この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数2000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です


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子宮頸部異形成と診断されて経過観察中の方から、「食事で気をつけることはありますか?」「食べたほうがいいもの、避けたほうがいいものはありますか?」というご質問をとても多くいただきます。
西洋医学では、子宮頸部異形成に対して食事指導が行われることはほとんどありません。「特に食事制限はありません」と言われ、逆にどうしたらいいのかわからない、という方が多いのではないでしょうか。
しかし、東洋医学(漢方・薬膳)の考え方では、食事は体質改善の土台であり、何を食べるかは体の状態に大きく影響すると考えます。
子宮頸部異形成が自然に正常化するかどうかは「免疫力」にかかっています。そして免疫力の土台をつくるのが、毎日の食事です。
この記事では、漢方・薬膳の専門家の立場から、子宮頸部異形成の方におすすめの食材、控えたほうがよい食べ物、体質別の食事のポイント、そして日常に取り入れやすい薬膳茶のレシピまでを詳しくご紹介します。



東洋医学では、子宮頸部異形成の背景に「瘀血(おけつ)」と「痰湿(たんしつ)」という2つの体質的な問題があると考えます。
瘀血とは、血のめぐりが悪くなり、ドロドロした古い血が子宮頸部に滞っている状態。
痰湿とは、体内に余分なヌメリ・汚れが溜まっている状態。
この瘀血と痰湿が子宮頸部に蓄積することで、細胞の正常な新陳代謝が妨げられ、異形成が起きやすくなると考えます。
食事が大切な理由は、毎日の食べ物が瘀血と痰湿を「溜める」方向にも「減らす」方向にも働くからです。知らず知らずのうちに瘀血や痰湿を増やす食事をしていると、いくら漢方薬を飲んでも効果が出にくくなります。逆に、体質に合った食事を心がければ、漢方薬の効果もより発揮されやすくなります。



難しく考える必要はありません。当店が子宮頸部異形成のご相談の際にまずおすすめしているのは、「昔ながらの和食」を中心とした食生活です。
ご飯、味噌汁、焼き魚、煮物、漬物──このようなシンプルな和食は、脂っこくなく味も濃すぎず、痰湿を溜めにくい食事です。また、発酵食品(味噌、ぬか漬け、納豆など)は腸内環境を整え、免疫力のサポートにもつながります。
逆に、現代的な食生活(脂っこいもの、甘いもの、味の濃いもの、加工食品、冷たい飲食物が多い食事)は、痰湿や瘀血を溜めやすく、異形成の改善を妨げる方向に働きます。



体質に関わらず、異形成の方に共通しておすすめできる食材をご紹介します。
黒酢 :日本では白い酢が一般的ですが、中国では料理に黒酢をよく使います。黒酢には血のめぐりを助ける働きがあるとされ、薬膳でも活血(かっけつ)の食材として重宝されています。ドレッシングや炒め物に取り入れてみてください。
たまねぎ:血液をサラサラにする食材の代表格です。加熱しても生でも効果があります。毎日の味噌汁やサラダに気軽に取り入れられます。
青魚(さば・いわし・あじ) :DHAやEPAが豊富で、血のめぐりを改善します。焼き魚や煮魚として和食に取り入れやすい食材です。
なす :東洋医学では血のめぐりを助け、体の熱を冷ます働きがあるとされます。
その他おすすめ: らっきょう、にんにく、ネギ、みょうが、バジル、パセリ、菜の花、よもぎ、あずき
ハトムギ :漢方薬にも使われる薬膳食材の代表格です。余分な水分やヌメリを排出する働きがあり、ハトムギ茶として毎日飲むこともできます。子宮頸部異形成の方にとって特に相性のよい食材です。
海藻類(昆布・わかめ・ひじき) :ミネラルが豊富で、体の余分な水分やヌメリを排出する働きがあります。味噌汁の具材やサラダに加えるだけで手軽に摂れます。
大根 :消化を助け、痰湿を排出する働きがあります。煮物、みそ汁、大根おろしなど、和食との相性が抜群です。
白菜 :体の余分な熱と水分を穏やかに排出します。鍋料理や浅漬けなどで日常的に摂りやすい食材です。
その他おすすめ: カブ、ごぼう、冬瓜、グリーンピース、枝豆、大豆、豆腐
きのこ類(しいたけ・まいたけ・えのき・しめじ) :β-グルカンが免疫細胞を活性化する働きがあるとされています。味噌汁や炒め物、鍋料理に。
発酵食品(味噌・納豆・ぬか漬け・甘酒): 腸内環境を整え、免疫力の土台をつくります。腸は免疫細胞の約70%が集まる場所であり、腸の健康は免疫力に直結します。
緑黄色野菜(にんじん・かぼちゃ・ほうれん草・ブロッコリー): ビタミンA・C・Eが豊富で、粘膜のバリア機能や抗酸化力をサポートします。
葉酸を含む食材(ほうれん草・ブロッコリー・枝豆・アスパラガス) :葉酸の摂取が子宮頸部異形成の進行予防に関連する可能性を示す研究報告があります。野菜やフルーツからビタミン類をしっかり摂ることは望ましいと考えられます。



