息苦しい、呼吸がしづらい、呼吸が浅いときの漢方薬、おすすめの食事・生活習慣・つぼ

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上

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・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

西山光です
質問

・息苦しさに合う漢方薬は?
・どう使い分けるの?

息苦しい、息が深く吸えていないという相談も多いです。病院にいっても原因がわからず、当薬局に相談に来られます。

検査しても心肺機能に問題があるわけではありません。

漢方の目線での息苦しさについて解説しています。

このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。

最後には実際の相談事例ものせています。

結論

・息苦しさと不安な気持ちがあるとき
→桂枝加竜骨牡蛎湯

・息苦しさとイライラ、不安があるとき
→柴胡加竜骨牡蛎湯

・息ぐるさと急にくる動悸
→苓桂甘棗湯

・息苦しく、せきが止まらないとき
→蘇子降気湯

 この記事を読んでわかること
・息苦しさとは
・漢方での原因
・漢方薬のつかいわけ
・おすすめの食事、生活習慣

漢方をうまく取り入れて、息苦しくないように生活を送れるようになればと思います。

目次

息苦しい原因は?

まず息苦しさの多くは肺の病気、心臓の病気などが考えられます。息苦しい時は、まずは呼吸器内科を受診してください。

しかし、病院に受診しても原因がわからないことが多くあります。

受診しても原因がわからず、「ストレスが原因ですね」、「自律神経ですね」などいわれることがあります。

漢方薬局には、そういった原因がみつからない方が来られます。

「息苦しい!だけど原因はわからない」そういうときは漢方薬を頼ってみてください。

日常的に息がしづらい気がする方は多いのでお気軽にご相談ください。

息苦しいときの漢方での原因は肝鬱と腎虚

息苦しいときの漢方ので原因は、肝鬱から肺の機能を邪魔し停る場合と、腎虚からの納気ができていない状況が考えられます。

肝鬱によって肺の機能が邪魔される

肝鬱とは、気の巡りを担当する「肝」の働きが停滞している状態です。

肝鬱になることでイライラや不安がみられやすくなります。

肝鬱が強すぎる場合、木侮金といって肺(木)が肺(金)を邪魔してしまいます。

肝鬱が強い→肺の働きを邪魔する

肝鬱からの息苦しさであれば、緊張を緩めることで対応します。

腎虚によって納気ができない

漢方では肺は呼気をつかさどり,腎は納気(吸気)をつかさどると考えられます。

「肺」は息を「吐く」方を担当し、腎が息を「吸う」ことを担当しています。

息を深く吸えていないような症状は腎虚と考えることができます。

「腎」を補うことで、息を深く吸いやすくなります。

息くるしいときにおすすめの食事

息苦しくないようにするためには肝鬱の気を巡らせることと、腎を補うことが重要になります。

気をめぐらせる

肝の気をめぐらせるものとしては、香りの良いたべものがおすすめです。良い香りは気を巡らせてくれます。

紫蘇、薄荷、セロリ、三つ葉などの香味野菜、お茶であればジャスミンティーがおすすめです。

腎を補う

腎を補うものとしてはカルシウムの多い食べ物がおすすめです。魚類、大豆がおすすめです。

息苦しさにおすすめの生活習慣

息苦しくさを防ぐために必要な生活習慣としては、息が通りやすいように気の巡りを改善することです。

ウォーキング、ジョギングの有酸素運動と、脇腹をほぐすストレッチがおすすめです。

有酸素運動と脇腹をほぐすことを同時にできるスイミングはとても理想的です。

有酸素運動

息は「肺」が担当しています。息を吸いやすくするためにはまず、息をしっかり出すことが重要です。

ウォーキングなどの有酸素運動をすることは「肺」を使うことになり、「気」のめぐりが改善し、結果的に息を吸いやすくなります。

脇腹をほぐす

脇腹をほぐすことも大変重要です。脇腹には少陽胆経の経絡が通っており、気のめぐりを担当しています。

気の巡りが悪くなることで、脇腹が固くなり、肺が広がりにくくなり息を吸いづらくなります。

反対に脇腹をほぐすことで、肺が広がりやすくなり、息を吸いやすくなります。

ストレッチやローラーなどで脇腹の筋膜を緩めることがおすすめです。

youtubeで見つけたGENRYUチャンネル様の脇腹をほぐすストレッチを紹介いたします。

息苦しいときにつかう漢方薬は?

「息苦しさ」という効能効果が記載された漢方薬はなく、気持ち・精神を落ち着けることで結果的に息苦しさが解消するような対応が必要になります。神経質、ちょっとしたことが心配になる神経過敏な方は桂枝加竜骨牡蛎湯、イライラと不安もある方は柴胡加竜骨牡蛎湯、息苦しさ・動悸があるときはは苓桂甘棗湯、息苦しく、せきが止まらないときは蘇子降気湯がおすすめです。

息苦しさと不安な気持ちがあるときは桂枝加竜骨牡蛎湯

桂枝加竜骨牡蛎湯の効能効果は「体力中等度以下で、疲れやすく、神経過敏で、興奮しやすいものの次の諸症:神経質、不眠症、小児夜泣き、夜尿症、眼精疲労、神経症」です。

桂枝加竜骨牡蛎湯で重要な生薬は竜骨・牡蛎です。

桂枝加竜骨牡蛎湯の竜骨・牡蛎が腎に働き、気持ちを鎮め、息を吸いやすいように納気を高めます。

桂枝加竜骨牡蛎湯にて気持ちを鎮め、腎を引き締め、結果的に呼吸がしやすくなります。

息苦しさとイライラ、不安があるときは柴胡加竜骨牡蛎湯

柴胡加竜骨牡蛎湯の効能効果は「体力中等度以上で、精神不安があって、動悸、不眠、便秘などを伴う次の諸症:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年神経症、小児夜泣き、便秘」です。

