この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です


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妊活について、気・血・水はとても重要になります。
妊娠と気・血・水の働きについてまとめています。



気・血・水とは、漢方では体を構成する要素として、考えられています。
気とは、身体を正常に動かす働きのことです。
気が充実していることで、身体を元気に動かしたり、食べ物を消化吸収したり、メンタルを維持し、妊娠することができます。
気が不足した状態を漢方では気虚、巡りに滞りが生じた状態を気滞といいます。
漢方での血は潤いと、栄養の性質があります。
血の潤いがあることで、爪が固く、肌が潤い、髪が艶やかになり、筋肉が栄え、生理が来て、妊娠することができます。
血が不足した状態を漢方では血虚、血のめぐりに滞りが生じた状態を瘀血もしくは血瘀といいます。
水は身体や粘膜、組織を適切に潤す働きがあります。
水の潤いがあることで、鼻・のど・内臓が滋潤され、体温が高くならないように維持され、妊娠することができます。
水が不足した状態を漢方では陰虚、水が停滞した状態を水滞・痰湿といいます。
気血水と妊活の関係から、さらに気虚・気滞・血虚・瘀血・陰虚・痰湿の具体的な体質について説明したいと思います。
実際には相談に来られる方は、気虚もあって、血虚もあって、痰湿もあるというように、複合的に合わさることがほとんどです。
不妊の原因が1つだけということはなく、多くの要素が関わってきます。



「気」というと想像しづらいと思いますが、漢方での「気」は身体の働きのことを言います。
つまり「気虚」とは、身体の機能が落ちている状態です。
気虚になると、つかれやすい、元気が出ない、冷え、むくみやすい、胃もたれ、軟便などの身体の機能低下の症状がみられやすくなります。
□気虚の症状
・つかれやすい
・元気がない
・冷え
・むくみ
・胃もたれ、食欲不振
・軟便になりやすい
・生理がはじまると出血がだらだら続く
・舌がぼってりして、締まりがない
・基礎体温が上がりにくい
・二人目不妊
・黄体機能不全
「気」は元気の気であり、身体に元気がない状態では胎児を宿すことは難しいです。



気滞とは気のめぐりが悪い状態のことをいいます。
気のめぐりが悪いと、イライラ、不安、肩こり、便秘、生理前に胸が張るなどの症状がみられやすくなります。
□気滞の症状
・いらいら、不安
・肩こり
・便秘
・生理前の胸の張り
・舌が詰まって、固い
・基礎体温がギザギザする
気滞の体質では、滞った症状が多くみられます。また気滞があると血の巡りも悪くなる性質があります。
血の巡りは妊活において非常に重要で、血が正常に巡っていくためにも、気滞を解消する必要があります。






漢方でいう「血」とは、栄養を意味します。「血虚」とは身体の栄養が不足している状態です。
血虚になると、肌・髪・爪が乾燥しやすくなり、足がつりやすく、生理の量が少なくなったり、生理周期が遅れやすくなったりします。
□血虚の症状
・肌が乾燥しやすい
・髪がパサパサしやすい
・爪が割れやすい
・足がつりやすい
・生理の量が少ない
・生理周期が遅れやすい
・基礎体温が上がりにくい
・二人目不妊
漢方では、衝任脈に血が満たされることで、生理となると考えられています。正常な生理を維持するためにも、血が必要となります。
血虚の体質の場合、生理が安定しづらくなり、また胎児を宿すためにも血が必要となるため、妊娠が難しくなります。






「瘀血」とは、血のめぐりが悪い状態のことです。血のめぐりが悪いと生理痛がよくみられます。
血のめぐりの悪さから、舌や生理血など暗い色になりやすくなります。
□瘀血の症状
・生理痛がひどい
・生理血が暗い色
・生理血に血の塊がある
・舌、唇が暗い色をしている
・子宮内膜症
・チョコレート嚢胞
・子宮筋腫
・卵管の通りが悪い
・基礎体温ガギザギザする
瘀血は血がドロドロしている状態であり、それがさらに凝縮すると、子宮筋腫、チョコレート嚢胞、子宮筋腫などにも関与しています。






「陰」とは、身体の潤いのことです。
水をたくさん取ればいいですか?とよくいわれますが、水分ではなく、身体の奥の潤い、細胞の潤い、臓器の潤いという考え方です。
□陰虚の症状
・ほてり感
・口渇
・便秘
・舌の苔が少ない
・舌が赤い
・舌が割れている
・基礎体温が高い
陰虚になると、適切に身体を冷やすことができなくなるため、基礎体温が全体的に高くなりやすくなります。
とくに低温期では陰の働きが重要になってきます。
適切に身体の潤いがあることで、基礎体温が上がり過ぎないようにします。



水滞、または痰湿とは水がたまっている状態のことです。
痰というとのどに溜まるイメージですが、漢方では身体全体に痰という「ヌメリ」をため込みます。
□痰湿の症状
・むくみ
・鼻水、痰
・不眠
・いらいら、不安
・おもだるい
・太りやすい
・おりものが多い
・舌の苔が厚い
・舌の縁に歯形がつく
・多嚢胞性卵巣
・卵管の通りが悪い
ヌメリが卵巣に溜まることで多嚢胞性卵巣になり、卵管ではヌメリがあることで通りが悪くなります。
痰湿という言葉はあまり聞き馴染みがないと思いますが、痰湿というヌメリは不妊の原因としてよくみられます。



気虚や瘀血など様々な用語について説明いたしました。
ざっくりいえば、気・血・水の不足していると、「虚」の状態で補う必要があります。
気滞、瘀血、痰湿のようにたまっているときは、身体から排出する必要があります。
・気虚→元気がない、胃腸が弱い
・気滞→自律神経の不調。イライラ、不安。
・血虚→栄養不足。生理の乱れ、肌の乾燥。
・瘀血→血の巡りが悪い。生理痛、血の塊。
・陰虚→潤い不足。基礎体温が高い。
・痰湿→ヌメリが溜まる。舌の苔が厚い。





