抑肝散加陳皮半夏の使い方と合わない人の特徴

質問

・抑肝散加陳皮半夏はどういうときに服用したらいいの？
・合わない人っているの？

このようなお悩みに漢方薬局の薬剤師がお答えします。

 　この記事を読んでわかること
・抑肝散加陳皮半夏の効能効果
・抑肝散加陳皮半夏の構成生薬
・合う人、合わない人
・副作用、長期服用について

抑肝散加陳皮半夏の効能効果

 　抑肝散加陳皮半夏はイライラ、不眠症、歯ぎしり、更年期障害によく使用されます。

体力中等度をめやすとして、やや消化器が弱く、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症：神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症（神経過敏）、更年期障害、血の道症、歯ぎしり

抑肝散加陳皮半夏の効能効果(薬局製剤)

(血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期などの女性ホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことです。)

抑肝散加陳皮半夏の効能効果はメーカーによっても異なるので、ご購入の際はしっかりパッケージを確認してください。

抑肝散加陳皮半夏の効能効果を大きく分けると、神経の高ぶりを鎮める働き、女性のイライラを鎮める働き、歯ぎしりへの働きがあります。

・神経の高ぶりを鎮める
・女性のいらいらを鎮める
・歯ぎしりを鎮める

抑肝散加陳皮半夏の神経の高ぶりを鎮める働き

抑肝散加陳皮半夏は「神経が高ぶり」「イライラ」「不眠症」「神経症」に効能効果があります。

神経の高ぶりを漢方では「肝鬱」「肝鬱気滞」といいます。

抑肝散加陳皮半夏の釣藤鈎が気の高ぶりを鎮めます。

まさに抑肝散加陳皮半夏は「肝」の高ぶりを抑制する漢方薬といえます。

抑肝散加陳皮半夏は神経の高ぶりを鎮め、いらいら、怒りやすい、神経症などに効果を発揮します。

抑肝散加陳皮半夏の女性のイライラを鎮める働き

抑肝散加陳皮半夏の効能効果に「更年期障害」「血の道症」とあります。

女性は生理があるため、どうしても「血」を不足しやすい体質になります。

「血」が不足すると、その分、「気」が余り、イライラしやすくなります。

抑肝散加陳皮半夏の川芎と当帰が「血」に働き、ホルモンバランスの乱れを整えてくれます。

抑肝散加陳皮半夏の川芎・当帰が「血」を整えてくれます。

抑肝散加陳皮半夏の歯ぎしりを鎮める働き

抑肝散加陳皮半夏は「歯ぎしり」にも効果があります。

就寝中は身体を動かせないため、「気滞」が生じます。

「気滞」が筋肉に影響を及ぼすことで、寝ている間に歯ぎしりとなります。

抑肝散加陳皮半夏は気のめぐりを整えることで、歯ぎしりにも効能効果があり、食いしばりにも適しています。

抑肝散加陳皮半夏は気を巡らせることで歯ぎしりに効能効果があります。

抑肝散加陳皮半夏に入っている生薬・成分

 　抑肝散加陳皮半夏には気を巡らせる生薬と血を養う生薬、胃の働きを整える生薬が入っています。

抑肝散加陳皮半夏には7種類の生薬が入っています。

釣藤鈎、柴胡、当帰、川芎、茯苓、白朮、半夏・陳皮・甘草が入っています。

抑肝散加陳皮半夏に入っている生薬を働き別にまとめてみました。

・気の高ぶりを鎮める働き：釣藤鈎・柴胡(・川芎・茯苓)
・血を養う働き：当帰・川芎
・胃を整える働き：陳皮・半夏
・気を補う働き：白朮・茯苓・甘草

気の高ぶりを鎮める生薬

抑肝散加陳皮半夏の釣藤鈎・柴胡・川芎・茯苓は気に働きます。

とくに釣藤鈎(ちょうとうこう)は気の高ぶりを鎮める働きがあります。カーッと込みあがるイライラを発散してくれます。

釣藤鈎。アカネ科カギカズラ。急に込みあがるイライラを発散します。

柴胡は理気、川芎は活血と理気、茯苓は補気と安神に働きます。

抑肝散加陳皮半夏は釣藤鈎が気の高ぶりを鎮めてくれます。

血を補う生薬

