗淡でうすい生理血
・生理血に血の塊がある
・生理周期の延長
・手足の冷え
・腰、膝がだるい
・軟便

これらにあてはまるときは脾腎陽虚の恐れがあります。

 

陽虚という冷えの強い状態のため、生理血は暗い色になります。

 

陽虚で冷えが強いと、血のめぐりも悪くなり、血の塊が生じます。

 

陽虚で陽気の不足から手足が冷え、腰・膝がだるくなり、消化吸収も弱くなり、軟便傾向になります。

 

消化吸収を高める生薬と、脾腎を温める漢方薬をつかいます。

 

脾と腎を補う生理不順につかう漢方薬に温経湯があります。

 

温経湯

温経湯 効能効果:「体力中等度以下で,手足がほてり,唇がかわくものの次の諸症:月経不順,月経困難,こしけ(おりもの),更年期障害,不眠,神経症,湿疹・皮膚炎,足腰の冷え,しもやけ,手あれ(手の湿疹・皮膚炎)」

 

温経湯の”経”という字は月経の”経”と同じ字ですね。

 

温経湯(うんけいとう)は経を温める漢方薬です。

 

温経湯には人参の気を補う生薬、当帰・芍薬・川芎の血を養う生薬、桂枝・呉茱萸の温める生薬、阿膠の腎を補う生薬が入っています。

 

気・血・腎を補うことで生理不順に効果を発揮するのが温経湯です。

 

 

痰湿

痰湿(たんしつ)というのは、ヌメリのことです。

 

漢方において痰湿というのは、水が停滞し、粘性をもったものを表現します。

 

よく痰湿をヌメリといっています。ヌメリも水が停滞し、粘性をもったものです。

 

痰というと、喉に絡むものの印象がありますが、漢方では痰が全身に溜まるという考え方です。

漢方では、痰は喉だけでなく、身体のどこにでも溜まるという考え

胃に痰が溜まると下痢に、頭に痰が溜まるとめまい・ふらつきに、関節に溜まると関節痛になります。

 

原因としては、食事の不摂生や仕事の疲れなどで脾(消化吸収)が損傷すると、体に痰湿をため込みやすくなります。

 

痰湿というヌメリがなぜ悪いのかというと、ヌメリが気血の流れを邪魔するからです。

 

ヌメリがあることで、気血が本来流れるべきところへ行けず、様々な不調を来します。

 

ヌメリの影響を受け、生理血も薄く、ねばねばしたものになります。

・薄く、粘稠な生理血
・生理周期の延長
・粘稠な帯下
・つば、よだれが多い
・身体がおもだるい

これらにあてはまるときは痰湿がたまっている恐れがあります。

 

痰湿というヌメリがあるため、生理血は粘稠で粘り気のあるものになります。

 

痰湿をさばき、身体から追い出す漢方薬をつかいます。

 

 

 

生理血が薄いから4つの体質が考えられます。

実際にはこれらの要因が複数絡み合っていることも多いです。

漢方では体質を見極め、それぞれに合った漢方薬をつかう必要があります。

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