以下の食べ物は、瘀血や痰湿を溜めやすくするため、経過観察中はできるだけ控えることをおすすめします。
冷たいものは体を冷やし、血のめぐりを悪くします。東洋医学では「冷え」は瘀血の大きな原因のひとつです。
飲み物は常温〜温かいものを基本にしてください。夏場でも冷たい飲み物をがぶがぶ飲むことは避けたいところです。
脂っこいものや味の濃いものは、痰湿を溜める最大の原因です。
たまに食べる分には問題ありませんが、日常的に多い方は頻度を減らすことを意識してみてください。
甘いものは体にヌメリ(痰湿)を溜めやすくします。
甘いものが食べたいときは、あずき、さつまいも、かぼちゃ、フルーツなど、自然な甘みのあるものを選ぶとよいでしょう。あずきは瘀血対策にも痰湿対策にもなるおすすめの食材です。
お酒は体に湿(ヌメリ)と熱を溜めやすく、痰湿を悪化させます。また、飲酒後は味の濃い食べ物が食べたくなりやすく、連鎖的に痰湿を溜め込む原因になります。
完全にやめる必要はありませんが、量と頻度は控えめにすることをおすすめします。
適度な辛味は血行を促進しますが、激辛料理は体に余分な熱を生み、湿熱(ヌメリ+熱)の原因になることがあります。唐辛子を大量に使った料理は控えめにしましょう。



