生理周期が早い・短いときの漢方薬の考え方と体質、食事について

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上

店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

西山光です
目次

生理周期が短くなりやすい

西洋医学では生理周期は25~38日が正常の範囲内とされ、それよりも短ければ頻発月経といわれます。

原因としてはホルモンバランスの乱れ、卵巣機能低下などがあります。

生理周期が早いときの詳しい説明はこちらのサイトを参考にしてください→

漢方においては、生理周期が短いことはどのような原因があるのか説明します。

生理周期が短い漢方での原因、理由は?

生理周期が短くなりやすい漢方での原因としては、血熱、陰虚、肝鬱化火、血瘀、気虚などの体質の可能性があります。

簡単にいえば、身体に熱や瘀血などのいらないものがあるときは、溜まっているものを身体から排出しようと生理周期が短くなります。

もう1つの原因は「気虚」という身体の元気が弱っているときです。生理が始まるまでは、しっかりと血をため込む必要があるのですが、気が不足していると血を保持する力が弱くなり、血が漏れ出して生理が始まってしまいます。

身体に瘀血や熱を溜め込みやすい体質の方は、あっさりした食事が重要です。味の濃い物、脂っこい物、辛い物は身体に余計なものを溜め込みやすくなります。

「気虚」の元気がない体質の方は、優しい甘味の食べ物がおすすめです。ごはんは玄米ではなく、白米が胃腸に優しくおすすめです。

生理周期が短いときの漢方薬は?

生理周期が短いなどの生理不順につかう漢方薬に、温清飲、逍遙散、加味逍遙散、加味逍遙散加川芎地黄、桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸加薏苡仁、桃核承気湯、芎帰調血飲、芎帰調血飲第一加減などがあります。

血熱

身体の血に熱がこもっていることで、熱を体から出そうするために生理周期が短くなります。

辛い食べ物の嗜好、血気が盛んな状態だと熱がこもりやすくなります。

・生理周期が早い
・生理量が多い
・生理血が粘稠で臭いがある
・寒冷を好む
・便秘
・紅舌

これらにあてはまるときは血熱の体質の可能性があります。

熱を冷ます漢方薬に温清飲があります。

温清飲

温清飲は血を養う漢方薬と、熱を冷ます漢方薬から構成されています。

温清飲の当帰・芍薬・川芎・地黄が不足しがちな血を補い、黄連・黄芩・黄柏・山梔子が熱を冷まします。

過剰な熱によって、生理周期が短くなりやすいときは温清飲が向いています。

陰虚

陰虚という身体の血・水が不足している状態です。

身体を冷やす血・水が足りないことで相対的に熱の量が多くなり、生理周期が短くなりやすくなります。

・生理周期が早い
・生理量が少ない
・不眠
・手のひら、足の・微熱
・ほほの紅潮
・紅舌
・苔が少ない

これらにあてはまるときは陰虚の体質の可能性があります。

血・水を養うことで養陰する漢方薬をつかいます。

肝鬱化火

精神的なつかれ、ストレス、心労などによって肝の気のめぐりが悪くなることで肝鬱となります。

肝鬱で気の鬱滞がつづくと、熱化し、肝鬱化火となり、生理期間の短縮となります。

・生理周期が早い
・生理血の色が紅あるいは紫
・生理中の期間が長引く
・生理中の胸の張り、下腹部の痛み
・抑うつ
・いらいら

これらにあてはまるときは肝鬱化火の体質の可能性があります。

肝気をめぐらせる漢方薬に加味逍遙散、加味逍遙散加川芎地黄などがあります。

加味逍遙散

加味逍遙散(かみしょうようさん)の柴胡・薄荷が気のめぐりを改善し、山梔子・牡丹皮が熱を冷まします。加味逍遙散は気のめぐりと、熱を冷ます働きのある漢方薬です。

加味逍遙散加川芎地黄

加味逍遙散加川芎地黄加味逍遙散に川芎・地黄が加わったものです。川芎・地黄が加わることで血を養う働きが強化されています。加味逍遙散のイライラなどの気の鬱滞の症状に、肌の乾燥などの血の不足の症状もあるときは、加味逍遙散加川芎地黄が適しています。

血瘀

血瘀(けつお)というのは血の滞りがあることです。

血の滞りがあることで、正常に生理血を出すことができず、生理期間が短くなりやすくなります。

・生理周期が短い
・紫暗色の血の塊
・下腹部が張って、圧痛

これらにあてはまるときは血瘀の体質の可能性があります。

滞っている血を動かす漢方薬に桂枝茯苓丸、桂枝茯苓丸加薏苡仁、折衝飲、桃核承気湯があります。

桂枝茯苓丸

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は婦人科でも頻用の漢方薬です。血のめぐりを改善する代表的な漢方薬です。

桂枝茯苓丸加薏苡仁

桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)桂枝茯苓丸に薏苡仁(よくいにん)を足したものです。薏苡仁は肌荒れの生薬として知られ、肌荒れもある場合は桂枝茯苓丸加薏苡仁もつかえます。

折衝飲

折衝飲(せっしょういん)も血のめぐりを改善する漢方薬です。桂枝茯苓丸には血に働く生薬が3種類しか入っていませんが、折衝飲には血に働く生薬が8種類も入っています。血のめぐりを改善する漢方薬としては折衝飲の方が強いものになります。

桃核承気湯

桃核承気湯は桃仁という血のめぐりの生薬に加え、大黄というお通じをよくする生薬も入っています。桃核承気湯は血の鬱滞と、便秘がどちらもある方につかいます。

気虚

気虚というのは気が不足している状態です。

気は体の活力にもなり、また固摂という体内に血をとどめる働きもあります。

気虚と気が弱ると、血を体内にとどめることができず、生理が短くなります。

・生理周期が早い
・生理量が多い
・生理血の色が薄い
・元気がない
・四肢がだるい
・食欲不振
・軟便

これらにあてはまるときは気虚の体質の可能性があります。

気を補い、土台をつくり、上へもちあげる漢方薬をつかいます。

友だち追加
目次