「血」をわかりやすく解説:初めての漢方入門

 この記事を書いた人

・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上

店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら

西山光です

「血」というと、西洋医学での「血液」を思い浮かべる方が多いと思います。

漢方での「血」と西洋医学での「血液」は全く意味が異なります。

西洋医学での「血液」は動物の血管内を循環する体液のことで、組織に酸素、栄養物質、ホルモンなどを供給し、炭酸ガス、老廃物などの排出物を運び去る働きがあります。

漢方では、西洋医学での「血液」の働きにプラスして、漢方独自の考えがあります。

目次

漢方での「血」とは?

「血」とは「けつ」と読み、脈中をめぐり、栄養・滋潤に働く液体で、生命活動を維持する基本物質の1つです。

簡潔にいえば、漢方での「血」は、西洋での「血液」に栄養・潤いの働きが加わった考えとなっています。

「血」の栄養・滋潤の働きがあることで、筋肉が盛んになり、目ははっきりと見え、肌には潤いがあり、爪には光沢があり、髪は艶やかになります。

女性の場合は、生理があるため、「血」の考えはとても重要です。生理が順調に起こるためには、充実した「血」が必要になってきます。「血」のめぐりが悪いと、生理痛がでやすくなります。

血虚

漢方において血とは、体に栄養を送り、潤す液体と考えられています。

血虚という血が不足する状態になると栄養不足や乾燥に関する多様な症状がでてきます。

・顔色につやがない
・爪がもろい
・頭のふらつき
・目のかすみ
・筋肉のけいれん
・手足のしびれ
・動悸
・不眠
・驚きやすい
・生理の遅延
・生理量が少ない
・無月経

血は栄養を含んだ液体であるため、血虚になると顔色、口唇、爪、頭、目、筋肉に栄養が行きわたりません。

睡眠に関しては、血が充足していなければ気が戻る場所がなくなるため、不眠、多夢となります。

血に関することなどで生理にも影響を与えます。

血瘀、瘀血

血瘀(けつお)、瘀血(おけつ)ともいいます。

血が滞っている状態のことです。

気であれば気滞と表現しますが、血において滞りは血瘀といいます。

血の滞りがあるため、色も赤から紫色になり、血の滞りから腫れ、痛みにもつながってきます。

・場所は固定で刺すような痛み
・夜間に悪化
・口唇や肌の紫暗色
・舌に瘀点、瘀斑
・腫瘤
・暗紫色の出血
・皮膚のガサガサ
・生理痛
・生理血の塊
・生理期間の延長
・無月経

血の滞りは、気滞とは異なり、移動しないため場所は固定され、刺すような痛みとなります。

血の滞りから口唇、肌、舌、手のひらに影響を与え、暗紫色、ガサガサへとなります。

血の滞りは生理にも反映され、生理痛や生理血に血の塊が多くみられるようになります。

友だち追加
目次