同じ子宮頸部異形成でも、体質によって「特に意識すべき食材」と「特に控えるべき食べ物」が異なります。ここでは5つの体質タイプ別にポイントをまとめます。
こんな方: 生理痛が強い、生理血がドロドロ・レバー状の塊が出る、唇の色が暗い
特に積極的に摂りたい食材: 黒酢、たまねぎ、なす、青魚、にんにく、らっきょう、ネギ、みょうが、よもぎ、あずき、菜の花
薬膳食材: 紅花(べにばな)、田七人参、三稜(さんりょう)、絲瓜絡
特に気をつけたいこと: 冷たいもの全般を避ける。冷えは瘀血の大敵です。冬はもちろん、夏場のエアコンの冷えにも注意してください。
こんな方: むくみやすい、白いおりものが多い、舌の苔が白く厚い、甘いもの好き
特に積極的に摂りたい食材: ハトムギ、大根、白菜、冬瓜、海藻類(昆布・わかめ・ひじき)、カブ、ごぼう、枝豆、豆腐
薬膳食材: ハトムギ、陳皮(ちんぴ)、トウモロコシのヒゲ、綿茵蔯(めんいんちん)
特に気をつけたいこと: 脂っこいもの・甘いもの・味の濃いものが最大の敵です。乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルト)も痰湿を溜めやすいので、摂りすぎには注意してください。
こんな方: おりものが黄色く臭いがある、舌の苔が黄色く厚い、暑がり、体がだるい
特に積極的に摂りたい食材: きゅうり、冬瓜、緑豆(りょくず)、もやし、セロリ、苦瓜(ゴーヤ)、トマト、すいか
薬膳食材: 金銀花(きんぎんか)、どくだみ茶
特に気をつけたいこと: お酒と辛いものを控えることが最優先。揚げ物やこってりした料理も湿熱を悪化させます。体に熱がこもりやすいので、温めすぎるのも逆効果のことがあります。
こんな方: イライラしやすい、ため息が多い、生理前に胸が張る、PMSがつらい
特に積極的に摂りたい食材: 柑橘類(みかん・ゆず・レモン・グレープフルーツ)、しそ、セロリ、春菊、三つ葉、みょうが
薬膳食材: ジャスミン花、菊花、バラの花(玫瑰花)、陳皮
特に気をつけたいこと: 食事を「楽しむ」こと自体が大切です。ストレスで早食いになったり、食事を抜いたりする方が多いですが、ゆっくり座って味わって食べること自体が気のめぐりを助けます。香りのよい食材は気の停滞を解消する働きがあるため、ハーブや薬味を活用してください。
こんな方: 手足がほてる、寝汗をかく、口や喉が渇きやすい、舌が赤く苔が少ない
特に積極的に摂りたい食材: 山芋、黒ごま、黒豆、クコの実、黒きくらげ、梨、れんこん、松の実、はちみつ
薬膳食材: 百合根、枸杞子(クコの実)、さんしゅゆ
特に気をつけたいこと: 辛いもの・刺激物は潤いを消耗させるため控えめに。汗をかきすぎる激しい運動もかえって潤いを減らします。また、夜更かしは陰を消耗する最大の原因です。早寝が最良の食養生と言えます。
毎日の食事を急に変えるのは大変ですが、お茶なら手軽に始められます。体質別におすすめの薬膳茶をご紹介します。
紅花を少量(ひとつまみ程度)湯呑に入れ、熱湯を注いで3分ほど蒸らします。血のめぐりを助ける代表的な薬膳茶です。ほのかに色づくきれいな赤いお茶で、見た目にも楽しめます。
※妊娠中・妊活中の方は、紅花は控えてください。
市販のハトムギ茶で十分です。余分な水分やヌメリの排出を助けます。普段のお茶をハトムギ茶に替えるだけで手軽に取り入れられます。麦茶に似た味わいで飲みやすく、毎日続けやすいお茶です。
体の余分な熱と湿を取り除く働きがあります。やや独特な風味がありますが、ブレンド茶として市販されているものは飲みやすく調整されています。
ジャスミンの香りには気のめぐりを整える働きがあります。ストレスを感じたとき、リラックスしたいときに最適です。スーパーやコンビニでも手に入りやすいので、最も始めやすい薬膳茶です。
クコの実5〜6粒と菊花を少量、湯呑に入れて熱湯を注ぎます。潤いを補いながら、目の疲れやほてりも和らげるお茶です。クコの実はそのまま食べてもかまいません。
「具体的にどんな食事をすればいいか」のイメージをつかんでいただくために、瘀血・痰湿の両方に配慮した1日の献立例をご紹介します。
味噌汁は具だくさんにすると、それだけで海藻・大豆・たまねぎが摂れます。朝食を抜く方が多いですが、温かい味噌汁を一杯飲むだけでも体が温まり、一日のめぐりがよくなります。
青魚+大根おろしは、瘀血対策と痰湿対策を同時にカバーする理想的な組み合わせです。外食の場合は、定食屋で焼き魚定食を選ぶイメージです。
煮物は和食の基本であり、痰湿を溜めにくい調理法です。揚げ物より煮物・焼き物を中心にすると、自然と痰湿対策になります。
あずきは利水(余分な水分を排出する)作用と活血(血をめぐらせる)作用を併せ持つ、子宮頸部異形成の方にとって理想的なおやつ食材です。
「免疫力を上げるサプリメントは効果がありますか?」というご質問もよくいただきます。
サプリメントを全く否定するわけではありませんが、漢方の考え方では、まずは毎日の食事を整えることが最優先です。サプリメントだけに頼って食生活が乱れたままでは、根本的な体質改善にはつながりません。
食事の土台ができたうえで、必要に応じて漢方薬で体質に合わせた調整を行うのが、最も効果的なアプローチだと考えています。
「何をどう食べればいいかわからない」という方は、漢方相談の際に体質を確認させていただいたうえで、食事のアドバイスもあわせてお伝えしています。
特定の食べ物を食べれば異形成が治る、ということはありません。しかし、体質に合った食事を続けることで、免疫力の土台をつくり、体が本来持っている自然治癒力を発揮しやすい環境を整えることは可能です。東洋医学では「薬食同源」(薬と食べ物の源は同じ)という考え方があり、日々の食事を整えることを体質改善の基本としています。
葉酸の摂取が子宮頸部異形成の進行予防に関連する可能性を示す報告はあります。ただし、サプリメントよりも、まずは緑黄色野菜やフルーツから食事として摂ることをおすすめします。食事の土台が整ったうえで、必要であればサプリメントを補助的に活用するのがよいでしょう。
腸内環境を整えるという点ではヨーグルトは有用ですが、東洋医学では乳製品は痰湿(ヌメリ)を溜めやすい食材とされています。特にむくみやすい方、おりものが多い方(痰湿タイプ)は、摂りすぎに注意してください。代わりに味噌・納豆・ぬか漬けなど、和食系の発酵食品で腸内環境を整えるのがおすすめです。
適量(1日1〜2杯程度)であれば大きな問題はありません。ただし、冷たいアイスコーヒーは体を冷やすため、ホットで飲むほうがよいでしょう。ストレスが強い肝鬱タイプの方は、カフェインの摂りすぎがイライラを悪化させることもあるため、ジャスミン茶やハーブティーに置き換えてみるのもおすすめです。
完全にやめる必要はありませんが、量と頻度を控えることをおすすめします。特に痰湿タイプ・湿熱タイプの方は、お酒が体質の改善を妨げやすいため、意識的に減らしていただくとよいでしょう。飲む場合は、冷たいビールよりも常温のワインやお湯割りのほうが体への負担が少ないです。
子宮頸部異形成の経過観察中、「何かできることはないか」と考えたとき、食事の見直しは最も身近で、今日から始められる体質改善の第一歩です。
完璧にする必要はありません。まずは「冷たい飲み物を常温に変える」「味噌汁の具材を増やす」「おやつをあずき系に替えてみる」など、できることをひとつずつ取り入れてみてください。
当店では、漢方相談の際に体質を確認したうえで、お一人おひとりに合った食事や養生のアドバイスもあわせてお伝えしています。「自分がどの体質タイプかわからない」という方も、お気軽にご相談ください。
子宮頸部異形成の漢方について詳しくはこちら: → 子宮頸部異形成を改善するときの漢方薬の考え方と体質、食事について
ストレスと異形成の関係について詳しくはこちら: → 子宮頸部異形成の原因にストレスは関係ある?
子宮頸がんになりやすい体質について詳しくはこちら: → 子宮頸がんになりやすい人の特徴とは?
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