疲れやすいを改善するための漢方薬の選び方とその使い方

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西山光です

最近、つかれやすくなったと感じたことはありませんか?

疲れやすいのは日常的にも実感しやすい症状です。

相談の主訴は別のお悩みですが、お話をうかがっていると相談に来られる方の9割以上の方は疲れやすいとおっしゃられます。

つかれやすい原因について考えたいと思います。

目次

疲れやすい人が多い理由

なぜそんなに疲れやすい方が多いのかは理由があります。

理由としては2つ。気虚と気滞です。

1つは単純に気が不足しているため。

気は「元気」の「気」です。

気が不足すると、元気がなく、疲れやすくなります。

疲れやすいというと、気が足りていないのが一般的なイメージだと思います。

気が足りていないときは、気を補ってあげる必要があります。

もう1つの理由は気のめぐりが悪いため。

気の量が十分にあっても、めぐりが悪く、身体の隅々にまで行き届かなければ、疲れやすくなります。

気がちゃんと足りていても、気の動きが悪いと疲れやすくなります。

気の量に問題がないのに、疲れやすいのは違和感があると思いますが、漢方ではめぐりの考え方がとても重要です。

気のめぐりはデリケートで、ストレスや心配ごとで気は鬱滞しやすくなります。

疲れやすいというのが主訴で来られる方は少ないのですが、慢性頭痛、精神症状、PMS、動悸などのあらゆる不調には、気のめぐりが関わっています。

何かしらの身体の不調があるときは、気のめぐりも悪くなっており、同時に疲れやすくなってしまいます。

気のめぐりが疲れの原因のときは、気のめぐりを改善するだけで、疲れにくくなります。

気を補わなくても、気の動きを整えるだけで疲れは緩和されます。

疲れやすいということで、ご自身で高麗人参のサプリメントなどを購入されている方がいますが、残念ながらこのタイプの疲れやすい方には人参は効果を発揮しません。

つかれやすい体質
・気虚
・気滞

つかれやすいときの漢方薬は?

疲労倦怠感や、疲れやすいについて記載のある漢方薬に、補中益気湯、十全大補湯、六味地黄丸、八味地黄丸、逍遙散、参苓白朮散、六君子湯、当帰芍薬散、七物降下湯、酸棗仁湯、帰脾湯、桂枝加竜骨牡蛎湯などがあります。

疲れやすい体質を大きく2つにわけ、説明します。

・気虚体質(食欲低下、軟便)
・気滞体質(抑うつ、いらいら)

2つの体質からつかれやすさについて説明します。

気虚

気虚というのは字のとおり、気が不足しているためつかれやすくなります。

気が充足していないとつかれを感じるのは想像しやすいと思います。

・けん怠感
・息切れ
・軟便
・胸、おなかがつかえる
・食欲低下
・不眠
・爪、口唇が淡い
・動悸

これらにあてはまるときは気虚の体質の可能性があります。

不眠、動悸、爪・口唇が淡いのであれば血も不足した気血両虚の体質の可能性があります。

不足している気血を養う、人参などの入った漢方薬をつかう必要があります。

人参の入った補気薬は多くの処方があります。

元気がない→補中益気湯
血も不足→十全大補湯
胃腸の不調→六君子湯
下痢しやすい→参苓白朮散
不眠→帰脾湯
不安になりやすい→桂枝加竜骨牡蛎湯
加齢による疲れ、頻尿→八味地黄丸

気滞

気滞というのは気の停滞という意味です。

気の停滞によって、気が全身にめぐらず、つかれやすくなります。

気の滞りがあるのに、気が不足していると勘違いして補気の薬をつかっても効果はありません。

・憂うつ
・いらいら
・ストレスがある
・肩がこりやすい

これらにあてはまるときは気滞の体質の可能性があります。

こちらは気の動きが悪いので、気のめぐりをよくする漢方薬をつかう必要があります。

疲れやすく、虚弱体質や、生理不順・更年期などあれば、逍遙散が適しています。

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