この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です

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・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
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・湿疹・皮膚炎につかう漢方薬は?
・どう使い分けるの?
なかなか治らない湿疹・皮膚炎にお悩みではないですか?
漢方の目線での湿疹・皮膚炎の考え方について解説しています。
このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。
・ジクジクして、かゆみが強い湿疹・皮膚炎
→消風散
・乾燥が強く、かゆみのある湿疹・皮膚炎
→当帰飲子
・炎症が強い湿疹・皮膚炎
→温清飲
・膿がある湿疹・皮膚炎
→十味敗毒湯
・色素沈着したシミ、手足の皮膚炎
→桂枝茯苓丸加薏苡仁
・ストレス湿疹・皮膚炎
→加味逍遙散加川芎地黄
・虚弱体質の改善、皮膚の体質改善
→帰耆建中湯
この記事を読んでわかること
・湿疹、皮膚炎とは
・漢方薬のつかいわけ
漢方をうまく取り入れて、いつも通りに生活を送れるようになればと思います。
湿疹とは、皮膚の表層におこる炎症の総称のことです。湿疹は皮膚炎ともいい、湿疹と皮膚炎は同じ意味です。
湿疹の症状としては、かゆみ、赤み、ブツブツ、水膨れ、膿などがみられます。
慢性化すると肌の状態まで変化し、ガサガサ、ゴワゴワ、色素沈着、肌の乾燥などの症状もみられるようになります。
youtubeのメディバリー大学病院さまの動画が大変わかりやすいので、紹介させていただきます。
湿疹・皮膚炎は外的要因と内的要因が関係しています。
湿疹・皮膚炎を引き起こす外的要因としては、日光・物質・アレルゲン・虫・締め付けなどが考えられます。
湿疹・皮膚炎を引き起こす内的要因としては、アレルギー体質、アトピー体質、皮膚の状態、皮脂・汗などが関係しています。
湿疹・皮膚炎のみられる疾患に、湿疹、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、脂漏性湿疹、皮脂欠乏性湿疹、手湿疹、乾燥性湿疹、接触性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、乾燥性皮膚炎、自家感作性皮膚炎、貨幣状湿疹、慢性皮膚炎、乾癬、ストレス湿疹、カンジダ皮膚炎などがあります。
漢方薬は病名ではなく、体質・状態でつかいます。病名に関係なく、体質・症状があっていれば、漢方薬を服用することができます。
漢方で皮膚疾患の原因は大きく2つにわけて考えることができます。肌の機能を邪魔している要素と、身体が弱っている要素が考えられます。
肌の機能を邪魔している要素として、風、熱、燥、痰湿、瘀血、気滞が考えられます。
身体が弱っている要素として、気虚・血虚が考えられます。
肌を邪魔しているもの:風、熱、痰湿、瘀血、気滞
身体が弱っている要素:気虚、血虚
風:かゆみ
熱:炎症、熱感
痰湿:ジクジク、水疱
瘀血:色素沈着、皮膚のゴワゴワ
気滞:ストレス性
↑の要素があわさり、湿疹・皮膚炎につながります。各要素が組み合わさり、湿熱、風湿などとも呼ばれることもあります。
同じ病名だとしても、人によってジクジクの度合い、熱感の強さなど個人差があり、それが体質の違いといえます。
人によって症状は異なるため、それぞれの要素にあわせて漢方薬をつかいわける必要があります。
気虚:肌のバリア機能の低下、菌に感染しやすくなる
血虚:肌の乾燥、組織の修復が遅い
「気」が肌のバリア機能を担当しています。「気虚」になることで、バリア機能が低下し、ちょっとしたことで肌が荒れやすくなります。
また「気虚」になることで、免疫機能が低下し、菌に感染しやすくなり、カンジダ皮膚炎、カビ皮膚炎、真菌性皮膚炎にかかりやすくなります。