抑肝散加陳皮半夏の当帰・川芎は血を養ってくれます。

↑当帰(とうき)。当帰は血を養うため、婦人向けの漢方薬に配合されています。

女性は生理があり、どうしても血が不足しやすいです。

抑肝散加陳皮半夏には当帰・川芎が入っているため、女性に適した漢方薬です。

抑肝散加陳皮半夏の川芎・当帰が血を養い、ホルモンバランスの乱れのイライラに効能効果があります。

胃を整える生薬

抑肝散加陳皮半夏の陳皮・半夏は胃の働きを助けてくれます。

陳皮(ちんぴ)。陳皮はミカンの皮です。胃腸の働きを整えます。

抑肝散に陳皮・半夏が加わることで、やや消化器が弱い方でも服用できるようになっています。

生薬のまとめ

抑肝散加陳皮半夏には気の高ぶりを鎮める生薬が中心になり、神経の高ぶり、不眠症に効能効果があります。

抑肝散加陳皮半夏は、抑肝散に陳皮・半夏が加わることで少し胃の弱い方にも適した漢方薬になっています。

抑肝散加陳皮半夏が合う人・合わない人

・体力中等度の方
・やや消化器が弱い方
・イライラしやすい方
・怒りやすい方
・神経症
・不眠症
・歯ぎしり
・ホルモンバランスの乱れ

 　抑肝散加陳皮半夏は気の高ぶりを鎮め、イライラ、怒りやすい方に適しています。

抑肝散加陳皮半夏はやや胃腸が弱く、気の高ぶりがある方に向いています。

胃腸がかなり弱く、イライラと不安もどちらもあれば加味帰脾湯が適しています。

胃腸が強く、イライラと便秘があるときは柴胡加竜骨牡蛎湯が向いています。

「抑肝散加陳皮半夏が効かない」という経験をされた方もいらっしゃると思います。抑肝散加陳皮半夏が効かない理由としては、抑肝散加陳皮半夏は気の高ぶりに特化しており、不安もみられるときは別の漢方薬が適します。

抑肝散加陳皮半夏の効果がでるまで

抑肝散加陳皮半夏は即効性があり、数分で実感する方もいます。

抑肝散加陳皮半夏は血を養う働きがあることで「血虚」の体質も改善してくれます。

抑肝散加陳皮半夏は短期間で即効性があり、長期的に飲み続けると体質改善の働きがあります。

抑肝散加陳皮半夏は自律神経に効く？

抑肝散加陳皮半夏は神経の高ぶり、イライラの神経症に効能効果があります。

自律神経失調症の症状で、イライラ、不眠でお悩みの方には適しています。

抑肝散加陳皮半夏と抑肝散の違い

抑肝散加陳皮半夏と抑肝散の違いは陳皮・半夏が入っているか、どうかです。

抑肝散加陳皮半夏の方が、抑肝散よりも胃腸が弱い方に適しています。

とくに胃腸のことが気にならないなら、抑肝散でいいです。

また抑肝散にはもう1種類あり、抑肝散加芍薬黄連があります。気の高ぶりが強い方は抑肝散加芍薬黄連がおすすめです。

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抑肝散加陳皮半夏は痩せる？

抑肝散加陳皮半夏が直接的に痩せさせる働きはありません。

しかし、イライラ、神経の高ぶりで過食してしまうときは、抑肝散加陳皮半夏が神経の高ぶりを鎮めてくれます。

抑肝散加陳皮半夏の副作用、長期服用の注意点

副作用

抑肝散の副作用としては、皮膚(発疹・発赤、かゆみ)、間質性肺炎(空せき、息苦しさ)、偽アルドステロン・ミオパチー(けん怠感、筋肉痛)、肝機能障害(発熱、かゆみ、けん怠感、黄疸)などがみらるこことがあります。

これらの症状があらわれた場合は、副作用の可能性があるので、直ちに服用を中止し、医師又は薬剤師に相談をしてください。

抑肝散加陳皮半夏の長期服用について

漢方の長期服用にてよく問題になるのが、甘草です。

甘草を多くとっていると副作用が生じやすくなります。

メーカーにもよりますが、一般的に抑肝散加陳皮半夏に含まれる甘草の量は1.5gです。

甘草の1.5gというのは多くはありません。しかし、ほかの漢方薬を併用したり、ご年配の方では副作用がでたりすることがあります。

手足の脱力感、筋肉痛、しびれがみられるようになったときは甘草による副作用の可能性があります。

そのような症状がみられた場合は直ちに服用を中止してください。