この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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胸がつまったように張って苦しい感覚がありませんか?
漢方ではそういった症状を胸悶と表現します。
西洋医学的には、食道炎、胃炎、食道潰瘍、胃潰瘍、咽頭・喉頭がん、扁桃炎、不整脈、狭心症などの可能性があります。
胸は食道、胃、心臓に近く、それらに異常がある恐れがあるため、一度病院の受診をおすすめします。
しかしそれらの原因がないのにも関わらず、胸がつまったような感覚があることもあります。
漢方において胸がつまる症状がどのような状態なのか、考えたいと思います。
胸がつかえる症状の漢方での原因は、肝気鬱滯、心血瘀阻、肺気壅滞などが考えらえます。
簡単に言えば、胸周りで気の流れを邪魔しているものがあると、胸がつかえるような症状がでやすくなります。
・肝気鬱滯(ストレス、いらいら)
・心血瘀阻(胸痛、動悸)
・肺気壅滞(カゼ、熱、膿)
上記の3つの体質から説明します。
肝気鬱滞(かんきうったい)は肝の気のめぐりが悪い状態です。
肝はストレスに弱い臓腑であり、ストレス、緊張がかかることで、気のめぐりが悪くなります。
気のめぐりが悪くなると、気が鬱滞することで胸がつまったような感覚となります。
・胸が苦しい
・ため息をつくと軽減
・脇痛
・めまい
・口が苦い
・のどの乾燥
・いらいら、怒りっぽい
・生理不順
これらにあてはまるとき肝気鬱滯によって胸やみぞおちがつかえ、苦しくなっている可能性があります。
原因となっている気のめぐりをよくする漢方薬に四逆散、大柴胡湯があります。
四逆散の効能効果には、「胸腹部に重苦しさがあり」と記載されています。
四逆散の柴胡・枳実・芍薬が気のめぐりを改善し、胸腹部の重苦しさのある胸痛、神経症を改善します。
大柴胡湯の効能効果には、「脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく」と記載されています。
大柴胡湯の柴胡・枳実が鬱滞している気を解き、大黄が便秘も改善します。
脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘、肩こり、神経症がある方は大柴胡湯が向いています。
瘀(お)というのは滞りのことです。
心血が瘀血によって流れが邪魔され、胸がつまったような感じとなります。
血瘀が中心となりますが、痰などのヌメリがともなうこともあります。
・息がつまる
・夜に悪化
・胸痛もある
・肩、腕も痛みがある
・動悸
・息切れ
これらにあてはまるとき心血瘀阻の可能性があります。
血のめぐりをよくする漢方薬と、痰もともなうのであれば痰をとる漢方薬もつかう必要があります。
瘀血による動悸に環元清血飲があります。
環元清血飲は丹参・芍薬・川芎・紅花が血をめぐらせ、木香・香附子が気をめぐらせることで、瘀血が原因の動悸に効能効果があります。
肺気壅滞(はいきようたい)というのは、風寒、熱、痰によって肺気が邪魔をされている状態のことです。
痰が原因であればせき、胸の鈍痛、黄色い痰などがみられます。
ときどき喘息ではないが、せきが続くという方がいらっしゃいます。
せきと、胸痛があるときには柴陥湯をつかいます。
柴陥湯の効能効果には「強いせきが出てたんが切れにくく、ときに胸痛があるものの」と記載されています。
漢方でいう痰はヌメリのことを意味します。
痰が胸につまることで、せきがやまず、胸痛も生じてきます。
柴陥湯の括楼仁(かろにん)は、胸に詰まっている痰をとってくれます。
咳と胸痛があるときは柴陥湯が適しています。