この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数2000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です


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「しっかり寝たはずなのに、朝から疲れている」
「午前中は頭が働かないのに、夕方になるとなぜか元気が出てくる」
「甘いものやしょっぱいものが、無性に欲しくなる」
——そんなお悩みではないですか?
検査では大きな異常が見つからないのに、こうした不調が続く状態は、近ごろ「副腎疲労」という言葉で語られることが増えました。
この記事では、副腎疲労とはどんな状態なのかを整理したうえで、漢方の目線でどう捉えるか、そしてご自身でできる養生や、よく使われる漢方薬まで、やさしくお話ししていきます。最後までご覧いただけたらと思います。



副腎は、左右の腎臓の上にちょこんと乗った、数センチほどの小さな臓器です。
小さいのに、生命維持に欠かせないホルモンを出していて、なかでも有名なのが、ストレスに対抗するホルモン「コルチゾール」です。
コルチゾールには、本来「朝にいちばん多く出て私たちを目覚めさせ、夜にかけて減っていく」というリズムがあります。
ところが、仕事・家事・育児・人間関係などで強いストレスが切れ目なく続くと、副腎はコルチゾールを出しっぱなしにすることになります。
その状態が長く続くと、分泌が追いつかなくなってリズムが乱れ、慢性的な疲れや気力の低下につながる——これが「副腎疲労」と呼ばれている状態なんです。
ひとことで言うと、慢性的なストレスで、ストレスホルモンの調子が崩れて、疲れが抜けにくくなっている状態、とイメージすると分かりやすいと思います。
まずは、ご自身の状態を振り返ってみましょう。当てはまる項目が多いほど、心身がお疲れぎみのサインかもしれません。
これは体調を振り返る目安で、診断ではありません。でも、当てはまる数が多いほど、休養と養生を意識したいタイミングだと思ってくださいね。



ここからが、漢方薬局である私たちがいちばんお伝えしたいところです。
漢方には「副腎」という言葉そのものはありません。その代わり、副腎疲労のような状態を、主に「腎(じん)」の弱りと「気(き)の不足」として捉えます。
ここでいう「腎」は、腎臓という一つの臓器のことではありません。生命力の根っこ・エネルギーの貯金箱のような、もっと広い意味です。成長・発育・老化、そして「ここぞ」というときに踏ん張る力——その大もとが「腎」にたくわえられていると考えます。
慢性的なストレスでこの貯金を使い果たした状態が、漢方でいう「腎虚(じんきょ)」で、副腎疲労と重なる部分が大きいです。
もう一つの鍵が「気」です。体を動かし、温め、守るエネルギーが「気」で、これが足りない状態を「気虚(ききょ)」と呼びます。疲れやすい、食欲がない、風邪をひきやすい、といった訴えは、まさに気虚のサインです。
つまり漢方では、副腎疲労を「使いすぎて底をついたエネルギーを、根本から補って底上げしていく」という発想でケアしていきます。表面の疲れを一時的に押さえ込むのではなく、土台を立て直す——ここが漢方らしいところです。



同じ「副腎疲労」でも、漢方では体質によって考え方も、合う漢方薬も変わってきます。代表的なタイプを挙げてみますので、ご自身がどれに近いか、イメージしながら読んでみてくださいね。
疲れやすくて、すぐ横になりたくなる。食欲がわかない、声に力が出ない。胃腸が弱く、食べたものをエネルギーに変える力が落ちているタイプです。「とにかくだるい」が中心の方は、まずここを疑います。
体の芯から冷える、とくに腰や下半身が冷たい。夜中にトイレで起きる、気力がわかない、朝が特につらい。体を温める力(陽気)が不足したタイプで、副腎疲労の方にとてもよくみられます。
強い疲れに加えて、手足や顔のほてり、寝汗、午後の微熱っぽさ、口のかわき、寝つきの悪さ。こちらは逆に、体をうるおし鎮める力(陰液)が減ったタイプ。同じ腎の弱りでも、腎陽虚とは出方が正反対なんですね。
疲れに加えて、顔色が悪い、めまいや動悸、女性なら月経の乱れ。気(エネルギー)も血(栄養)も両方とも足りなくなったタイプで、長く無理を続けた方に多くみられます。
実際には、これらが単独ではなく、いくつか混ざっていることがほとんどです。だからこそ「副腎疲労にはこの一剤」と機械的に決められるものではなく、その方の体質を見極めることが何より大切になります。
6タイプそれぞれのセルフチェックや、合う食べ物・ツボまでもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事でじっくり掘り下げています。 👉 「疲れがとれないのは“体質”のせいかも|漢方でみる疲労の6タイプ」






