生理後につらい、生理後症候群の漢方薬、おすすめの食べ物、生活習慣

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
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・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

西山光です
質問

・生理後症候群に合う漢方薬は?
・どう使い分けるの?

余り知られていませんが、生理前よりも生理後に調子を崩す方も多いです。

生理後に調子が悪くても理解してくれる方が少なく、つらい思いをして過ごしている方もいらっしゃいます。

漢方の目線での生理後症候群の考えについて解説しています。

このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。

・生理後のけん怠感、冷え→十全大補湯
・生理後の抑うつ、不安、気分の落ち込み→帰脾湯

 この記事を読んでわかること
・生理後症候群とは
・漢方薬のつかいわけ
・おすすめの食事、生活習慣

漢方をうまく取り入れて、生理後もいつも通りに生活を送れるようになればと思います。

目次

生理後症候群とは生理の後半からけん怠感、抑うつなどがでる症状

生理後症候群は病名ではなく、生理後に不調になる症状の総称です。

・けん怠感
・不安
・抑うつ
・眠気
・いらいら

けん怠感の症状が多い印象ですが、不安感、抑うつがみられる方も多いです。

生理後症候群は、生理後半に起こるけん怠感、抑うつの症状のこと

生理後症候群の原因

生理後症候群の原因ははっきりわかっていませんが、ホルモンバランスの乱れ、貧血などがいわれています。

生理後症候群の漢方での原因は血虚

PMSの生理前の不調と、生理後症候群の生理後の不調について比較して説明します。

生理前
生理後
  • 生理前は身体が活発になり、気がどんどん溜まっていく
  • 溜まることによる不調
  • PMSは気滞の症状が多い
  • 生理がくると、気血をどんどん消耗していく
  • 気血を損なうことによる不調
  • 生理後症候群は血虚の症状が多い

生理前

生理「前」は気がどんどん溜まっていくため、鬱滞した症状がでやすくなります。気が鬱滞することで気滞となり、イライラ、不安、睡眠障害、胸の張り、便秘、下痢につながります。

生理前に「気」がたまっていきますが、生理がくると血とともに気も流れ出ていくため、生理がくるとスッキリします。

生理後

反対に生理後は血がでていくため、気血を消耗した状態といえます。生理後は気血が不足し、血虚の症状が強くでてきます。

血虚になることでけん怠感、心血、肝血が不足することで不安、抑鬱へとなります。

生理後症候群のように、生理後に不調を来すのは血虚が原因と言えます。

youtubeで血虚の症状についてわかりやすく解説してある動画をみつけたので、そちらをみるとより分かりやすくなります。

生理後症候群におすすめの漢方薬は帰脾湯、十全大補湯

漢方で考えると、生理後は気血を消耗しているため、生理後症候群になっているといえます。

生理後症候群を緩和するためには気血を養うことが重要です。

気血を補う漢方薬として帰脾湯と十全大補湯があります。

帰脾湯

帰脾湯は貧血、不眠症、神経症、精神不安に効能効果があります。

帰脾湯には人参・黄耆の気を補う生薬と、竜眼肉・酸棗仁の血を養う生薬を中心に構成されています。

・気を補う:人参・黄耆・白朮・茯苓・甘草・大棗・生姜
・血を養う:当帰・竜眼肉・酸棗仁
・気持ちを整える:茯苓・遠志・木香

竜眼肉(りゅうがんにく)。心の血を養い、気持ちを落ち着ける。

このなかでも重要な生薬が竜眼肉・酸棗仁です。竜眼肉・酸棗仁が心血・肝血を養い、強い不安、気分の落ち込みを緩和してくれます。

生理後に強い不安、気分の落ち込みがあるときは帰脾湯が適しています。

十全大補湯

十全大補湯は病後・術後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血に効能効果があります。

十全大補湯は人参・黄耆の気を補う生薬、当帰・地黄の血を養う生薬から構成されています。

気を補う:人参・黄耆・白朮・茯苓・甘草
血を養う:当帰・芍薬・地黄・川芎
温める:桂皮

人参。漢方の人参はウコギ科の植物。普段、食べる人参はセリ科で、別の植物です。

当帰(とうき)。血を養う代表的な生薬。

十全大補湯は気を補うも多く、血を養う生薬も多いです。

疲労けん怠感が強いとき、冷えがあるときは十全大補湯が適しています。

帰脾湯
十全大補湯
  • 気と心血・肝血を養う
  • 心の血を養い、不安、気分の落ち込みがあるときに適している。
  • 補う点では十全大補湯に少し劣る
  • 気血を養う。
  • 気血を強く補うため、疲労けん怠感が強いときに適している。
  • メンタルに働く生薬が少なく、不安などには適さない。

生理後症候群におすすめの食事

生理後症候群は生理で気血を消耗した状態のため、日常的に気血を養い、出血に耐えられる身体つくりが必要になります。

食事としては、気血を養う、とくに血を養うことが重要です。

血を養う食べ物としては、黒胡麻、人参、きくらげ、ほうれん草、小松菜、卵、魚類、肉類がおすすめです。血を養うのは色の濃い野菜、色の濃い食べ物です。

血虚の方は自覚していなくても、胃腸が弱っている方が多いです。

辛いもの、小麦、脂っこいもの、乳製品の胃の負担になりやすい食べ物は避けるのがベターです。

生理後症候群におすすめの生活習慣

普段から気血が少ないため、それらを消耗しないようにする必要があります。

激しい運動はNGで、適度な運動のウォーキングがおすすめです。

目の使いすぎでも血は消耗するので、テレビ、スマホの見過ぎもよくありません。

生理後症候群におすすめのツボ

生理後症候群の方は気血が不足した方が多いので、気血を養うツボ(経穴)の血海、三陰交がおすすめです。

youtubeでみつけた、とてもわかりやすい動画をのせています。

血海

血海(けっかい)は太陰脾経のツボで生理を調整する働き、血が漏れ出ないようにする働きがあります。脾経なのに血に関わるツボがあるのは興味深いです。

三陰交

三陰交(さんいんこう)は陰の経絡である「肝」「脾」「腎」の3つ経絡が通っており、生理不順、冷え、消化器系の働きを整えます。

生理後症候群について、漢方での考え方をまとめました。ここでは血虚が原因とまとめていますが、実際には気滞、瘀血も重複するなど、簡単にはいきません。一人でかかえこまないでください。生理後症候群でお悩みの方はぜひ一度LINEからご相談ください。

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