灯心堂漢方薬局

せきにつかう漢方薬7選~水飲・痰・乾き・胸痛・呼吸がしづらい~

せきとは?

 

“咳(せき)は外からの異物に対する防御反応。肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきたほこり、煙、風邪のウイルスなどの異物を気道から取り除こうとする生体防御反応が咳(咳嗽=がいそう)です。異物が入り込むと、まず咽頭や気管、気管支など気道の粘膜表面にあるセンサー(咳受容体)が感じ取ります。その刺激が脳にある咳中枢に伝わると、横隔膜や肋間膜などの呼吸筋(呼吸をおこなう筋肉)に指令が送られ、咳(せき)が起こります。この反射運動を「咳反射」といいます。”

くすりと健康の情報局(第一三共ヘルスケア)

 

せきはカゼのときなど身体に入った異物を追い出すのに必要なことです。

 

異物が入っていないのに、せきが起こるときは何か別の要因があるかもしれません。

 

長びくせき、慢性的なせきとは?

 

“3週間未満で治まる急性咳嗽の原因は、ほとんどが風邪などの呼吸器感染症です。遷延性咳嗽、慢性咳嗽と咳(せき)が長期間にわたるほど、感染が原因ではない場合が多くなります。咳(せき)の症状が長く続くときには、喘息などアレルギー性の咳(せき)、副鼻腔気管支症候群、肺がんや結核などが疑われます。

くすりと健康の情報局(第一三共ヘルスケア)”

結核などの菌が原因の疾患は西洋医学が得意とするところです。特に結核は抗生剤を服用すれば治る病気です。

 

慢性的なせきでお悩みの方は一度病院に受診することをおすすめします。

 

 

漢方でのせきの考え方

 

漢方では大きく2つの要因にわけて考えます。

 

・水や痰が気の流れを邪魔することで起こるせき
・乾燥していることで、気がめぐらず、起こるせき

 

の2種類です。

 

 

水・痰によって邪魔されているのであれば、それを取り除く必要があります。

 

乾燥していることが原因であれば、潤す必要があります。

 

漢方ではせきといっても原因や状態によって使い分ける必要があります。

 

 

せきに使う漢方薬

せきに使う漢方薬には、麻杏甘石湯、五虎湯、清肺湯、滋陰降火湯、麦門冬湯、柴陥湯、蘇子降気湯があります。

 

 

 

水飲によるせき

水が気の流れを邪魔することで起こるせき。

 

水によってせきが起こるのはあまり実感しないかもしれませんが、水とせきは関係があります。

 

気管支ぜんそくなどで気管支に炎症があるとき、サイトカインによって気道粘膜がむくみ、気道がせまくなっています。

 

粘膜がむくむことで、気道が狭くなり、せきや息苦しさにつながります。

 

水飲によって生じるせきには麻杏甘石湯、五虎湯などがつかわれます。

 

麻杏甘石湯に含まれる麻黄・石膏の組み合わせで内側の水を引き抜く性質があります。

 

水を抜き、むくみをとることでせきやぜんそくに麻杏甘石湯五虎湯をつかいます。

 

 

痰によるせき

痰によって気の流れが邪魔され、せきとなります。

 

痰の多く、慢性のせきがあるときは清肺湯をつかいます。

 

痰はさらっとした痰ではなく、やや粘り気のある痰です。

 

清肺湯には、桑白皮(そうはくひ)・貝母(ばいも)の痰をとる生薬、黄芩(おうごん)・山梔子(さんしし)の熱をとる生薬が入っています。

 

粘り気のある、水分が不足した痰を取りやすくするために、天門冬(てんもんどう)・麦門冬(ばくもんどう)の潤す生薬も入っています。

 

せきが続き、たんがあって、切れにくいときには清肺湯です。

 

 

乾きによるせき

肺が渇いていることで生じるせきについてです。

 

渇いたところを潤すことで、せきを和らげます。

 

潤すことで長引くせきに使う漢方薬に麦門冬湯・滋陰降火湯があります。

 

麦門冬湯、滋陰降火湯はどちらも潤すせきの漢方薬ですが、潤す強さが異なります。

 

麦門冬湯は肺を潤し、渇いた痰をとってくれます。

 

滋陰降火湯は全身を潤し、肌の乾燥、便秘傾向の方も潤します。

 

使い分けとしては、のどの乾燥・粘り強い痰のときは麦門冬湯。肌の乾燥、便秘傾向を伴うのどの乾きからくる咳には滋陰降火湯です。

 

・痰をとる働き:麦門冬湯>滋陰降火湯

・潤す強さ:滋陰降火湯>麦門冬湯

・潤す働き・痰をとる働き、どちらも必要なときは清肺湯

 

 

せきで胸が痛い

せきぜんそくのように、慢性的に強いせきを繰り返し、ときに胸痛もみられるときは柴陥湯をつかいます。

 

漢方において、痰はのどだけでなく、全身にあるものと考えられています。

 

痰が関節にあれば関節痛に、頭にあればめまい・ふらつきになります。

 

痰が胸にあるときで、胸痛や慢性的な強い咳を引き起します。

 

胸にある痰のため、のどにたまっている痰とは性質が異なり、痰がたくさん出るわけでもありません。

 

痰でも詰まりが強いタイプの痰になるため、柴陥湯をつかいます。

 

柴陥湯には括楼仁(かろにん)という生薬が入り、括楼仁にて胸苦しい痰をとってくれます。

 

つよい咳がつづき、ときに胸痛もあるときは柴陥湯です。

 

 

呼吸が浅いせき

呼吸が浅いことで慢性的なせきになる場合です。

 

漢方では肺が気をめぐらせて、腎は気を納める働きがあります。

 

肺の気がめぐっていないと息を出しづらく、腎の気を納める力が弱いと息が吸いづらくなります。

 

呼吸が浅く、息苦しさのあるせきに蘇子降気湯(そしこうきとう)をつかいます。

 

蘇子降気湯には桂皮(けいひ)という生薬が入っています。

 

桂皮には、腎を温める働きがあり、腎を温め、納気を助けます。

 

蘇子・半夏も入り、痰をとってくれます。

 

呼吸があさく、息苦しさのあるせきには蘇子降気湯です。

 

 

 

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