ここでは、副腎疲労のような状態によく用いられる漢方薬をご紹介します。どれが合うかは体質によって大きく変わります。
副腎疲労というと「まずは補中益気湯」というイメージを持たれがちです。
でも実際の漢方相談では、補中益気湯がぴったり合うケースは、むしろ限られることもよくあります。
強い疲れに加えて、ほてり・寝汗・微熱感があるなら腎陰虚、冷えが強いなら腎陽虚、というように、同じ「副腎疲労を治したい」でも、選ぶべきものは人によって正反対になり得ます。
市販やツムラの漢方を試したけど今ひとつだった、という方は、体質の見立てがずれていたのかもしれません。
ここは、専門家に相談する価値が大きいところだと思います。



漢方では、薬と同じくらい「養生(ようじょう)」=日々の過ごし方を大切にします。エネルギーの貯金を取り戻すために、おうちでできる工夫をまとめました。
「副腎疲労にコーヒーはダメ?」と、よく聞かれます。コーヒーは一時的に元気を出してくれますが、疲れた副腎にムチを打つ側面もあるので、飲みすぎには注意したいところです。やめる必要はありませんが、量を見直したり、夕方以降は控えたりするだけでも、体は楽になりますよ。
漢方では、食べ物を体を温める「陽性」と冷やす「陰性」に分けて考えます。
「腎」が弱っているときは、体を冷やしすぎないのが基本です。冷たい飲み物・生の果物のとりすぎ・白砂糖・パンなどは控えめに。
代わりに、温かい汁物、しっかりめの朝ごはん、良質なたんぱく質、根菜や黒い食材(黒豆・黒ごま)を意識してみてください。
とくに朝ごはんを抜かないことは、一日のリズムを整えるうえでとても大切です。
強く押す必要はありません。気持ちいいと感じる強さで、ゆっくり呼吸しながら。あわせて、就寝前のスマホを手放す、湯船にしっかり浸かる、といった睡眠の工夫も、リズムを取り戻す助けになります。
「副腎疲労って何科に行けばいいの?」というご質問もよくいただきます。先ほどお伝えしたとおり、副腎疲労は正式な病名ではないため、一般的な健康診断で判定するのは難しいのが実情です。
強い倦怠感が続く場合、その裏に甲状腺の不調や貧血、別の病気がかくれていることもあります。
まずは内科や心療内科などで、隠れた病気がないかを確認することが、安心への第一歩です。
そのうえで「検査では異常がないけれど、体質から立て直したい」というときに、漢方が力を発揮します。
医療機関と漢方は、対立するものではなく、組み合わせて使えうこともできます。



副腎疲労のような不調は、症状の出方も、その奥にある体質も、本当に人それぞれです。
だからこそ、ネットの情報や市販薬だけで「自分に合うもの」を探し当てるのは、なかなか難しいこともあります。
灯心堂漢方薬局では、130種類以上の生薬の中から、お一人おひとりの体質をていねいにうかがって、その方に合った漢方薬と養生をご提案しています。
「どこに相談しても変わらなかった」「自分に合う漢方が知りたい」という方も、どうぞ気軽にLINEからご相談ください。
ご来店が難しい遠方の方には、オンライン相談・全国発送も承っています。
「いきなり相談はちょっと…」という方は、【かんたん体質分析】からご自身のタイプを知ってみるのもおすすめです。


















