歯ぎしりを改善するための漢方薬の選び方とその使い方

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西山光です

歯ぎしりが気になることはありませんか?

歯ぎしりはなかなか自覚することが難しく、人から指摘され、はじめて気が付くことが多いと思います。

歯ぎしりはブラキシズムともいいます。

歯ぎしりの原因ははっきりわかっていませんが、浅い睡眠時に筋肉に力が入っているといわれています。

漢方の目線で歯ぎしりについて考えたいと思います。

目次

肝と筋肉の関係

肝は漢方において、気血のめぐりをコントロールしている臓腑です。

肝がきちんと働くことで、気血が身体の末端まで届き、筋肉を細かく動かすことができます。

反対に肝の働きが悪いと、気血が身体の末端まで届かず、筋肉を細かく動かすことができなくなります。

こむら返りにつかう漢方薬に芍薬甘草湯があります。

こむら返りは筋肉のコントロールができず、筋肉が引きつり、痛みを生じます。

そういった筋肉の引きつりに芍薬甘草湯はつかいます。

芍薬甘草湯の芍薬は平肝の生薬で、肝を鎮めることで過度な筋肉の収縮を抑え、こむら返りに効果を発揮します。

こむら返りと芍薬甘草湯をみても、肝と筋肉の関係がわかります。

まぶたの筋肉がピクピクと痙攣した経験はありませんか?

ピクピクと筋肉が痙攣することは、肝の気のめぐりが悪く、筋肉の細かい動きをコントロールができていない状態です。

そういったピクピクするときも肝を鎮める漢方薬をつかうことがあります。

歯ぎしりを考えてみましょう。

歯ぎしりは睡眠が浅いときに、筋肉の動きをコントロールできず、無意識に筋肉に力が入っている状態です。

筋肉の細かい動きをコントロールできていないため、歯ぎしりが生じています。

こむら返り、ピクピクする痙攣と同じような現象が起こっていると考えられます。

歯ぎしりを抑えるため、筋肉の動きをコントロールしてあげるには、肝の働きを整える必要があります。

歯ぎしりにつかう漢方薬は?

歯ぎしりの適応のある漢方薬に抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、抑肝散加芍薬黄連があります。

抑肝散

抑肝散は「肝」を「抑」える漢方薬です。

まさに肝を整える漢方薬です。

肝が高ぶることで、イライラ、不眠にもつながるため、抑肝散は精神的な症状にもつかわれます。

抑肝散には釣藤鈎(ちょうとうこう)・柴胡(さいこ)の気のめぐりを改善する生薬が入り、高ぶった気を鎮めてくれます。

抑肝散は肝を鎮めることで、歯ぎしりを緩和する漢方薬です。

抑肝散加陳皮半夏

抑肝散加陳皮半夏は抑肝散に陳皮・半夏が加わったものです。

抑肝散加陳皮半夏=抑肝散+陳皮・半夏

陳皮・半夏は簡単にいえば、胃薬のようなものです。

消化吸収が悪いことで溜まる水分を陳皮・半夏が追い出してくれます。

胃腸が少し弱い方は、抑肝散よりも抑肝散加陳皮半夏の方が適しています。

抑肝散加芍薬黄連

抑肝散加芍薬黄連は抑肝散に芍薬・黄連が加わったものです。

抑肝散加芍薬黄連=抑肝散+芍薬・黄連

芍薬・黄連が加わることで、相乗効果で神経の高ぶりを抑えてくれます。

抑肝散にもイライラを抑える働きはありますが、さらにイライラ感が強く、歯ぎしりのある場合は抑肝散加芍薬黄連が適しています。

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