この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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・安中散はどういうときに服用したらいいの?
・合わない人っているの?
このようなお悩みに漢方薬局の薬剤師がお答えします。
この記事を読んでわかること
・安中散の効能効果
・安中散の構成生薬
・合う人、合わない人
・副作用、長期服用について
安中散は胃痛、胃もたれ、胸やけのある方の慢性胃炎や胃腸虚弱に使用されます。
体力中等度以下で、腹部は力がなくて、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、はきけ、嘔吐などを伴うものの次の諸症:神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱
安中散の効能効果(薬局製剤)
安中散の効能効果はメーカーによっても異なるので、ご購入の際はしっかりパッケージを確認してください。
安中散は胃腸を温める生薬、制酸の生薬などから構成をみれています。
安中散の効能効果を大きく分けると、鎮痛系の働き、吐き気を緩和する働き、制酸の働き、温める働きに分けられます。
・胃痛、腹痛の鎮痛
・吐き気の緩和
・制酸の働き
・胃腸を温める
安中散の効能効果に、「胃痛、腹痛があって」と記載があり、痛みがあるときに使用できます。
とくに安中散に入っている延胡索、良姜、茴香、甘草などは痛み止めの働きがあります。
安中散は止痛の働きがあり、胃痛、腹痛があるときにも適しています。
効能効果に「はきけ、嘔吐などを伴うもの」とあるように安中散は吐き気を緩和してくれます。
安中散に入っている縮砂、茴香は香りが良く、香りにて胃腸の働きを高めてくれます。
香りが胃を開き、げっぷ、胃もたれがある方にも効能効果があります。
安中散の香りの良い生薬が吐き気、嘔吐、げっぷなどを緩和してくれます。
安中散には温める生薬が入り、胃腸を温めてくれます。
安中散の良姜、茴香、桂皮は温める生薬です。
お腹を温めることで、「神経性胃炎」「慢性胃炎」「胃腸虚弱」に効能効果があります。
安中散は温める生薬が入っているため、冷えて胃痛、腹痛のある方に適しています。
安中散に入っている牡蛎(ぼれい)が胃酸を中和し、胸やけにも相性がいいです。
安中散はお腹を温め、痛みを抑え、胃酸を抑えることで慢性胃炎、胃腸虚弱に効能効果があります。
安中散には7種類の生薬が入っています。
安中散には桂皮、牡蛎、縮砂、延胡索、茴香、甘草、良姜が入っています。
安中散に入っている生薬を働き別にまとめてみました。
安中散に入っている延胡索、良姜、茴香は痛みを抑えてくれます。
↑延胡索。気をめぐらせ、止痛に働きます。胃痛、腹痛以外にも生理不順の折衝飲にも配合されています。
延胡索、良姜、茴香はどれも香りが良く、香りが気をめぐらせ、止痛に働きます。
安中散は胃痛、腹痛に効くように、止痛の働きがあります。
安中散には縮砂、茴香の香りにて吐き気を緩和します。
縮砂(しゅくしゃ)。ショウガ科の生薬。香りが良く、胃を開きます。
縮砂、茴香が香りにて胃を開くことで、胸やけ、げっぷ、胃もたれ、吐き気などの症状と相性が良いです。
安中散の牡蛎が胃酸を中和してくれます。
牡蛎(ぼれい)。漢方での牡蛎はカキの貝殻です。
牡蛎はカキの貝殻であり、カルシウムを多く含み、胃酸を中和してくれます。
胃酸過多の方に向いています。
安中散の牡蛎が胃酸を中和することで、胸やけのある人にもおすすめです。
安中散には良姜、茴香がお腹を温めてくれます。
良姜(りょうきょう)。ショウガ科で香りが良く、温めてくれます。
安中散には良姜、茴香、桂皮が温める働きがあります。温めることでお腹を温めてくれます。
安中散は香りの良い生薬が多く、胃腸の働きを助けてくれます。
安中散は温める生薬も入り、冷えて痛む方に向いています。
安中散は胃痛や胸やけがある方の慢性胃炎、胃腸虚弱に効能効果があります。
安中散は胃酸過多、空腹時に痛む、胃が冷えて痛む方に向いています。
ただ安中散は温める桂皮、良姜などの生薬が配合されています。
安中散は冷えて、胃痛のある方に適しています。
反対に熱感のある方の胃の不調には不適です。
「安中散が効かない」という経験をされた方もいらっしゃると思います。安中散が効かない理由としては、熱感がある胃の不調、胃酸が少ない不調には適していないといえます。
合う人 | 合わない人 |
---|---|
・胃酸過多 ・冷えによる胃痛 | ・胃酸が少ない ・熱感のある人 |
「安中散は逆流性食道炎に効きますか?」と質問があった場合、厳密に回答するならNOです。
添付文書に、逆流性食道炎の記載がないためです。
しかし、漢方薬は病名でなく、体質でつかいます。
逆流性食道炎の症状として、「胃痛、ときに胸やけで慢性胃炎」でお悩みであれば、安中散はおすすめできます。
「逆流性食道炎だから、この漢方薬がいい!」というものはありません。漢方薬は体質で選びます。漢方薬の効能効果と、ご自身の状態が合っていれば服用していただいて大丈夫です。
安中散は胃酸過多で、普段は胃腸の働きがしっかりしている方に向いています。反対に六君子湯は普段から胃腸の働きが弱っている方に適しています。
安中散は制酸薬や止痛、気をめぐらせる生薬から構成され、胃酸過多の胃痛、胸やけに適しています。
しかし、安中散にはいわゆる高麗人参のような補気薬は入っていません。
それに対し、六君子湯は人参、白朮、茯苓などの気を補う生薬が中心に構成されています。
六君子湯は気を補い、胃の働きを高めることで、胃の不調につかいます。
六君子湯は普段から胃腸が弱かったり、食欲不振があったりする方に向いています。
・安中散→普段は胃腸の働きがしっかりして、食欲もある方
・六君子湯→普段から胃腸が弱く、食欲不振もある方
安中散の副作用としては、皮膚(発疹・発赤、かゆみ)、偽アルドステロン・ミオパチー(けん怠感、筋肉痛)などがみられることがあります。
これらの症状があらわれた場合は、副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、医師又は薬剤師に相談をしてください。
漢方の長期服用にてよく問題になるのが、甘草です。
甘草を多くとっていると副作用が生じやすくなります。
メーカーにもよりますが、一般的に安中散に含まれる甘草の量は2.0gです。
甘草の2.0gというのは多くはありませんが、ほかの漢方薬を併用したり、人によっては副作用がでたりすることがあります。
手足の脱力感、筋肉痛、しびれがみられるようになったときは甘草による副作用の可能性があります。
そのような症状がみられた場合は直ちに服用を中止してください。
・安中散は胃酸を中和し、止痛に働き、胃痛や胸やけ、胃もたれのある方の慢性胃炎、虚弱体質に効能効果があります。
・安中散には人参などの気を補う生薬は入っていないため、普段から胃腸が弱い方は人参の入った六君子湯の方が向いています。