この記事を書いた人
・灯心堂漢方薬局 薬局長
・薬剤師歴10年以上
・店舗のLINE登録者数1000人以上
・漢方を通して、皆様が少しでも健康に過ごせる手助けをできればと思います。>>プロフィール記事はこちら
西山光です
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・灯心堂漢方薬局 薬局長
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・口の中につかう漢方薬は?
・どう使い分けるの?
漢方薬のなかには歯肉炎、歯周病、歯槽膿漏などの効能効果をもつものがあります。
漢方の目線での歯周病の考え方について解説しています。
このブログを読むことで、ご自身にあったものを選んでいただけたらと思います。
・歯肉炎、歯周病の初期→排膿散及湯にて悪いものを追い出す
・歯周炎、歯周病の中期→桂枝五物湯にて腫れや炎症を抑える
・歯周病が慢性化→慢性に経過し、歯茎が痩せてきたときは甘露飲
この記事を読んでわかること
・歯周病とは
・漢方薬のつかいわけ
漢方をうまく取り入れて、いつも通りに生活を送れるようになればと思います。
歯周病というのは、歯肉炎、歯周炎の総称のことです。歯肉炎、歯周炎をまとめて、歯周病といいます。
歯周病の進行は歯肉炎→歯周炎→重い歯周病へと進行していきます。
歯肉炎は歯周病の初期段階。歯肉(歯茎)だけにまだ炎症が留まっている状態です。
歯周炎は歯肉炎が進み、歯槽骨までも溶けてきた状態のことです。
歯周炎が進行していくと、中等度、重度の歯周炎になっていきます。
口臭、歯茎の腫れ、歯茎が下がる、出血、歯がぐらぐらするなどの症状がでてきます。
歯周病の症状で、膿がでている状態を歯槽膿漏(しそうのうろう)といいます。
歯周病については、youtubeのメディカルネット公式チャンネルさまの動画が大変わかりやすいので紹介させていただきます。とても勉強になります。
歯肉炎は炎症は歯茎だけに留まっていますが、進行することで、歯槽骨が溶けるなどの歯周病へと進行していきます。
・歯肉炎は歯茎だけの炎症
・歯周炎は歯茎だけでなく、歯槽骨まで炎症が広がっている状態
歯肉炎と歯周炎をまとめて、歯周病といいます。歯周炎は、歯周病のなかの1つといえます。
歯周病を漢方で考えると、熱(火)、湿(膿)、陰虚が原因といえます。
熱(火)は炎症のことです。
炎症があり、歯茎に熱をもった状態とのときは、炎症を抑える漢方薬をつかいます。
膿がたまっているときは、排膿の桔梗、枳実などの生薬をつかいます。
「陰」とは潤いのことです。
陰虚になることで、口が渇き、歯茎が痩せていきます。
また陰虚にあることで、熱を冷ますことができず、炎症を悪化させてしまいます。
歯周病につかう漢方薬に桂枝五物湯、甘露飲、排膿散及湯があります。
桂枝五物湯の効能効果:「口中の痙痛とただれ及び荒れのあるものの次の諸症状:口内炎・歯根炎,歯槽膿漏等の口臭」
膿を出す:桔梗
炎症を抑える:黄芩
腫れを取る:茯苓
炎症を抑え、出血を抑える:地黄
桂枝五物湯は排膿、抗炎症、腫れをとる生薬から構成されています。
歯茎の腫れ、歯槽膿漏があるときは桂枝五物湯が適しています。
甘露飲の効能効果:「体力中等度以下のものの次の諸症:口内炎,舌の荒れや痛み,歯周炎」
排膿:枳実
抗炎症:黄芩・枇杷葉・茵蔯蒿
潤し、歯茎を養う:地黄・麦門冬・天門冬・石斛
甘露飲は炎症を抑える生薬と、潤す生薬が多く入り、歯茎を潤してくれます。
口の乾き、歯茎の痩せ、歯周炎に甘露飲が適しています。
排膿散及湯の効能効果:「化膿性皮膚疾患の初期又は軽いもの、歯肉炎、扁桃炎」
排膿:桔梗・枳実
気血を養う:芍薬・生姜・大棗・甘草
排膿散及湯は排膿の生薬が多く入り、歯肉炎に効能効果があります。
歯肉炎、歯周病の初期には排膿散及湯が適しています。
甘露飲と桂枝五物湯の大きな違いは潤す生薬の量です。
甘露飲には地黄、麦門冬などの潤す生薬が多く入っており、歯茎の痩せている状態に適します。
桂枝五物湯は潤す生薬は薄くなく、排膿の桔梗が入っており、歯茎が腫れ、膿があるときに適しています。
・歯肉炎、歯周病の初期→排膿散及湯にて悪いものを追い出す
・歯周炎、歯周病の中期→桂枝五物湯にて腫れや炎症を抑える
・歯周病が慢性化→慢性に経過し、歯茎が痩せてきたときは甘露飲