「血」があることで、肌の組織が潤い、修復されます。「血虚」になることで、肌が乾燥し、肌の修復が遅れます。
アトピー性皮膚炎などの慢性皮膚炎のように、皮膚炎が治らないときは気虚、血虚が関係しています
湿疹・皮膚炎の漢方薬に、消風散、当帰飲子、十味敗毒湯、温清飲、帰耆建中湯、桂枝茯苓丸加ヨクイニン、加味逍遙散加川芎地黄などがあります。
湿疹、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹などの病名に関係なく、湿疹・皮膚炎のある方につかうことができます。
・かゆみが強い
・ジクジクしている
・脂漏性湿疹など
消風散には防風・牛房子・蝉退・荊芥の風を発散する生薬が多く入り、かゆみの原因となる風を取り除きます。
消風散の蒼朮・木通は水のめぐりを改善する生薬で、余分な水がたまることで肌がジクジク、分泌物がでるため、水を追い出します。
消風散1つで、祛風、祛湿、清熱、養血の働きがあり、バランスのいい漢方薬です。
ジクジクして、かゆみが強い湿疹・皮膚炎には消風散が適しています。
・乾燥が強い
・かゆみが強い
・乾燥湿疹、乾燥性湿疹、乾燥性皮膚炎などに
当帰飲子の当帰・芍薬・川芎・地黄・何首烏が肌を潤し、防風・荊芥・刺蒺藜がかゆみを緩和します。
肌の乾燥が強く、かゆみがある方には当帰飲子が向いています。
・炎症が強い
・乾燥もある
・アトピー性皮膚炎などのような乾燥も炎症もあるとき
温清飲の当帰・芍薬などが肌を潤し、黄連・黄芩などが炎症を抑え、湿疹・皮膚炎に効果を発揮します。
炎症が強く、肌の乾燥もあるときは温清飲が適しています。
・膿、化膿がある
・湿疹、皮膚炎もある
十味敗毒湯の桔梗、柴胡などが排膿し、防風・荊芥などが炎症を抑え、排膿と抗炎症に働きます。
膿があり、湿疹・皮膚炎もあるときは十味敗毒湯が適しています。
・色素沈着
・シミ
・瘀血
桂枝茯苓丸加薏苡仁の桃仁・牡丹皮が血を巡らせ、薏苡仁がヌメリをとってくれます。
色素沈着のある皮膚炎に桂枝茯苓丸加薏苡仁が適しています。
・ストレス性
・気滞
・自律神経
加味逍遙散加川芎地黄の柴胡・薄荷が気を巡らせ、当帰・芍薬が肌を潤し、山梔子・牡丹皮が炎症を抑えます。
ストレス湿疹には加味逍遙散加川芎地黄が適しています。
・虚弱体質
・すぐに肌の調子が悪くなる
・現在、炎症は落ち着いている
帰耆建中湯は黄耆が皮膚の気を補い、当帰が血を養い、虚弱体質を改善し、肌の不調を起こしにくくなります。
注意点として、帰耆建中湯には炎症を抑える生薬は入っていないので、炎症があるときは服用できません。炎症が落ち着いて、体質改善に取り組みときに帰耆建中湯を服用してください。
炎症を起こしやすい体質改善には帰耆建中湯が適しています。
・陰嚢湿疹
・排尿痛
・残尿感
竜胆瀉肝湯には黄連、黄芩などの炎症を抑える生薬と、当帰・芍薬などの血を養う生薬が入り、炎症を起こしやすい体質を改善します。
陰嚢湿疹、排尿痛があるときは竜胆瀉肝湯が適しています。
皮膚炎が治らず、悩んでいる方も多いと思います。
漢方の目線で考えると、皮膚炎が治らない原因は体質が改善していないためです。
湿疹・皮膚炎の原因は外的な要因も多いですが、内的な要因も大きく関与しています。
湿疹・皮膚炎の多くは身体の内側の問題なのです。
体質を改善していくことで、湿疹・皮膚炎を起こしにくくなっていきます。
40代女性。最初は足のふくらはぎの虫刺され。絆創膏を貼っていたら、膿んで、ほかのところにもブツブツがでてきた。病院に受診し、自家感作性皮膚炎といわれ、抗アレルギー薬、ステロイドを使用中。ステロイドを塗ると、炎症は落ち着くが、数日するとまたかゆくなってくる。最近になり、湿疹の範囲、かゆみが増えてきており、当薬局に相談に来店。
皮膚の炎症は最近は膿んでおらず、湿疹とかゆみが症状の中心とのこと。
かゆみに対する漢方薬と、炎症を抑える漢方薬をおすすめさせていただいた。
まずは2週間、服用していただく。2週間後、効いている感じがするため、再度来店。同じものを1か月分お渡しした。その後再び来店し、調子もいいので最後にまた1か月分お渡し、廃薬になりました。