多汗症を改善するための漢方薬の選び方とその使い方

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上

店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

西山光です
目次

多汗

動いたり、そこまで暑いわけでもないのに自然に汗がでる、汗っかきであることはないですか?

漢方ではそのような状態のことを自汗といいます。

運動したり、暑くて汗をかくのは自然のことです。

そんな状態でもないのに汗をかきやすいのは体質に原因があるかもしれません。

自然に汗をかく、自然に汗がでる、汗っかきの状態について説明します。

多汗症に使う漢方薬は?

多汗症の適応のある漢方薬の防已黄耆湯があります。多汗症の原因が精神的なものからくる場合には、気持ちを安定させる漢方薬として温清飲、柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遙散があります。熱感からくる場合には、顔・手足の火照りに知柏地黄丸が適しています。

多汗症の漢方での原因は?

多汗症の漢方での原因に気虚(疲れやすい、動くと余計に汗がでる)、気滞(緊張、ストレスから汗がでる)、陰虚火旺(熱感が強い)が考えられます。

気虚

気虚というのは気が不足している状態です。

漢方において、体の表面まで気がめぐっていると汗の穴を閉じることができるという考えがあります(固摂作用)。

つまり気が不足していると、体表まで気がめぐらずに汗の穴を閉じることができずに、汗をかきやすくなります。

・よく汗が出て、動くと余計に汗がでる
・ものをいうのがおっくう
・顔色が白い
・かぜをひきやすい

これらにあてはまるときは気虚の体質の可能性があります。

気の不足が原因なので、気を補う漢方薬に防已黄耆湯があります。

防已黄耆湯

防已黄耆湯の黄耆(おうぎ)が体表まで気をめぐらせ、皮膚に気をめぐらせ、汗の穴をしっかり閉じることができるようになります。

防已黄耆湯は多汗症だけでなく、気を補い、水のめぐりも改善するため、水太りに方にもつかわれます。

多汗症の第一選択薬になるのは防已黄耆湯です。

気滞

多汗がストレスや緊張があるときに悪化しませんか?

緊張感、ストレスにとって汗がでてくるのであれば、それは気持ちを落ち着かせる必要があります。

漢方ではストレスや緊張によって、気の巡りが悪くなり、気滞といわれる状態になります。

・ストレスに悪化
・緊張すると汗をかく
・不安になりやすい

これらにあてはまるときは気滞の体質の可能性があります。

この場合は多汗症につかう漢方薬ではなく、気の巡りを整え、気持ちを整える漢方薬をつかう必要があります。

気持ちを整える漢方薬に温清飲、柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遙散があります。

温清飲(うんせいいん)

温清飲は黄連・黄芩などの心の熱を冷ます生薬と、当帰・芍薬などの血を養う生薬から構成されています。

黄連・黄芩などの苦味の生薬が心の熱を冷まし、気持ちを落ち着かせ、熱を冷ます働きもあります。

当帰・芍薬などの血を養う生薬は、皮膚に栄養を与え、肌の状態を改善する働きがあります。

温清飲にて心の熱を冷まし、肌の状態を改善してくれます。

イライラや不安の神経症、肌質が原因の場合には温清飲がおすすめです。

柴胡加竜骨牡蛎湯

柴胡加竜骨牡蛎湯は柴胡が気を巡らせ、竜骨・牡蛎が気持ちを鎮める働きがあり、大黄が熱を冷まします。

イライラ・不安、不眠症、便秘があるときは柴胡加竜骨牡蛎湯がおすすめです。

加味逍遙散

加味逍遙散は柴胡・薄荷が気を巡らせ、当帰・芍薬が血を養い、山梔子・牡丹皮が熱を冷まします。

加味逍遙散には当帰・芍薬の血を養う生薬が入っていることからも女性によく使用されます。

生理前にイライラ、不安、生理不順などがあるときは加味逍遙散がおすすめです。

陰虚火旺

陰虚とは身体の潤いが不足した状態のこと。

陰虚になると、身体を適切に冷やすことができずに熱が生じやすくなります。

・日常的に顔、手足の火照りがある

熱感が強い場合には多汗症の漢方薬ではなく、まずは冷やしてあげる必要があります。

身体を潤し、火照りを冷ます漢方薬に知柏地黄丸があります。

知柏地黄丸

知柏地黄丸は知母・黄柏が熱を冷まし、地黄が潤す構成になっています。

顔・手足の火照りでお悩みの方は知柏地黄丸がおすすめです。

友だち追加
目次