産後のイライラを改善するための漢方薬の選び方とその使い方

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西山光です
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産後のいらいら

旦那さまのちょっとしたことでイライラしたり、生理が再開したときにイライラがひどくなったり、上のお子さんにあたってしまって、自己嫌悪になったり、夜に涙が止まらなくなったりしたことはありませんか?

漢方の目線でいうと、産後にイライラしやすくなっているのは性格のせいではなく、産後特有の体質によるものが大きいです。

イライラを抑えられないのは、体質に原因があるかもしれません。

イライラして、自分を責めるのはもうやめませんか?

産後のイライラについて漢方の目線で説明したいと思います。

産後、イライラを抑えられない原因

漢方で考えると、産後イライラを抑えることができなくなるのは、血虚と瘀血の体質が原因と考えられます。

血虚

出産というのは、大量に「気血」を消耗してしまいます。

血虚とは血液が少ないという意味ではなく、「血」の栄養が少ないという意味です。

妊娠中も常に胎児に栄養を送り、出産の際にさらに体力をつかいます。

その結果、産後は「気血」ともに大量に使い果たした状態になります。

とくに「血」は精神面での影響が大きいです。

「血」でも、とくに心の「血」が不足することで、不安になりやすくなったり、イライラしやすくなったり、精神的に不安定になりやくなります。

産後は「血」が不足しているので、どうしてもイライラしやすい体質になっているのです。

産後にイライラしやすいのはある意味当然ともいえます。

漢方で「血」を養っていくことで、気持ちも安定しやすくなります。

産後に抜け毛が増えることも血が関係しています。

漢方では「髪は血の余り」といいます。つまり血が十分にあることで髪が栄えるという意味です。

産後は血虚になるため、髪が栄えづらくなります。その結果、抜け毛が増えます。

血を養うことは、髪にも良い影響を与えます。

瘀血

瘀血(おけつ)とは、血の巡りが悪い状態のことをいいます。

産後に悪露がでませんでしたか?

漢方では悪露は古い血と考えられます。

産後は、身体の中の古い血を出し切らなければなりません。

古い血をしっかり出し切らければ、瘀血として身体に残ります。

瘀血が身体に残ると、イライラの精神的な不調、リウマチ、浮腫みなど様々な不調につながります。

産後は古い血が身体に残りやすい状態のため、しっかり血をめぐらせてあげる必要があります。

古い血が残ることで、産後のイライラにつながっている可能性があります。

産後の体質

産後のイライラにおすすめの漢方薬

産後のイライラに適した漢方薬としては、芎帰調血飲第一加減、抑肝散、加味逍遙散、温清飲、甘麦大棗湯があります。

芎帰調血飲第一加減

芎帰調血飲第一加減は「きゅうきちょうけついんだいいちかげん」と読みます。

芎帰調血飲第一加減は産後に服用する漢方薬として代表的なものになります。

元となっている芎帰調血飲は産後の不調のために作られた漢方薬です。

芎帰調血飲第一加減は、血を養う生薬、血をめぐらせる生薬、気をめぐらせる生薬から構成されています。

産後は血虚になりやすいと説明したように、芎帰調血飲第一加減には当帰・芍薬・川芎・地黄などの生薬が血を養い、血虚に対応しています。

産後の瘀血には、桃仁・紅花・延胡索などの生薬が血をめぐらせ、古い血を出してくれます。

またイライラの原因となる気の鬱滞を烏薬・香附子・木香がめぐらしてくれます。

芎帰調血飲第一加減だけで、血虚と瘀血と気滞に対応しています。

効能効果にも「産後の体力回復」とあり、産後の不調、イライラ、不安でお悩みの方はまずは芎帰調血飲第一加減をおすすめいたします。

授乳中も服用していただいて大丈夫です。

抑肝散

抑肝散はイライラしやすい方によく使用される漢方薬です。

抑肝散に入っている釣藤鈎・柴胡が、イライラの原因となる気をめぐらせてくれます。

抑肝散には血を養う生薬は当帰のみです。瘀血に対しての生薬はありません。

芎帰調血飲第一加減に比べると、血虚が少なく、瘀血もあまりなく、イライラが強い方に抑肝散は適しています。

授乳中も服用していただいて大丈夫です。

加味逍遙散

加味逍遙散もイライラのある方によく使用される漢方薬の1つです。

加味逍遙散の柴胡・薄荷が気の巡りを改善し、イライラを緩和します。

加味逍遙散には当帰・芍薬が入り、血を養う働きもあります。

瘀血に対しては、牡丹皮が入っています。

全体的に芎帰調血飲第一加減をマイルドにしたような構成になっています。

芎帰調血飲第一加減は補う働きが強いため、ときどき胃がもたれたり、下痢しやすくなる方がいらっしゃします。

芎帰調血飲第一加減が合わない時は加味逍遙散が適しています。

授乳中も服用していただいて大丈夫です。

温清飲

温清飲はイライラと熱感や肌の不調がある方に適してます。

温清飲には血を養う生薬が入り、心の血を補ってくれます。

温清飲には熱を冷ます生薬が入り、イライラの原因となる心の熱、肌の熱感を冷ましてくれます。

産後にイライラが強いときは温清飲にて心の熱を冷ますことも必要になり、温清飲が適しています。

イライラと肌の湿疹があるときも温清飲が適しています。

授乳中も服用していただいて大丈夫です。

甘麦大棗湯

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)は涙が止まらないときにおすすめの漢方薬です。

涙が止まらないのは、漢方では緊張が極まっている状態と考えられます。

泣いてしまうときは、甘味の強い甘麦大棗湯をつかいます。

甘麦大棗湯は甘草・小麦・大棗の甘味のある生薬から構成されています。

甘麦大棗湯の甘味が緊張を緩め、気持ちを落ち着けてくれます。

甘麦大棗湯は毎日服用するよりは、泣いてしまったり、涙が止まらないとき、気持ちが安定しない時に頓服で服用することをおすすめいたします。

授乳中も服用していただいて大丈夫です。

症状から考える

イライラ

産後の血虚と瘀血の体質から考えると芎帰調血飲第一加減がおすすめです。

芎帰調血飲第一加減が血虚・瘀血の体質を改善しながら、気をめぐらせる生薬も入っているため、産後のイライラに適しています。

芎帰調血飲第一加減でもイライラが落ち着かない時は、心に熱がこもっている可能性があるため、そのときは温清飲にて血を養いつつ、心の熱を冷まします。

芎帰調血飲第一加減にて胃もたれ・下痢があるときは加味逍遙散がおすすめです。

瘀血、血虚もあまり自覚がないのであれば、抑肝散にてイライラを落ち着けます。

泣く、涙が止まらない

よく泣いてしまうときは、気の緊張が極まっているため、甘麦大棗湯の甘味にて気を緩めます。

甘麦大棗湯は甘味にて速やかに緊張を緩めるため、頓服の服用もできます。

イライラと肌の湿疹

イライラと肌の湿疹・皮膚炎があるときは温清飲が適しています。

温清飲には当帰・芍薬などの血を養う生薬が心の血を養い、肌の血を養います。

また熱を冷ます生薬も入っているため、心の熱を冷まし、肌の炎症を抑えます。

イライラと抜け毛

抜け毛に対して、効能効果がある漢方薬があるわけではありませんが、漢方では血を養うことが重要です。

血を養うことが、髪の栄養となります。

血を養う生薬が多く入っている漢方薬としては、芎帰調血飲第一加減、温清飲が多く入っています。

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