柴胡加竜骨牡蛎湯にも腎の働きを助ける竜骨・牡蛎が入っています。

柴胡加竜骨牡蛎湯の竜骨・牡蛎が不安な気持ちを鎮め、息も深く吸えるようにします。

柴胡加竜骨牡蛎湯には柴胡というイライラの気を巡らせる働きもあります。

息苦しさにイライラ、不安、便秘もあるときは柴胡加竜骨牡蛎湯が適しています。

息ぐるさと急にくる動悸には苓桂甘棗湯

苓桂甘棗湯の効能効果は「体力中等度以下で、のぼせや動悸があり神経がたかぶるものの次の諸症:動悸、精神不安」です。

苓桂甘棗湯には甘草・大棗という甘味の生薬が多く入っています。甘味によって肝鬱を緩める働きがあります。

息ぐるしさに、急にくる動悸・不安があるときは苓桂甘棗湯が適してます。

息苦しく、せきが止まらないときは蘇子降気湯

蘇子降気湯の効能効果は「体力虚弱で、足冷えや顔ののぼせがあり、息苦しさのあるものの次の諸症:慢性気管支炎、気管支ぜんそく」です。

蘇子降気湯には桂皮が入り、腎の働きを助け、納気を助け、息を吸いやすくします。

蘇子降気湯の紫蘇子・半夏・厚朴・前胡が咳を抑えます。

日常的に息ぐるしく、せきが止まらないとき、喘息のときは蘇子降気湯が適しています。

息苦しさにおすすめのツボ

息苦しさにおすすめのツボ(経穴)は少商、中府です。わかりやすいようにyoutubeから参考になる動画を載せています。

少商

少商(しょうしょう)は太陰肺経のツボで呼吸をしやすくします。

中府

中府(ちゅうふ)は太陰肺経の墓穴で呼吸を楽にしてくれます。

息苦しさの漢方相談1

30代女性。主訴は息苦しさ、耳閉感、めまい、頭痛、動悸、吐き気、不安感、倦怠感。お子さん、お二人を出産出産して、1年経つころくらいから、息苦しさなど様々な不調がでてきた。昨年の春頃から出始め、強く症状が出る日もあれば、症状が軽い日もある。 この1年で、少しずつひどくなっているように感じる。 症状の数や種類が少しずつ増えきている。気圧、月経周期、ストレスが関係しているように感じることがあるが、必ずそうという訳ではない。息が吸えない気がする。それでパニックになった。両親がきて落ち着く。一人が不安になる。肺の病気はとくにみつからなかった。不安もあるが、イライラもすることも多い。去年の夏にとくに苦しかった。救急車を呼んだこともある。軽い頭痛は月の半分。ガンガン痛いのは月に1回くらい。絞められた感じ。吐き気、お腹が緩くなる時がある。耳閉感があるが、聴力には問題がない。心療内科でデパスをもらっていた。

息苦しさ以外にも様々な不調でお悩みの方でした。

息苦しさからも気が下に沈み切れていない印象。

下に沈むべき気が降りきらず、逃げ道を求めて、逆流して上に向かい、頭痛、浅い呼吸、パニック、吐き気、動悸につながっていると考えられました。

まずは気の高ぶりに対応する漢方薬を2週間、服用していただきました。

2週間後、「頭痛、イライラは少なくなったのが実感できました。だけど、息苦しさ、けん怠感がかわらず、ひどくなってきている。」→漢方薬を変え、気をめぐらせ、ヌメリをとる漢方薬に変更いたしました。

2週間後、「けん怠感よりも最近は耳の詰まりが気になってきました。」→次に、気を深く鎮め、水をめぐらせる漢方薬に変更しました。

2週間後、「耳の調子はよくなってきた。少しだけ息苦しさは残っているが、息苦しさもかなり改善しました」といっていただけました。

再度同じ漢方薬を服用していただき、息苦しさの症状は改善されました。

お体に合った漢方薬を選び、症状改善までは2か月ほどかかりました。

息苦しさの漢方相談2

60代女性。鼻が詰まったような感じの息苦しさと息切れが続いている。 そのために夜眠れない。8/23に膀胱炎にかかり、夕方内科を受診して処方された抗生剤を服用した夜から息苦しさがあらわれた。その後、体調不良で食欲もなく眠れない夜が続き、8/24~9/3まで仕事を休みました。眠りが浅く食欲がないことは変わらないが、何とか仕事には行けていたが、9/12に又膀胱炎になってのち一時ましになっていた息苦しさと不眠がぶり返した。初めのうちは、呼吸困難の発作のように息苦しい時とましな時間とがあったが、9/13ぐらいから息切れのような苦しさに代わり本日9/16まで苦しい状態が続いている。短期間に色々医療機関を受診してしまいましたが、どこでも明確な診断は出されていません。 しいて言うならば、自律神経かな、といわれました。 

しっかり病院に受診されていますが、息苦しさの原因はわからず、自律神経が原因といわれたのことでした。

舌をみさせていただいたところ、かなり舌も震えていました。

気のめぐりの悪さに対する漢方薬と気を鎮める漢方薬をご提案いたしました。

2週間後、「息苦しさは減りました。夜の寝苦しさもよくなりました。まだ膀胱炎がすっきりしない感じがあります」

といっていただけました。気のめぐりが改善し、息が下まで降りるようになり、息苦しさも改善されたと考えられます。

息苦しさの代表的な漢方薬をまとめてみました。ただ実際には体質は人によって細かく異なります。息苦しさでお悩みであれば、まずはLINEにてご相談くださいませ。

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